Comprehensive Research Organization早稲田大学 総合研究機構

その他

アジア国際移動研究所
Institute of Asian Migrations

研究テーマ

アジアにおける人の越境移動に関する政策、実践、およびその影響についての研究

分野:地域

研究概要

本プロジェクト研究所は、アジア地域における越境移動について存在している、また発生しつつあるパターンについての研究に焦点を当てる。国内外の研究者と連携し、共同研究を進め、国際移住における新しい概念・理論的フレームワークを構築し、中央政府及び地域運営組織への政策提言をすることを目的とする。
 アジアは地域的に広大にわたり、世界の人口の2/3を擁する。この人口が多い大陸において、人々はより良い生活を求めて、国境を越えることを止めようとはしない。1980年代以降の経済のグローバル化、人口の変動、そして国際教育、観光の拡大は急速な人口移動をもたらした。とりわけ、ASEANのような地域統合コミュニティを作る試みは、アジア域内における人々の移動を促進した。人々は働くため、学ぶため、結婚するため、ライフスタイルを追求するため、不安定な環境から逃れるため、異なる気候や生活様式を享受するために移住する。
 アジアにおける具体的な社会組織、政治体制、経済発展、文化構成は、最近だけではなく歴史的に移住現象がこの地域にとって特有であることを意味する。移動のパターンと結果は必然的に複雑になる。西洋に起源を有する移住理論はアジアにおける研究に情報を提供してきた。それにもかかわらず、アジアにおける多様な移住様式や移動過程における複雑さは、新たな問いをもたらし、またそれらを説明する新しい概念的な枠組みを必要としている。
 本研究プロジェクトは早稲田大学を基盤として、アジアにおける国際移住について研究する学外及び海外研究者とも協働する。共同セミナー、ワークショップ、共同研究プロジェクトを通じて、アジア移住の研究を促進する。

研究報告

【2019年度】
1.Asian Migration Seminar Seriesの開催
2019年度は、Asian Migration Seminar Seriesを7回開催した。以下、「題名」(講演者、実施日)を実施順に記す。1)「Migrant healthcare seeking: some conceptual, methodological and empirical insights from superdiverse Europe」(Prof. Jenny Phillimore、2020年4月16日)、2)「Challenges and Facilitators of Research between Academia and Local Communities」(Dr. Qulsom Fazil、4月19日)、3)「Trends and Attitudes towards Migration Globally」(Dr. Neil Ruiz、4月22日)、4)「Liberal Violence: Governing Irregular Migration Along European Borders」(Dr. Arshad Isakjee、5月28日)、5)「An epistemological exploration of cross-border divorces: the example of Filipino (non-)migrants」(Dr. Asuncion Fresnoza-Flot、9月18日)、6)「Out of Place: Racial-Ethnic Legacies and Migration in Advanced Democracies」(Dr. Desmond King、10月25日)、7)「Intra-regional migration, gender and the care economy: policies, institutions and organisational actors」(Prof. Ito Peng・Prof. Pei-Chia Lan・Prof. Nicola Piper、11月5日)。以上7回のセミナーは、所員の他、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科の教員・学生、一般にも開かれ、研究所として世界各国における移民研究の成果を共有する機会となった。

2.NODE(New and Old Diversity Exchange)事業の実施
NODE(New and Old Diversity Exchange)事業をバーミンガム大学IRiS(Institute for Research into Superdiversity)と協働して展開した。日本と英国における移民研究者の交流を促進し、移住によってもたらされる多様性・統合に関する知見を深めることを目指した。
2019年6月に日英合同のワークショップをブリッセルで行った。その成果は11月に6編のワーキングペーパーとして出版された。12月2日から6日の5日間、早稲田大学を会場として、日英合同の国際会議を催した。日本の国会議員・官僚・実務家が一同に会したラウンドテーブル、新大久保へのフィールドトリップを通じて、英国の研究者は日本の移住における課題を把握した。第一線の研究者によるマスタークラス、若手研究者への論文指導のワークショップも催した。日本と英国を中心に約40名の研究者が発表した。発表の成果は、今後、ジャーナルComparative Migration Studiesの特集として出版することを目指す。

【2018年度】
アジア国際移動研究所は2018年10月1日より正式に活動を開始した。2019年3月までの半年間で、以下の活動を行った。

1. 組織活動
(1)アジア国際移動研究所のウェブサイトを、研究を紹介し、活動を大衆に発信するためのプラットフォームとして構築した。
(2)早稲田大学高等研究所より2名の助教を迎え入れ、研究員を増員した。

2. 外部研究資金の申請
ファーラー・グラシア教授, ロバーツ・グレンダ教授,シュレスタ・ティナ助教, ホフ・ヘレナ研究助手はそれぞれ日本学術振興会科研費を応募し、基盤C、若手研究Bなどの科研費を3つ採択された。博士課程の加藤丈太郎は特別研究員奨励費に応募し採択された。

3. 国際協働研究
(1) バーミンガム大学と2つの資金申請において協働した。英国のESRC UK-Japan Connection Grantと国際交流基金知的交流のための国際資金を得た。
(2) ファーラー・グラシアはデュースブルグ・エッセン大学のKaren Shireと国際加速基金で、共同研究を行った。

4. 出版
研究所メンバーが2018年10月から2019年3月まで、国際ジャーナル4本、国内ジャーナル1本、本の共著2章、紀要と研究レポート2本の出版した。

5.国際ワークショップ、国際会議、公開セミナー
(1)2018年12月18日から19日に、アジア国際移動研究所はブリュッセル自由大学と協働し、ブリュッセルのブリュッセル自由大学と「移住プロセスにおける、親密性・セクシャリティと家族-ヨーロッパ/アジアの経験の比較から」ワークショップを催した。ファーラー・グラシア及びホフ・ヘレナ研究員が発表をした。また、ファーラーがUniversity of Oxford など欧州5つの大学で招待講演をした。黒田教授がAsia Pacific Association for International Educationなどの学会で招待講演を3回行った。ホフ助教はAASアジア研究学会で研究発表を行なった。

所長

ファーラー グラシア[ふぁーらー ぐらしあ](国際学術院教授)

メンバー

【研究所員】
ファーラー グラシア(国際学術院教授)
勝間 靖(国際学術院教授)
黒田 一雄(国際学術院教授)
陳 天璽(国際学術院教授)
早瀬 晋三(国際学術院教授)
ロバーツ グレンダ S(国際学術院教授)
シュレスタ ティナ(高等研究所講師(任期付))
スナム ラメシュ クマラ(高等研究所講師(任期付))
加藤 丈太郎(国際学術院助教)

【招聘研究員】
ホフ ヘレナ(チュリッヒ大学日本研究科ポストドック)

WEBサイト

https://www.waseda-iam.org

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