Comprehensive Research Organization早稲田大学 総合研究機構

その他

ベトナム総合研究所
Vietnam Research Institute

研究テーマ

アジア・ダイナミズムとベトナムの経済発展:未熟脱工業化への挑戦

分野:地域

研究概要

 ベトナム総合研究所は2004年10月に設立されたプロジェクト研究所である。設立後、三期にわたって、ベトナムの経済発展と日越関係に関する諸問題に取り組んできた。より具体的には、激動するアジア地域の中に位置づけられるベトナムの現段階の課題は何か、今後どのような発展戦略が必要であるか、持続的発展を支えていく人材をどのように養成するかといった点である。また、日本とベトナムの政府間協力、日本企業の対ベトナム直接投資、技術移転が効果的になるために望ましいあり方は何か、等を総合的に研究し、政策提言を行うと共に、幅広く関係方面に情報を発信してきた。
 第4期では、引き続きベトナムを中心とする研究者、実務者を講師とする研究会を定期的に開催するほか、以下のプロジェクトを科研費申請、採択を念頭に研究活動を行う。
研究テーマ:アジア・ダイナミズムとベトナムの経済発展:未熟脱工業化への挑戦
日本を筆頭に始まったアジアの経済発展は、韓国や台湾、そしてASEAN先行国(マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン)、中国へと続いた。そして、成長の波はベトナムを始めとするメコン地域に及んでいる。ただし、アジアの発展は個々別々に成し遂げられたものではない。先発国から資本や技術・ノウハウなどの生産要素が投資や貿易を通じて後発国へ伝播し、内部蓄積を促される。また、各国の要素賦存状況に応じて工程別に分業関係が構築される、相互依存を深めながら域内全体で発展を遂げた。こうしたアジアのダイナミズムは今後もアジア地域の発展基盤となるだろうが、他方でそれが発展段階の異なる国々が持続的に発展を遂げることを担保するのかといった疑問も生じる。
 また、開発経済学では、長い間、経済成長のエンジンは工業化であると言われてきた。工業部門が技術進歩、生産性向上などの点で優れて、経済全体の成長を押し上げやすいからである。しかし、2000年代に 入り、所得が十分に高まらない段階で工業化が成長ドライバーの役割を終えてしまう事象が観察されるようになった。このように、デジタル化の進展、ロボット活用、3D印刷等の技術の進歩変化は大きく、雇用創出など製造業が従来果たしてきた役割が維持できるかどうか不確実になっている。また、中国、インドといった大国が発展し、周辺諸国はその影響を否が応でも受けざるを得ない状況となっている。本研究プロジェクトでは、アジアのダイナミズムを念頭に置きながら今後のアジアの経済発展について、ベトナムを中心に据えつつ、経済学的なアプローチのみならず学際的な視点からも検討する。

研究報告

【2019年度】
2019年度は、「アジア・ダイナミズムとベトナムの経済発展」を共通テーマに設定し、所員各自が課題を設定し、研究を行った。本プロジェクトの問題意識は以下の通りである。
かつて貧困と停滞で形容されたアジアはここ50年間に、他のどの地域よりも際だった発展を遂げたが、アジアの経済発展は個々の国が別々に発展を遂げたわけでなく、地域全体で工業化を通じて発展するプロセスであった。工業化の広域化(地理的拡大)と深化(各国の産業構造高度化)が同時進行するアジアのダイナミズムは今後もアジア地域の発展基盤となるだろうが、世界的な貿易摩擦の激化、中国経済の成長力の弱まりを反映して、アジアを取り巻く環境は変化している。また、多くの国が中所得段階に入った現在、いわゆる中所得の罠を避けるためにも、解決していかねばならない課題は少なくない。本プロジェクトでは、アジアのダイナミズムを念頭に置きながら、今後の経済発展について、ベトナムを中心に様々な視点から検討を行いたい。
以上の問題意識に基づき、所員及び外部研究者の参加もあり、計16本の論文が研究成果として発表されたが、それらを三部構成でまとめ直し、2020年1月、『アジア・ダイナミズムとベトナムの経済発展』(文眞堂)として出版した。
また、書籍出版化作業と並行して、アジア経済の現況を理解・把握するため、計4名の外部講師を招き、勉強会を不定期で行った。

