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ナショナリズム・エスニシティ研究所:『王のいる共和政――ジャコバン再考――』刊行

ナショナリズム・エスニシティ研究所:
『王のいる共和政――ジャコバン再考――』が刊行されました

 

▮書 名:王のいる共和政――ジャコバン再考――

▮編 著:中澤 達哉

▮発売日:2022/06/28

▮価 格:3,520円(税込)

▮出版社:岩波書店

概要

本研究は、市民革命期のヨーロッパで形成されたジャコバン主義の特性を、「王のいる共和政」論の存在に焦点をあてつつ、国際比較の上で検証することを目的とする。これによって、必ずしも民主政と等価の関係にない近代共和政の多様性を確認しつつ、「王のいる共和政」から「王のいない共和政」への転換という、ヨーロッパ近代共和主義がもつ新たな側面の通時的・動態的な把握を試みるものである。総じて本研究は、これまで等閑視されてきた近代に内包された複数の様態に着目することで、近代歴史学および国民史の認識に再考を迫り、近代史の総合的な再構築を試みる。実際に、近年の歴史学およびナショナリズム研究では、近世社会がもった独自性を明らかにしながら、近世史と近代史をいかに接続させるかが課題の一つとなっている。J・ポーコックの共和主義論 、H・ケーニヒスバーガやJ・エリオットらの複合国家論、P・ギアリーのネイションの神話論などを踏まえるならば、近代ヨーロッパの姿はどのように見えてくるだろうか。近代の重要な概念と見なされてきた共和政、それに付随する革命や自由といったキーワードは、より広い歴史的文脈のなかでどのように再考されるだろうか。

本論集は、近世史と近代史を接続するキーワードとしてあらためて「共和政」を選び取り、この概念がもった多義性と輻輳性に着目しながら、近世から近代への変動期の実態に肉薄するものである。その際、本論集は、複数の地域を比較する補助線としてジャコバンを選択する。フランス国民史の文脈の中で理解されてきたジャコバンは、その世界史的な意義とともに空間的にも時間的にも「広がり」をもって受け入れられた事象である。それ故に一方で、ジャコバンという名辞に偏差を引き起こした各地域特有の社会的条件と国民主義とを、通奏低音として着目する必要があるだろう。本論集は以上の点に着目し、身分・社団制および君主政原理への対応の相違や偏差に基づき、第1部「ジャコバンの諸相:「王のいる共和政」と「王のいない共和政」」および第2部「19/20世紀的転回」において、各地域のジャコバンの思想と運動を検証する。なお、本論集は、ナショナリズム・エスニシティ研究所内の研究グループ「伝統と国民形成」班の研究成果である。

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