開催報告:早稲田大学総合研究機構 オペラ/音楽劇研究所 2023年5月研究例会
▼2023年5月研究例会(第210回オペラ研究会)
- 日 時:2023年5月13日(土)16:30 – 18:00
- 開催方式:オンライン開催(Zoom使用)
- 発 表 者:大田 美佐子
- 所 属:神戸大学大学院人間発達環境学研究科人間発達専攻表現系講座 准教授
早稲田大学総合研究機構オペラ/音楽劇研究所 招聘研究員 - 題 名:『クルト・ヴァイルの社会派音楽劇と社会的メディアとしての音楽劇』
- 発表言語:日本語
- 概要:
クルト・ヴァイル(1900-1950)は、その生涯を通じてその数30に及ぶ、様々なタイプの音楽劇を生み出してきた。2014年のスティーヴン・ヒントンの研究では、ヴァイルの音楽劇全体を「舞台改革」という視点から解釈している。本発表では、特にその多様な音楽劇のあり方を俯瞰し、ヴァイルによる音楽劇の理論と実際を参照しつつ、その特徴を「社会派音楽劇」と位置づけたい。「社会派音楽劇」とは、その時代の重要な社会問題を、適切な音楽形式を通して聴衆に直接的に語りかける「社会的メディア」としての音楽劇である。この視点は、昨今のトランスナショナルな受容を考えた時に、作品理解や上演においても示唆に富む。
発表では、具体的な作品例とともに、以下の三つの視点から、「社会的メディア」としてのヴァイルの音楽劇とその創造の美学、社会的な影響について論じたい。
1. ラジオとオペラ
2. 教育メディア
3. 政治的メディア
- 発表者プロフィール
東京生まれ。東京藝術大学で音楽学を、学習院大学大学院でドイツ演劇を学ぶ。ウィーン大学人文学研究科博士課程修了。専門は音楽学 (音楽文化史・音楽美学)。2022年に単著『クルト・ヴァイルの世界 – 実験的オペラからミュージカルへ』(岩波書店刊)を上梓した。近年はヴァイル研究での「亡命・越境」的観点から、「対話的音楽文化史」の分野に関心を持ち、ハーバード大学のC.J.オージャ教授との共同研究では、異なる文化や社会的背景の共有という視点から、占領期や戦後の音楽文化史を調査・研究している。現在、神戸大学大学院准教授。researchmap.jp/Misako_Ohta
- 司会者 : 大野 はな恵
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