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企業課題をテーマにした実践的な授業設計

2023年度開講科目早稲田大学ティーチングアワード
総長賞受賞
対象科目:経営システム工学専門実習(システム分析)

受賞者
高橋 真吾/野中 誠

「経営システム工学専門実習(システム分析)」の授業は、実例に基づく架空の企業を題材にしたプロジェクト型学習を中心に展開され、学生が企業の課題を分析し、解決策を提案することを目的としている。「この授業は、3年生を対象に、これまで学んできたプログラミングやシステム開発の知識を統合し、企業の業務プロセス改革を考える内容になっています」。

授業では、学生がコンサルティング会社の立場として、企業の業務改善の提案を行う形式をとっている。「私たちは、『解くべき課題』を学生に明示するのではなく、あえて表層的な情報のみを提供し、そこから学生が深掘りし、根拠情報をインタビュー等により集め、自ら課題を見いだすことを重視しています」。こうしたアプローチにより、学生は自ら仮説を立てて論理的に考え、解決策を提案するプロセスを経験する。

また、授業の最終回では、各チームの全員が「プレゼンテーションバトル」に参加し、他チームからの鋭い質問に答えながら、自らの提案を論理的に説明する力を養う。「全員が発表に対して責任を持つ仕組みを取り入れることで、学生が主体的に取り組むよう工夫しています」。

この授業は、理論と実践を融合させた形で運営されており、学生にとって実務に近い経験を積む場となっている。

企業を題材にしたプロジェクト型学習を設計し、学生自らが考える授業へ

この授業では、実例に基づく架空の企業を題材にしたプロジェクト型学習(PBL)を導入している。「腕時計の修理会社をケースとして取り上げ、企業の業務プロセスをどのように改善し、ビジネスモデルをどのように変革できるかを考える授業になっています」とのことだ。

授業の流れは大きく3つのフェーズに分かれている。最初に、基本的なシステム分析の手法を学び、次にその手法を活用して基本的課題を解決し、最後に独自の解決策を提案するという構成である。学生に、「企業のどこに課題があるのかを見つけ、適切な手法を組み合わせて解決策を考える力」を養うことを目的としている。

また、課題設定の自由度を高め、チーム独自の視点で問題を深掘りするよう促している。「PBL授業において、共通の課題を与えた方が運営は楽ですが、私たちは学生が課題そのものを発見することを重視しています」。この方法により、学生は受け身ではなく、自ら調査し、分析する姿勢を養うことができるという。

議論リーダーを設け、実践的に学ぶ機会を提供する

この授業では、学生の主体性を促すための工夫が随所に見られる。例えば、グループワークにおいて、各回に「議論リーダー」を決め、そのリーダーの働きについてメンバーにコメントをさせる仕組みを導入している。「授業ごとにリーダーを決め、その人の進行能力やチーム運営の工夫についてのコメントを共有することで、リーダーシップの育成を促すようにしています」。

リーダーへのコメントは全体に公開され、リーダーは自らの強みや改善点を知ることができる。「例えば、『リーダーはチームをまとめる力があったが、もう少し意見を引き出す工夫があると良い』といったコメントを共有することで、次回のリーダー役を務める際の参考になります」。

また、フェーズごとにグループを変えることで、さまざまな学生と協働する経験を持たせる工夫をしている。「授業の進行に合わせて、チームメンバーを入れ替えることでマンネリ化を防ぎつつ、グループワーク経験の幅を広げるようにしています」。最終フェーズでは同じ研究室のメンバーを中心に構成することで、今後の研究活動にも良い影響を与えるような関係性を築いているという。

このような仕組みを取り入れることで、学生はただ課題をこなすだけでなく、自らのリーダーシップやチーム運営の能力を実践的に学ぶことができる環境が整えられている。

外部のコンサルタントにプレゼンテーションし、ビジネス現場で求められるスキルを身につける

授業の終盤では、中間発表として学生が外部のコンサルタントにプレゼンテーションを行う機会を設けている。「学生視点だけではなく、実際のビジネスの視点からフィードバックを受けることで、より実践的な学びを提供しています」。こうした実務的な学びを通じて、学生が自分の考えを論理的に、分かりやすく、インパクトをもって説明できる力を身につけることを目指している。

この中間発表を通じて、学生は「与えられた手法を用いて分析した結果を説明する」のではなく、「自分たちの提案をクライアントに選んでもらい、実際に行動してもらうために説明する」ことの必要性を強く考えるようになる。「授業で学んだ手法はあくまで道具であって、その道具を活用することで『自分の考え』を研ぎ澄ましていくことが大事なのだと、学生は身をもって感じるようになる」と先生方は語る。

全員がプレゼンテーションを担当することで、一人ひとりが内容に責任を持つ

最終プレゼンテーションの形式にも工夫が凝らされている。「各メンバーは『先鋒』『次鋒』『副将』『大将』のいずれかの役割を担い、他チームの同じ役割を担う学生同士でプレゼンテーションバトルを行います。その際、一人ひとりが自分たちの提案内容を最初から最後まですべて説明し、相手チームからの質問に対応する形式を取り入れています」。この方式により、自分のチームの提案内容に全員が責任を持ち、グループワークに主体的に取り組むことを促している。

プレゼンテーションバトルの様子は、提案内容、発表と質問対応、質問の鋭さという3つの観点から他の学生が評価し、その結果を全体に公開する。また、上位チーム同士の決勝戦を行い、良い発表を全体の場で共有している。「学生は『他の学生の前で、恥ずかしい発表をするわけにはいかない』という思いを持ち、真剣に取り組んでくれています。そうした学生のおかげで、この授業のコンセプトである『マジメに楽しむ』が実現できています」。

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