Office for Promotion of Equality and Diversity早稲田大学 ダイバーシティ推進室

【開催報告】12/16プロジェクト講演会「共生社会の実現に向けて ~世界を知るパラアスリートが感じた現在地と課題~」(講師:多川知希氏)

2024年度 男女共同参画・ダイバーシティの推進プロジェクト講演会
「共生社会の実現に向けて ~世界を知るパラアスリートが感じた現在地と課題~」

  • 開催日:2024年12月16日(月)
  • 講師:多川 知希 (たがわ ともき)氏
  • 開会挨拶:石田 京子 ダイバー推進室長、法学学術院教授
  • 閉会挨拶:秋葉 丈志 スチューデントダイバーシティセンター長、国際学術院准教授
  • 司会進行:竹迫 寿 人事部調査役

*イベント概要はこちらから

開催報告

2024年12月16日(月)、29号館109教室にて男女共同参画・ダイバーシティの推進プロジェクト講演会を、対面およびウェビナーによるハイフレックス形式で開催いたしました。
会場には一般の方も多く参加してくださり、学生、教職員、オンラインも含め、総勢60名ほどの参加がありました。
講師に本学卒業生のパラアスリート、多川知希さんをお招きし、ご自身の競技経験やパラリンピック3大会に出場した際のお話を中心に、楽しいエピソードも交えながら和やかな雰囲気の講演会となりました。

リオパラリンピックの際の銅メダルを披露してくださった多川さん

開会の挨拶をする石田京子ダイバーシティ推進室長(法学学術院教授)

冒頭、開会の挨拶では、ダイバーシティ推進室長である石田京子法学学術院教授より、本学のダイバーシティ推進の取り組みが説明され、障がい者支援の分野としては全国の大学に先駆けてUDマップを作成したことや、講演会イベント等に対する合理的配慮の推進などを行っている旨の紹介がありました。

講演は、多川さんが早稲田大学、そして大学院に在籍していた6年間の楽しい思い出話から始まり、ご自身の先天性の障がい(右上肢機能障害)、そして義手についてもお話しくださいました。
陸上との出会いは小学校からのお友達が陸上部に入ったことがきっかけで、中学、高校の部活動で陸上部に所属したそうです。足が速かったわけではなかったため、当時は短距離種目ではなく、砲丸投げのような、いわゆる投擲種目をしていたという多川さん。

大学、大学院の6年間は本当に楽しかったと語る多川氏

大学進学後も、特に陸上競技を続ける予定は全くなく、違うスポーツをやって楽しもうと思い、サッカーやフットサルの見学体験に参加してみたものの、理想と現実の違いに直面。退屈そうにしている多川さんを見かねたご両親に勧められたのが、パラリンピックの競技だったそうです。

 

2004年、全国障がい者スポーツ大会の予選会に出場し、100mをぶっちぎりで優勝し、「すごく楽しい」と思えた経験からパラスポーツを続けてみたいと感じたそうです。同年アテネパラリンピックの伴走者を経験していた今の所属チームに出会い、パラリンピックの楽しさ、面白さなどを知り、自分も出場してみたいという思いから夢や目標ができ、障がい者スポーツに深く関わることができたと語られました。

パラリンピックに初めて出場したのが、大学院生時代だったという2008年の北京パラリンピック。比較的自由に時間を調整できた分、次の2012年のロンドンパラリンピックでは、社会人になって初めての大会だったため、慣れない環境変化に苦労されたそうです。

会場参加者は直接メダルに触れさせていただきました

そして2016年のリオパラリンピックはテレビで生中継されたこともあり、注目度が過去二大会に比べてだいぶ違った大会だったそうで、過去2大会での悔しさから諦めずに最後まで走り続けた結果、銅メダル獲得という素晴らしい成績をおさめられました。
ただ、実はこの銅メダル、当初は4位でゴールしたが、他国のバトンパスの失敗により3位に繰り上がったそうです。まさに「棚からぼたもち」だったと例えられていましたが、実際は「限りなく棚の近くにいて落ちてきたメダル」だったので素直に嬉しかったと当時を振り返っていました。

世の中の技術の進歩に期待したいと語る多川さん

パラリンピックを通じて、やり続けることによって自分を支えてくれる人の存在を改めて認識でき、目標を見つけて共感、切磋できる仲間にも出会い、パラリンピックに出場することで、障がいというコンプレックスを自信に変え、自分の中で徐々にやり続ける覚悟が芽生えていったそうです。