【2018年度】
2018年度は、2015年に開始した3カ年プロジェクト「メコン地域開発とアジア・ダイナミズム:ASEAN後発国発展の政治経済学的研究」(文部科学省科学研究費(基盤研究B))の最終成果を書籍出版するための作業を行った。本プロジェクトの成果である計11本の論文を三部構成でまとめ直し、2019年1月、『メコン地域開発とアジア・ダイナミズム』(文眞堂)として出版した。
また、書籍出版化作業と並行して、新規プロジェクトの立ち上げに向けた勉強会を不定期で行った。そこでは以下のような議論が行われた。2000年代に入り、所得が十分に高まらない段階で製造業が成長ドライバーの役割を終えてしまう事象が観察されるようになった。デジタル化の進展、ロボット活用、3D印刷等の技術の進歩変化は大きく、製造業が従来果たしてきた雇用創出などの役割を今後も維持できるかは必ずしも明確でなくなっている。こうした議論を通じて、新規プロジェクトでは、アジアのダイナミズムを念頭に置きながら、経済発展における工業化の役割を再検討していく意向である。
なお、2018年11月、ハノイ大学BNUと日本交流基金共催の国際シンポジウム「The 150th Anniversary of Meiji Restoration: Implications for Vietnam」(ベトナム・ハノイ)に研究所員2名が招待され、「明治維新後の日本の近代化過程:ベトナムの視点を踏まえた再評価」に関して研究発表した。

【2017年度】
2015年に開始した3カ年プロジェクト「メコン地域開発とアジア・ダイナミズム:ASEAN後発国発展の政治経済学的研究」(文部科学省科学研究費(基盤研究B))の最終年度であり、これまでの成果は計11本の論文として纏められた。本プロジェクトを通じて得られた知見は以下のとおりである。
現在、メコン地域におけるインフラは道路網を中心に着実にネットワークが拡大、域内緊密化を促している。これらをさらに進展させる上で制度面での改善が必要である。また、メコン諸国は各国が策定した戦略に基づき発展を模索しているが、域内の緊密化を前 提とした発展戦略の構築が望まれる。 さらに、メコン域内では日本企業のみならず、韓国企業、タイ企業が積極的な事業展開を行っている。特に、製造業分野のみならずサービス業の分野での進出 も活発になっている。現状では、製造業、サービス業ともにベトナムへの進出が目立っているが、域内の開発が進み緊密化が進展することで、CLM3カ国への波 及、拡大が期待される。こうした活動を活発化させるためには、制度の統一など域内の一体化を進める方策が求められる。
 なお、本プロジェクトの成果を広く公表する場として、2018年2月、社会科学総合学術院先端社会研究所との共催で国際シンポジウム「アジア・ダイナミズムとメコン地域開発」を早稲田大学・国際会議場で開催した。

【2016年度】
ベトナム経済研究所は、2015年度から3か年の計画で「メコン地域開発とアジア・ダイナミズム:ASEAN後発国発展の政治経済学的研究」(文部科学省科学研究費(基盤研究B))を中心に活動している。本研究では、後発国と先発国の格差是正の課題と方策をGMS 及び東アジアの経済ダイナミズムを踏まえて、学際的・包括的に分析することを目的とする。
2年度目にあたる2016年度は、東アジア・ダイナミズムの視点から、1.メコン地域開発課題の探索、2.経済区・工業団地、3.交通インフラ整備、4.企業戦略・発展、5.人的資本形成・労働移動の各テーマについて、各担当者が2015年度での基礎調査を踏まえて現地調査を実施し、テーマの深耕に努めた。また、メコン経済圏に関わる専門家、研究者を招聘、意見を聴取する勉強会を4回実施し、実態把握並びに今後の展望等につき議論した。
これら研究成果の中間報告の場として、2017年2月、ハノイ国家大学、ベトナム社会科学院、アジア太平洋経済センターとの共催で国際シンポジウム「Development of Mekong Region in the Asian Dynamic Context」をベトナム・ハノイにて開催した。

