Comprehensive Research Organization早稲田大学 総合研究機構

その他

中国古籍文化研究所
Research Institute for Chinese Old Book Culture

研究テーマ

中国の古籍(漢籍)をめぐる文化的諸事象の総合的研究

分野:文化

研究概要

中国は「文字」の国である。文字による記憶がなければ、この地の悠久にして多様な文明と歴史の連続性や一体性は主張できないほどである。それらは、古来、甲骨、金石、竹帛などさまざまなメディアに記録されてきたが、紙と印刷技術が発明されてより、その伝達と普及は格段と時空を拡大した。
本研究所では、そうした記録媒体の如何を問わず、時代と地域を超え、文字(漢字)資料として残されたありとあらゆるものを研究対象とし、それらが伝える情報をこの地の「文明の記号」として読み解こうとする立場を取る。従って、いわゆる名のよく知られた「古籍」(古典籍)の書誌学的、文献学的な研究は言うまでもないとして、ただそれのみに偏するのではなく、民間の片々たる刷り物を含め、各種の文字資料の成立、流布、流通を通して、その背後にある文化史的な諸事象についての全面的な探求を目指している。
ここ数年は、中国の研究機関との共同研究事業として、日本に残された各種の貴重漢籍についての整理と研究、ならびにその影印出版を進めてきており、さらにその対象範囲もいわゆる古典籍から中国近世の演劇、芸能、言語学資料などまで発展しつつある。さらに書物の民間への流布の実態は、日中の文化交流史における重要な課題であり、近年注目されつつある発展性のある課題である。
こうした研究を遂行し、国際的に研究の視座、研究課題、研究成果を共有するために、北京大学中国古文献研究中心、復旦大学古籍整理研究所とは、毎年共同シンポジウムなどを開催して密接に交流を重ねてきており、この実績を踏まえて、世界の大学、研究期間との共同研究、人的交流を積極的に推し進めている。この国際的学術活動においては、国内外のポスドクを中心とした、次代を担う若手研究者に研究成果発信、学術交流の機会を多々提供しており、人材育成にも力を入れている。

研究報告

【2018年度】
北京大学中国古文献研究中心、復旦大学古籍整理研究所、早稲田大学中国古籍文化研究所の毎年共催による国際交流シンポジウムの第11回となる「“中日漢籍与文化”国際学術研討会」を、今年度の担当校である本研究所が2018年9月4日(火)に開催した。北京大学から8名、復旦大学から5名、早稲田大学中国古籍文化研究所から6名の研究者が研究発表を行った。目録学、版本学、古典籍の校訂整理から古典籍を巡る詩文、小説、戯曲などの文化諸事象の様態など、多様な研究の成果が開陳され、活発な意見交換が行われた。
また、一関市からの委託による「芦東山とその主著『無刑錄』に関わる研究」では、本研究所顧問稲畑耕一郎(早稲田大学名誉教授)と本研究所招聘研究員である原田信(近畿大学准教授)を中心に、一関市と事業推進計画の打ち合わせ、並びに芦東山記念館をはじめ各地図書館、資料館での芦東山に関する資料調査を行った。なお、本受託研究が契機となって、芦東山を主題とした小説化の企画が出版社から起り、仙台在住の直木賞作家熊谷達也氏による小説『芦東山』の連載が月刊『潮』2019年1月号より始まったことを付記しておきたい。

【2016年度】
本年度は、9月に北京大学中国古文献研究中心・復旦大学古籍整理研究所との合同で「東亜視野中的中国古典文献与文学」をテーマとした国際シンポジウムを上海で復旦大学を会場として開催し、本研究所からは6名の研究員が参加して、発表を行った。
一関市からの委託研究である「芦東山とその主著『無刑錄』に関わる研究」では、前年度からの『無刑錄』の校訂本の作成の調査と研究を継続するとともに、11月に一関教育委員会との共同主催で早稲田大学において「再発見・再評価――仙台藩藩儒 芦東山と『無刑錄』」というテーマで公開の国際シンポジウムを開催した。このシンポジウムには発表者として海外から4名、国内から2名の学者を招き、本研究所からは2名の研究員が発表した。またこのシンポジウムの参加者がそろって一関の芦東山記念館を訪問し、そこに所蔵される関連資料を共同で調査し、同時に一関摺沢の室蓬ホールで市民を対象とした講演会を開催、地元の漢学者である芦東山の「再発見再評価」についてメディア報道を含めて大きな反響があった。またこれに関連して、所長の稲畑は3月にアメリカのヒューストンのライス大学で開催された“Reconsidering the Sino Cultural Sphere: A Critical Examination of the Use of Literary Chinese by East Asian Cultures”という国際会議に招待され、そこで“Ashi Tōzan’s Mukeiroku and Sojihyōen: A Confucianist’s Life and Works at Sendai-han in Edo period”を発表し、海外での芦東山研究に足がかりを作った。
この他、各研究員がそれぞれの関心に従って研究を進めている成果を2017年度に論文集として編集し日本語と中国語で刊行することを決定し、その準備作業に取り掛かった。

【2014年度】
本年度の主たる活動は、国際シンポジウムの開催と岩手県一関市からの委託研究の遂行、并びに各研究員のそれぞれの多彩な研究活動であった。ここでは主として前二者について概略を報告する。
まず国際シンポジウムは、5月に本学文学学術院大学院中国語中国文学コース、香港バプティスト大学大学院中文系と共同で大学院生を主とするシンポジウムを開催した。これは本学の院生に研究成果を国際学会において中国語で発表する機会を与え、専門領域での学術交流を通して若手研究者の養成に繋げる主旨からであった。同世代の院生による活発な討論があり、相互に大きな刺激と収穫があった。
また、12月には、北京大学において、北京大学中国古文献研究中心、復旦大学古籍整理研究所との三機関共同主催での「東アジアの漢籍」をテーマとしたシンポジウムを行い、本研究所からは6名の研究員が参加し、発表を行った。
一関市からの委託研究「芦東山とその主著『無刑録』に関わる研究」についての活動は、初年度の本年は所長の稲畑、招聘研究員の原田信を中心として遂行した。地元の芦東山記念館との共同調査のほか、稲畑による安徽省合肥での国際シンポジウム(安徽大学徽学研究中心など主催「儒学と地方文化:徽学国際研討会」)での発表、さらには本学図書館所蔵の芦東山の書翰の翻刻などを行った。
なお、本研究所がかつての活動で民間の印刷資料として収集し長く所蔵していた「中国年画」を一括して大学の戸山図書館に移管し、多くの人の利用に供することとした。

【2013年度】
数年来、北京大学中国古文献研究中心との間で共同研究を続けてきた日本に所蔵される貴重漢籍研究プロジェクトの成果の一つとして、国会図書館と国立公文書館所蔵の宋元漢籍について、その解題付き影印本『日本国会図書館藏宋元本漢籍選刊(国外所蔵漢籍善本叢刊)』6種8冊、『日本国立公文書館宋元本漢籍選刊(国外所蔵漢籍善本叢刊)』11種15冊を、6月に鳳凰出版社(南京)から刊行した。また、この成果を踏まえ、北京大学の同中心との間では引き続き両機関の連携を維持発展させることを確認し、同様の日本に所蔵される貴重漢籍の調査と研究を始動させた。
また毎年、北京大学中国古文献研究中心、復旦大学古籍整理研究所と間で共同主催・輪番責任制の形で開催しているシンポジウムは、本年度は12月26日27日の両日、「文本・詮証・伝播――中国典籍と東亜文化交流」をテーマとして、上海で開催し、本研究所員8名が参加して発表した。
本研究所主催の講演会は、文学部中国語学文学コースと共同で、11月23日に北京大学中文系の劉玉才教授を招いて「松崎慊堂縮刻『唐石經』芻議」のテーマで行った。
3月31日には、台湾の淡江大学中文系、早稲田大学中国語・中国文学コースとの三者共催で「社会と文化」というテーマのシンポジウムを戸山キャンパスにて開催した。このシンポには中国からも5名の研究者が参加し、総勢23人がそれぞれの最新の研究成果を発表した。

所長

岡崎 由美[おかざき ゆみ](文学学術院教授)

メンバー

【顧問】
稲畑 耕一郎(早稲田大学名誉教授)

【研究所員】
岡崎 由美(文学学術院教授)
大森 信徳(法学学術院准教授)
辻 リン(法学学術院准教授(任期付))
土谷 彰男(法学学術院教授)
内山 精也(教育・総合科学学術院教授)

【招聘研究員】
安 平秋(北京大学中文系教授・中国全国高等院校古籍整理研究工作委員会主任)
石井 理(明海大学外国語学部講師)
岩田 和子(法政大学法学部准教授・早稲田大学非常勤講師)
荻野 友範(慶応義塾高校教諭・慶應義塾大学非常勤講師)
川 浩二(立教大学教育講師)
紺野 達也(神戸市外国語大学外国語学部中国学科准教授)
佐藤 浩一(東海大学外国語教育センター准教授・早稲田大学非常勤講師)
石 碩(早稲田大学非常勤講師)
高橋 智(慶應義塾大学文学部教授)
陳 廣宏(復旦大學古籍整理研究所長)
鄭 利華(復旦大學古籍整理研究所教授、副主任)
野原 将揮(成蹊大学法学部専任講師)
原田 信(近畿大学経営学部教養・基礎教育部門専任講師)
伴 俊典(早稲田大学非常勤講師)
松浦 智子(神奈川大学外国語学部中国語学科)
劉 玉才(北京大学中文学系教授)
廖 可斌(北京大学中文系教授、北京大学中国古文献研究中心主任教授)

連絡先

E-mail:[email protected]

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