Comprehensive Research Organization早稲田大学 総合研究機構

その他

臨床法学教育研究所
Institute of Clinical Legal Education

研究テーマ

法理論と法実務の教育研究における臨床法学教育の役割

分野:教育

研究概要

 本研究所は、法実務の現場から3つの研究活動を行うものである。第1は法理論の発展であり、第2は法実務の改革であり、第3は法学生の教育方法の開発である。従来から、「理論と実務の架橋」の試みは継続されてきたが、臨床法学教育の方法論は、理論と実務の相互関係において、教育という営為を加えることによって、次世代に引き継ぐべき理論と実務のベースラインは何であるかを明らかにし、次世代と共に取り組むべき現状の改善と改革のために何をすべきかを探求するものである。
 本研究所は、現実の事件またはそれを素材に現実性の極めて高い教材を用いて、法科大学院学生を対象としたリーガル・クリニック、シミュレーション、およびエクスターンシップの教育方法を開発してきた。今期の本研究所の活動は、この教育方法論をさらに発展させて、法学部教育や法曹の継続教育にも活用するために、次の6つを研究の柱として活動を行う。
 第1に、臨床法学教育の方法論の調査研究である。法学部および法科大学院を志望する学生が減少しているなかで、実践の学問としての法学の教育方法を刷新する上で、問題解決型および政策提示型といわれる臨床法学教育がどのような役割を担うことができるかを研究する。第2に、臨床心理学を活用した法実務教育のプログラムの開発である。法律相談等でみられる心理的精神的問題を抱えた相談者・依頼者にどのように対応するかについて、研修プログラムを開発改良する。第3に、家事紛争解決のあり方を検討するプログラムの開発である。家事紛争解決に関わる弁護士や調停委員の研修や学生教育に資するプログラムを開発する。第4は、大規模災害等の被災者の法的救済と法律家の役割を検討するプログラムの開発である。このプログラムの開発により、法科大学院学生や法学部学生が被災者への法的救済活動に取り組むことを、正規の単位取得を伴った科目とすることをめざす。第5は、カリフォルニア大学バークレー校との共同研究の推進であり、日米の法実務の変容に対し法学教育および法実務教育がいかに責任を果たすことができるかを研究する。第6は、臨床方法論を用いる医学教育から法専門職を養成する法科大学院が、教育方法論として何を学ぶことができるかを検討する。

研究報告

【2018年度】
2018年度の臨床法学教育研究所の活動は、下記の通りです。
まず、4月20日に、スティーヴ・ザイドマンニューヨーク市立大学ロースクール教授による「ニューヨーク市立大学(CUNY )ロースクールにおける理論・技能・責任の統合的教育の実際」と題した講演会を早稲田大学比較法研究所と共催した。本講演会では、臨床法学教育が法曹養成制度の中で確立しているアメリカの状況について講演して頂いた。また、6月9日(土)法科大学院協会の臨床教育シンポジウムの後援を行い、本研究所研究員によるシンポジウムの企画、登壇者の調整を行った。また、本研究所研究員である、岡田裕子氏がこれまで行ってきた臨床心理プロジェクトの成果を踏まえた著書が出版された。そして、これまでの活動について公表するHPを立ち上げることを企画し、未だコンテンツのアップはこれからであるが、ひとまず、ドメインを獲得し、ホームページを設立することができた(URL: http://www.icle-waseda.jp/)。本年度は、ホームページの公表、ホームページ上でのこれまでの成果の公表を行っていく予定である。

【2016年度】
 臨床法学教育研究所は、2016年度において主に次の4つの研究項目について研究活動を行った。(1)臨床法学教育の国際的発展について、5月にアメリカ・ロースクール協会臨床法学部会の年次大会に研究員を派遣し、アメリカ法曹協会のロースクール認証基準において、ロースクール修了の要件として2016年度秋学期入学者から臨床系科目6単位が必修化されることについて資料を収集した。(2)法科大学院教育の社会的貢献について、全国の法科大学院が地域社会の法専門職教育および実務研修の拠点となっていることについてセミナーを開催し、立命館大学および鹿児島大学について状況を把握した。(3)家事紛争解決プログラムとして、家事事件に関わる弁護士や調停委員を対象とした研修教材の開発を行った。(4)専門職教育における臨床教育方法論の比較のために、医科大学における臨床系授業の見学会を実施した。

所長

石田 京子[いしだ きょうこ](法学学術院)

メンバー

【顧問】
宮澤 節生(カリフォルニア大学ヘィスティグス校ロースクール上席客員教授、神戸大学名誉教授)

【研究所員】
石田 京子(法学学術院教授)
大塚 直(法学学術院教授)
大塚 英明(法学学術院教授)
尾崎 安央(法学学術院教授)
島田 陽一(法学学術院教授)
清水 章雄(法学学術院教授)
須網 隆夫(法学学術院教授)
菅原 郁夫(法学学術院教授)
高橋 則夫(法学学術院教授)
高林 龍(法学学術院教授)
棚村 政行(法学学術院教授)
古谷 修一(法学学術院教授)
宮川 成雄(法学学術院教授)
山野目 章夫(法学学術院教授)
和田 仁孝(法学学術院教授)
鈴木 敏宏(法学学術院教授(任期付))
吉田 秀康(法学学術院教授(任期付))
水野 泰孝(法学学術院准教授(任期付))

【招聘研究員】
吾妻 望(弁護士)
渥美 優子(弁護士)
池田 雅子(弁護士)
池原 毅和(弁護士)
伊藤 朝日太郎(弁護士)
植草 桂子(損害保険料率算出機構)
上柳 敏郎(弁護士)
大坂 恵里(東洋大学法学部教授)
太田 和範(弁護士)
大塚 正之(弁護士)
岡田 裕子(臨床心理士)
小川 隆太郎(弁護士)
小島 秀一(弁護士)
尾谷 恒治(弁護士)
梶村 太市(弁護士)
椛嶋 裕之(弁護士)
川上 資人(弁護士)
河﨑 健一郎(弁護士)
神田 安積(弁護士)
久保山 力也(大分工業高等専門学校講師)
小泉 恒平(弁護士)
河野 敬(弁護士)
小林 英晃(弁護士)
齊藤 裕也(弁護士)
佐藤 裕則(日本弁護士連合会情報統計室研究員)
佐藤 亮(弁護士)
四宮 啓(國學院大學大学院法務研究科教授)
清水 保彦(弁護士)
白木 敦士(弁護士)
竹内 彰志(弁護士)
谷 眞人(弁護士)
趙 誠峰(弁護士)
外山 太士(弁護士)
中村 良隆(中央大学日本比較法研究所嘱託研究員)
中山 代志子(弁護士)
西野 優花(弁護士)
花本 広志(独協大学大学院法務研究科教授)
浜辺 陽一郎(弁護士)
原口 佳誠(関東学院大学法学部専任講師)
日置 雅晴(弁護士)
福島 健史(弁護士)
福田 健治(弁護士)
藤倉 輝道(日本医科大学医学部教授)
松本 武之(弁護士)
三澤 英嗣(弁護士法人三田パブリック法律事務所所長)
水橋 孝徳(弁護士)
道 あゆみ(弁護士)
三宅 千晶(弁護士)
森山 裕紀子(弁護士)
山口 卓男(弁護士)
山崎 優子(立命館大学グローバル・イノベーション研究機構「法と心理学」研究拠点の創成ポストドクトラルフェロー)
四ッ谷 有喜(北海学園大学大学院法務研究科教授)

※2021年11月29日更新

連絡先

宮川成雄研究室
E-mail:[email protected]

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