玉城絵美氏をゲスト講師・アドバイザーにお迎えして
2022年8月3日、琉球大学教授でH2L株式会社創業者である起業家・研究者の玉城絵美氏を講師にお招きし、「第8回Rikohティータイムシンポジウム」を、一部対面とオンラインのハイブリッド形式で開催いたしました。学部生・大学院生・関係教職員の他、附属・系属校や近隣の都立戸山高校の生徒など67名の参加がありました。
冒頭、ダイバーシティ推進室長である所千晴先生(理工学術院教授)より「日々勉強や研究に励む学生や若手研究者の皆さんが、講師のお話を聞いて、将来をイメージし、今後訪れるであろうさまざまな状況をしなやかに乗り切るヒントとしてほしい」と本シンポジウムの趣旨が語られ、玉城氏の講演が開始されました。
玉城氏はまず、人とコンピュータの相互作用を促進する情報科学のひとつである、ご専門のHCI(Human Computer Interaction)という分野について平易な言葉で解説をされました。その分野の研究をするようになったきっかけについて「私は高校生の頃から、部屋の中にいながらにして外での体験をたくさんしたい、という強い思いを抱いていました」と述べられました。
その欲求を実現させるために「科学技術で理想とする未来が実現され、自分の開発した技術が世の中に浸透し、皆が体験共有しているイメージを膨らませていました」と続け、「このように『明確になった欲望』というものは実現する、と私は信じています」と力強く語られました。
講演の最後では大学での研究と就職について、玉城氏の視点から見た現状についての解説があり、「まずは自分の欲望に向き合い、周りの人々の欲望にも向き合いつつお互いが幸せになれる方法を模索してほしい。今後のキャリアや人生設計をどう進めるかを深く考え、明確にしながら前に進んでいただければと思います」と締めくくられました。
講演終了後は質疑応答の時間が設けられ、会場とオンラインそれぞれの参加者からの質問に、玉城氏よりお答えいただきました。「TRL(技術成熟度)のうちどのフェイズに関わっていると最もわくわくするか」「製品の量産に関して、資金面でどのように工面されたのか」「難しい時、苦労する局面ではどのような思いやモチベーションを持って乗り越えてきたか」「起業する場合、自分のやりたいことと市場のニーズとの間でどうバランスを取ればよいか」等々、参加者の関心の高さをうかがわせる多種多様な質問が寄せられ、玉城氏からそれら一つひとつへ丁寧にご回答をいただき、第1部 を終了いたしました。
第2部は、講演を終えた玉城氏と所先生に加え、高橋大輔先生(理工学術院教授)、橋田朋子先生(理工学術院教授)、高山あかり先生(理工学術院准教授)、地神貴史氏(早稲田大学職員)、松尾亜弓氏(早稲田大学職員)にアドバイザーとして加わっていただき、会場とオンラインそれぞれで少人数に分かれ、グループセッションを行いました。
玉城氏もセッションに加わり、各グループをまわられました。講演内容に関する質問からキャリアに関する相談まで、高校生・学部生・大学院生がそれぞれ意見を交わし合い、セッションは大いに盛り上がりを見せました。特に対面形式でのセッションは2019年以来ということもあり、対面ならではの良さを再認識したという声も聞かれました。
参加者からは「最先端の研究者の方のお話にとても刺激をいただきました」「講演内容がとても面白く、どのように研究を進めていくのかが具体的に聞けてよかったです」「今までやりたいことが曖昧でしたが、講演を聞いて早く明確にしてやってみることが大切だと気づかされました」「グループセッションを通して、悩みが軽くなりました」「高学年・修士の学生の話も聞くことができて、上級生や大人の研究への考え方を知ることができてよかったです」といった感想が寄せられました。