多川さんは、現在所属されているチームではキャプテンを任されており、チームメイトには知的障がいや脳性麻痺の選手もいたり、まったく障がいのない健常者の選手もいて、それぞれが自分の目標に向かって競技をしているので、このチームこそが共生社会を実現できているのではないかと感じているそうです。
一方で、ルールや型にはめた共生社会こそが息苦しいものになってしまっていると思う人もいるかもしれないので、パラアスリートとしては、周りに遠慮することなく走り続けて、パラリンピックで活躍することが使命なのだと熱い思いを語ってくださいました。

多川さんは実は司会を務めた竹迫寿人事部調査役(右)の高校陸上部の後輩

講演後の質疑応答では、参加者から「各国のパラリンピックの違いを感じたエピソードは?」「前向きにいろんなことにチャレンジされている多川さんの今後の目標は?」「健常者に対してパラリンピックへの理解やもっと関心興味を示すためには何が必要か?」など、さまざまな質問が寄せられ、ひとつひとつ丁寧にお答えくださいました。

 

 

 

閉会の挨拶を行う秋葉丈志スチューデントダイバーシティセンター長(国際学術院准教授)

閉会の挨拶は、早稲田大学スチューデントダイバーシティセンター長の秋葉丈志国際学術院准教授にしていただき、「模範的な発信をみせていただいた。私たちひとりひとりが連携して活躍できる社会づくりができるよう、早稲田大学としても取り組みを続けていきたい。」と締めくくりました。

 

 

 

 

武田京三郎教授よりサプライズの花束を受け取る多川さん

終始、笑顔がとても印象的だった多川さん。
講演後には大学院まで在籍した研究室の武田京三郎教授(先進理工学術院)よりサプライズの花束贈呈がおこなわれました。

 

 

研究室有志の皆さまから届いた祝い花の前で

また、研究室の有志の皆さんからは会場に祝い花が届いたり、多方面の方々が会場にお越しくださっていたりと、多川さんのお人柄があらわれた、とても華やかな講演会でした。

 

 

ご参考:【動画】プロジェクト講演会_ダイジェスト版

<参加者からの感想>
  • 楽し気にお話なさっておられたのが印象的でした。
  • 障がい者の方からの、障がいおよび共生に対する意識、考えを聞くことができたのが大変新鮮でした。
  • 多川さんのお話、とても楽しく聞かせていただきました。冒頭から場を和ませる、笑わせてくれる話術にオンラインで聞いていた身としては是非対面でお話を聞きたかったなと思いました。「共生社会の実現」という言葉は多川さんは好きではないという話題も最後に出ていましたが、私もこの言葉はしっくりこないかもと聞き終わって感じました。私たちが勝手に見えない壁を作っているだけで、私たちだって視力が悪くて眼鏡をかけるとか、(障がいとまでは言えないかもですが)障害はあるのに、生活への支障が少ない、かつ同じ症状の方が多くいるというだけで、障がいを持った方であっても普通に何ら変わらないのに、いわゆる健常者と言われる私たちが自然と「障がい者」と分けた見方をしているのだと、メディアで聞いた話をふと思い出しました。健常者が何かできることは?という質問もありましたが、そういった視点ではなく、そういった意識を取ることが重要なのでは、と改めて考えさせられた講演でした。ありがとうございました。

リオパラリンピックに出場した際の銅メダル

  • 示唆に富んだ素晴らしい話だった。
  • 障がい者に寄り添い、アスリートとして精進しようとする姿勢が素晴らしいと感じました。
  • パラリンピックの選手の話を間近で聞けて、とても貴重な機会でした。パラリンピックの放送がオリンピックよりとても少なくて、ニュースになっていたりしたけど、アスリート目線からは特に支援が足りないと思ったことはないとお話されていたのが印象的でした。
  • 周りの人に喜んでもらえる、応援してもらえる事を力にして頑張ってこられたんですね。これからも頑張ってください。
  • まさに真の文武両道!初めてお目にかかりますが、多川様の素晴らしいお人柄は各方面からうかがっておりました。
  • このような機会に、より多くの学生さんに参加してもらえばよいのではないかと思いました。

オリジナルのケースに入っているそうです

  • 卒論で共生社会にまつわるテーマを扱い、興味を持ったため参加しました。パラリンピックのお話、面白かったです。多川様の物事に対する考え方が非常に勉強になりました。
  • とても興味深く、本当に学びが多かったです。自分の取り組んでいる卒論のテーマとも合わせて、アスリート個人の目指すこと、目標、やりがいと、パラスポーツというもの全体の在り方、良さ、目指せることとの関係について考えながら聞いていました。
  • パラアスリートについて、いろいろ教えていただきました。今後はパラリンピックに向けて頑張っている選手たちに関心を持つようにしていきたいと思います。貴重なお話を聞かせていただきありがとうございます。

など、幅広い感想が寄せられ、大変満足度の高い講演だったことがうかがえました。

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/inst/diversity/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる