グローバルなソフトウェア開発時代における技術、プロセス、人材・組織のあり方について研究する
組織や個人のレベルにおいて、国や地域の経済情勢の相違を活用した国際的競争力を得るために、ソフトウェア開発におけるグローバル化が進展しています。具体的には、組織レベルにおける複数の異なる国や地域における利害関係者や組織群の遠隔協調等を通じたソフトウェア開発と運用、ならびに、個人レベルにおける技術者の国や地域を超えた労働が実施されつつあります。
それらの効率的かつ効果的な実施のためには、遠隔、多言語、多様な環境における円滑な対話や成果共有を促進するソフトウェア開発基盤の整備、および、同基盤上で展開する成果物や技術、プロセス、技術者のISO/IEC国際規格に代表されるグローバルスタンダード等を活用した実用的な標準化が不可欠です。しかしながら、考慮すべき側面がプロダクト、プロセス、ピープルの多岐にわたることや、大学における開発基盤研究者と企業等におけるグローバルスタンダード策定・実践者の共同研究機会が限られていたことから、基盤整備と標準化の実施が不十分かつ未実証となっています。
そこで本研究所では、参画予定の研究所員が有するソフトウェア開発基盤の多側面に関する研究実績、本学におけるソフトウェアエンジニアリング教育実績、および、組織活動およびグローバルスタンダードに関する長年の研究実践実績をベースとして、基盤整備と標準化を柱としたグローバルソフトウェアエンジニアリングについて調査研究を実施する。開発対象として扱うソフトウェアにはエンタープライズシステム向けと組込みシステム向けの両者を含め、共通部分や特化部分を基盤および標準化において明確とすることを合わせて目指します。例えば開発・運用トータルでの省電力性を標準化に組み入れる場合、部品化再利用を通じたエコな開発は概ね共通であり、計算アルゴリズムの高効率化(エコな計算)や資源の高効率利用(エコな資源利用)についてはシステムに応じて特化した形で必要となります。
研究成果を方法論や知識体系としてまとめあげて公開することにより、本学や研究所員の所属企業のみならず世界中の企業や大学等組織におけるグローバルなソフトウェア開発に対応可能な人材育成、および、グローバル開発の効率的効果的推進に貢献していきます。
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鷲崎 弘宜 理工学術院准教授
早稲田大学 理工学術院 鷲崎研究室