2024年度 第2回 教師教育研究フォーラム
「教育の今」-主体的・創造的な学校を支える-
開催報告
教員も子供も元気になる学校と持続可能な教育システムづくりについて参加者と共に考え探求するため、教員の働き方改革と人間として育つ子どもの教育改革の両面からの問題解決を取り上げた。グループ対話、質疑応答も活発に行い、参加者の意見交流を深めることができた。このフォーラムは参加者に新しい可能性と実践につながる契機となったと思われた。
参加者数65名(学内:5名 学外:60名)
開催概要
- 日 時:2024年10月27日(日)13:00~17:30
- 会 場:早稲田大学国際会議場3階 第三会議室(東京メトロ東西線 早稲田駅徒歩10分)
- 講 師:松本 謙一氏(富山県南砺市教育長/富山大学名誉教授/前金沢大学教職大学院教授/日本生活科・総合的学習教育学会顧問)
- 演 題1:「教員もワクワクする学校!を支える持続可能なシステムづくり―教育委員会の挑戦-」
- 演 題2:「人間として育つ子ども!-個別最適な学びを支える話し合いはどうあればよいか―」
- 参加費:無料(先着80名)
- 主 催:早稲田大学教師教育研究所
- 後 援:早稲田大学総合研究機構
早稲田大学教師教育研究所HP: (https://prj-kyoshikyoiku.w.waseda.jp/
フォーラムのねらい
本研究所はこれまで、様々な「教育の今」を問い教師教育研究フォーラムを開催してきました。
2024年度 第2回目のフォーラム(10/27)は上記の演題で講演会を開催します。
◆演題①は、学校が元気になる!教員がワクワクする!子どもたちが人間として育つ!ことを目指した南砺市の教育改革を取り上げます。改革の理念は、「戦後74年間の当たり前と、学校の均一を見直そう」の発想です。改革の3本柱は①『チーム担任制』(チームで授業や学級・学年運営を行い現場で若手を伸ばす等学校の主体的創造的な取り組み)。②『地域基盤の小中一貫教育』(各地域のよさを生かした多様な教育課程の奨励。全学校を特認校に)。③『部活動改革』(人口減少で各学校では限界があるので教育委員会主導)です。①②の一例として、新設の「南砺つばき学舎」では、日課表から6時間目をなくし、部活動をしても17時に帰れる学校、先生も家族と夕食をとる日常を実現。子どもが自分で自分を見つけられる時間として『自学の時間』の新設もしました。
南砺市はこの5年間、新規採用教員の早期退職者ゼロを実現しています。
◆演題②『人間として育つ子どもー個別最適な学びを支える話し合いはどうあればよいかー』
松本氏は、個別最適な学びを進めると、これまでの『共通課題・共通問題』を中核にした話し合いは意味をもたなくなることに着眼しました。その突破口として、聞き手の立ち位置、「つまり聞き手が話し手の懐(ふところ)に入って共感的に聴く段階を重視」することが大切であると考えました。そこで氏は各学校の「朝の会」の『話題』に、自ら飛び入り実践しながら、教員の「話し合い」のパラダイムを変える研修に取り組んでおられます。朝の会では、授業と違い「話題提供者(話し手)が何を伝えたいか」教師も聞き手も分かりません。ここからどのような聞き手と語り手の交流が紡ぎ出されていくか、その過程を人間として育つ子どもの姿から考えようとされています。
◆講師は教育長の松本謙一氏です。氏は、中学校・小学校教員を20年経験後、大学教員となり多数の教員を輩出しました。共に実践研究し出版*も重ねています。特に生活科、総合的な学習の時間、ESD(SDGs)理科教育の研究を深め、幼児教育から大学院教育まで携わってこられました。
(*『自然読解力をはぐくむ授業と教材提示』学校図書2009/『子ども理解と授業づくりポイント82』東洋館出版社2020)
◆フォーラムでは、ご参加の皆様と対話や質問を通して活発に協議を進めてまいりたいと思います。