開催報告:2023年度1月研究例会(第216回オペラ研究会)
- 日時:2024年1月20日(土)16:30 – 18:00
- 開催方式:オンライン開催(Zoom使用)
- 発表者:荒又 雄介
- 所属:大東文化大学外国語学部
- 題名:『見かけ上、ごく率直に』― 劇中劇とツェルビネッタの自己演出
- 発表言語:日本語
概要:
劇中劇という仕掛けは、舞台芸術が虚実のあわいにあることを、観客に強く印象づける。『ナクソス島のアリアドネ』の序幕をなす楽屋の場面はその典型例である。アリアドネを歌うソプラノ歌手とバッカス役のテノール歌手は、衣装もカツラもなしに登場する。彼らの立ち居振る舞いに、神話的人物のオーラはない。
一人ツェルビネッタだけが、作品全体を通して一貫した性格を保持している。コメディア・デッラルテのコケットが演じるのは、一作中人物の言によれば、いつも「自分自身」だからである。しかし、はたしてこの評価は正しいのだろうか。ツェルビネッタ自身が、自分はコケット役を演じているだけだと主張していることを、私たちは忘れてはならないだろう。しかも、どうやらこの主張こそが、作品解釈やオペラ演出の分かれ目で、ひょっとすると、作家ホーフマンスタールと作曲家R. シュトラウスの見解が異なった箇所なのかもしれないのである。
本発表では、ツェルビネッタの舞台上での虚と実に焦点を当てて、作家ホーフマンスタールのテクストと、作曲家シュトラウスの音楽の重なりとずれについてお話しします。
発表者プロフィール:
早稲田大学第一文学部卒業、同大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。大東文化大学外国語学部准教授。専門はドイツ文学。近年は、オーストリアの作家ホーフマンスタールの文学とヴェネト地方の関係に関心がある。 「一回性と循環 ― ホーフマンスタールの『夏の旅』が描く自然享受と芸術創造」(早稲田ドイツ語学・文学会2023年)、「鐘楼の天使の球とその変容 ― フーゴ・フォン・ホーフマンスタールの散文作品『美しい日の思い出』に描かれる光」(早稲田ドイツ語学・文学会2019年)、Erzähltes, reflektiertes und fiktionalisiertes Leben. Zu Schnitzlers Novelle Casanovas Heimfahrt.(日本独文学会2017年)他。
司会者 : 北川 千香子
コメント:28名の参加があった。