【2015年度】
 ベトナム総合研究所は、2015年度から3か年の計画で研究テーマ「メコン地域開発とアジア・ダイナミズム:ASEAN後発国発展の政治経済学的研究」(文部科学省科学研究費(基盤研究B))を中心に活動する。
 新たな成長フロンティアとして注目を集めるメコン河流域経済圏(GMS)に関する既存研究では、道路・港湾などの物流や各国の開発状況の分析はなされているが、経済特区などの生産拠点の分析、地域の生産の担い手となる外国企業・地場企業の戦略と発展の分析、人的資本の形成と労働移動の分析を踏まえた複合的研究はなされていない。こうした点を鑑み、本研究では、後発国と先発国の格差是正の課題と方策をGMS 及び東アジアの経済ダイナミズムを踏まえて、学際的・包括的に分析することを目的とする。より具体的には、1.東アジア・ダイナミズムの視点からのメコン地域開発課題の探索、およびキャッチアップ条件の分析枠組の構築、に加えて2.経済区・工業団地、3.交通インフラ整備、4.企業戦略・発展、5.人的資本形成・労働移動の各ファクターに焦点を当てて、経済的・政治的側面から上記課題を分析する。
 2015年度は、上記の5つの中心テーマについて、基礎的な文献整理・データ収集を中心に行った。また、メコン経済圏に関わる専門家を招聘し、勉強会を5回開催し、実態把握に努めた。

【2014年度】
早稲田大学ベトナム総合研究所は2004年10月に設立されたプロジェクト研究所である。2014年9月末日に第2期ベトナム総合研究所の5年間の活動期間を終え、10月からは構成員メンバーを一部変更して、新たに同名の第3期ベトナム総合研究所として出発した。
第3期は「ベトナムを中心としたメコン河流域の開発と人口・労働移動に関する研究」をテーマにプロジェクト研究に取り組んでいる。2014年度の定例研究会では、科学研究費の申請を含めた今後の研究計画を策定した。
2月にはベトナム、タイ、カンボジア、ラオスへの調査出張を実施し、現地の研究者とメコン地域開発に関する意見交換を行うとともに今後の研究協力を取り付けた。各国のJETROやJICAの現地事務所からの情報収集や、カンボジアとラオスの経済特区(SEZ)の工業団地の視察も行った。
2014年度は今期の研究プロジェクトを推進するために文部科学省科学研究費補助金(基盤研究B)に応募し、2015年度から3か年の計画で採択された。研究テーマは「メコン地域開発とアジア・ダイナミズム:ASEAN後発国発展の政治経済学的研究」(研究代表者:トラン・ヴァン・トゥ)である。

所長

鍋嶋 郁[なべしま かおる](国際学術院)

メンバー

【顧問】
Tran Van Tho

【研究所員】
鍋嶋 郁(国際学術院教授)
山田 満(社会科学総合学術院教授)
劉 傑(社会科学総合学術院教授)
大門 毅(国際学術院教授)
奥迫 元(社会科学総合学術院准教授)

【招聘研究員】
石田 正美(日本大学生物資源科学部国際地域開発学科教授)
苅込 俊二(帝京大学経済学部准教授)
鹿間 雄一(三井物産株式会社次世代・機能推進本部担当マネージャー)
白石 昌也(早稲田大学名誉教授)
Tran Thi Hue
DO MANH HONG(桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授)
西 晃(日本ビジネスオペレーションズ株式会社木場運用部副部長)
保倉 裕(学校法人東京音楽大学理事・特任教授)
松本 清(株式会社ソリトン代表取締役)
松本 邦愛(東邦大学医学部社会医学講座医療政策・経営科学分野講師)
森 睦也(国際協力機構上級審議役)

連絡先

[email protected]

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