Comprehensive Research Organization早稲田大学 総合研究機構

News

ニュース

開催報告:オペラ/音楽劇研究所 2023年度4月研究例会

開催報告:早稲田大学総合研究機構 オペラ/音楽劇研究所 2023年度4月研究例会

▼2023年度4月研究例会(第209回オペラ研究会)

  • 日  時:2023年4月8日(土)16:30 – 18:00
  • 開催方式:オンライン開催(Zoom使用)
  • 発  表  者:氏名 小川 佐和子
  • 所  属:北海道大学大学院文学研究院
  • 題  名:『誇大化するユートピア、放浪するノスタルジア:エメーリヒ・カールマンのオペレッタと第一次世界大戦』
  • 発表言語:日本語
  • 概要:
    第一次世界大戦期、破壊と野蛮に満ちた現実のディストピアは、オペレッタの世界にも侵入していった。まずエメーリヒ・カールマンの《チャールダーシュ侯爵夫人》(1915年)において「平時」の軍事演習から「有事」の召集へと意味が変容する。大戦中に上演されたオペレッタでは、レオ・ファルの《イスタンブールの薔薇》(1916年)が示すように、現実とは裏腹に帝国のユートピアが誇大化していった。大戦後は、崩壊した帝国への寄る辺なきノスタルジーに溢れるカールマンの《マリツァ伯爵夫人》(1924年)や《サーカスの女王》(1926年)といった作品が陸続と初演される。その後、新世界アメリカと旧世界ヨーロッパの文化的対立を描いた《シカゴの公爵夫人》(1928年)を経て、帝国の文化的残滓として《マリンカ》(1945年)がアメリカで上演されるに至った。
    本発表では、ハプスブルク帝国期から戦間期へと移行する第一次世界大戦期のカールマンのオペレッタを中心に、帝国の理念であった「民族融和」というユートピア、帝国の喪失に伴うノスタルジア、戦争という現実のディストピアがどのように表象されたのかを明らかにする。
  • 発表者プロフィール
    早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。京都大学人文科学研究所助教を経て、現職。専門は映画史。著書に『映画の胎動:一九一〇年代の比較映画史』(人文書院、2016年)、共編書に『新派映画の系譜学:クロスメディアとしての〈新派〉』(森話社、2023年)、論文に「ハプスブルク帝国末期のユートピア:ウィーン・オペレッタにおける多民族・多文化表象」『演劇研究』(2021年)、「戦間期ベルリン・オペレッタの重層性:メロドラマ化と自己パロディ」『北海道大学文学研究院紀要』(2020年)など。
  • 司会者 : 石井 道子

コメント:27名の参加者があった。

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/inst/cro/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる