開催報告:2024年度10月研究例会(第222回オペラ研究会)
- 日時:2024年10月5日(土)16:30 – 18:00
- 場所:ハイフレックス形式(対面とZoomによるオンラインの併用)
- 対面会場:早稲田大学 西早稲田キャンパス(理工学術院キャンパス)54号館204教室
- 発表者:井上 登喜子
- 所属:お茶の水女子大学
- 題名:『明治・大正期における上演文化と合唱文化の交差――児童劇と大学合唱団に注目して――』
- 言語:日本語
概要:
近代日本のオペラ受容が、まずもって知識人の著作物等の「記されたもの」からの受容(明治期のワーグナー・ブームなど)に始まり、それに続いて、明治末期から大正期に、さまざまな音楽劇の上演の試み(東京音楽学校生、帝劇、浅草オペラ)がなされたことはよく知られる。本研究は、黎明期の音楽劇の上演をめぐる諸問題のうち、「声を合わせて歌う」、「音楽を聴く」、「音楽に合わせて動作をする」という「身体文化」に注目し、同時代の洋楽受容と学校教育の文脈から検討するものである。音楽劇の上演に必要不可欠な「身体文化」の習得が、明治・大正期の学校教育における唱歌教育と舞踊教育の結びつきのなかで、または、旧制大学を中心に全国に普及した合唱文化を通して、どのように理解され、実践されてきたのかを考察する。本発表では、(1)お伽歌劇《ドンブラコ》などの児童劇や唱歌劇、(2)大学合唱団やグリークラブによるオペラ抜粋の合唱レパートリーの検討を通して、明治・大正期における音楽劇の上演文化の一端を、合唱文化との関わりから明らかにしたい。
発表者プロフィール:
お茶の水女子大学教授。博士(人文科学/音楽学)。音楽文化形成の諸相について、近代の日本と欧米の演奏会文化や聴取文化を中心に歴史的、実証的方法から研究している。主著に、Western classical music in a non-Western culture: The repertoires of Japanese professional orchestras in the twentieth century (Poetics)、『オーケストラと日本人』(アルテスパブリッシングより近刊)、『「聴くこと」の革命:ベートーヴェン時代の耳は「交響曲」をどう聴いたか』(共訳)など。
司会者:佐藤英
コメント:38名(会場11名、オンライン27名)の参加者があった。
問合せ先
早稲田大学総合研究機構 オペラ/音楽劇研究所:https://prj-opera-mt.w.waseda.jp/
e-mail address: operaken-uketsuke[at]list.waseda.jp ([at] = @)