草鹿 仁 (大学院環境・エネルギー研究科教授)
自動車用モデルベース制御研究所では、エンジン、高機能ディーゼルパティキュレートフィルター、酸化触媒、DeNOx触媒、三元触媒、トランスミッション、バッテリー、モーターのモデル化と制御等の研究開発を行います。
次世代パワートレイン、次世代燃料のための燃焼、排出ガス浄化触媒の研究を中心に以下の6つを中心に実施する。
電動化の要求はここ数年の間は高まることが予想される.しかしながら、バッテリー、モーター、パワーコントロールユニットなどの性能を十分に引き出すためには、設計の上流段階から制御手法と構成要素の性能の最適化をはかり、次に、電動系の要素には十分な冷却機能を持たせることが必要不可欠である。各種コンポーネントをモデル化し、使用する環境、用途により最適な構成要素とその制御手法を提案する。
電動パワートレイン、触媒、ドライバー特性、さらには、走行環境を加味した総合シミュレーションモデルを構築し、ゼロエミッションビークルのための最適な制御手法やコンポーネントのあり方を検討する。
大型商用車、船、定置型エンジンなど、電動化が難しい領域には引き続き、高効率内燃機関を用いたデバイスが必要不可欠である。現在、水素、アンモニア、アルコール、さらにはDrop-in 燃料としてFT合成燃料油などの、いわゆるカーボンニュートラル燃料が検討されている。しかしながら、それぞれ、燃焼・排出ガス特性が異なるために、このような燃料をガソリンエンジン、ディーゼルエンジンに用いる際の、高効率化、低公害化のための設計指針について実験と数値計算の両面から追及する。
今後の乗用車においてはグローバルにはガソリンハイブリッドシステムが主流になるものと予測されている。したがって、ガソリンエンジン用の排出ガス浄化触媒である三元触媒も益々重要となる。三元触媒の貴金属の劣化現象を解明し、モデル化することで性能劣化予測とその対策を検討することを目指す。
DeNOx触媒であるSCR触媒を対象に、その浄化特性を記述した反応性数値熱流体モデル構築のためのモデリングと実験による検証を行う。これまでの研究により数値モデルをほぼ完成させることができた。今後は、還元剤の濃度を能動的に変化させることや各種試みにより、浄化率のさらなる向上と尿素水使用量の低減を図る。また、各種方策により浄化率が向上するメカニズムについて、学術的に明らかにしていく。
Diesel Particulate Filter内部にはエンジンオイル由来のAsh と呼ばれる灰分が堆積していく。このため、圧力損失が変化し正確なSoot堆積量が把握しづらくなる。Sootとともに混入したAshが強制再生が繰り替えされる環境でどのようにDPF内部に堆積していくか、堆積形態についてAshの移動と融合を考慮した数値モデルを開発し最終的には、堆積による圧力損失を予測可能とするモデルを構築する。
草鹿 仁 大学院環境・エネルギー研究科教授
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