Center for Higher Education Studies早稲田大学 大学総合研究センター

イノベーション力と思考力を高める教育で、
世界的に貢献できる人材を育てたい

2022年度春学期ティーチングアワード
総長賞受賞

対象科目:ネットワークセキュリティ

受賞者:伍 軍

 

ネットワーク時代の今、そのセキュリティ問題は世界的にも非常に関心の高いテーマだ。
国や産業界の研究プロジェクトにも数多く参加している伍軍教授は、
基礎から最新の動向にも触れながら展開する授業で、
ネットワーク・セキュリティの高度人材育成を目指している。

 

身近な事例から問題点を理解させ、ステップバイステップで進む

この授業の2022年度春学期の履修生は22名。すべてZOOMを使ったオンラインで行われた。「テクニック中心の授業なので、まずは理論と基礎を教えます。たとえば、プログラミング、コーディングの演習ですね。その後は、ソフトウェアやホストシステムなどの設計のやり方、さらには日本、アメリカ、中国の最新技術など実践的な情報も解説します」。

演習時は、教員のPCでデモンストレーションを行いながら詳細な説明をした上で、各自のPCで取り組んでもらう。重視しているのは学生が自分なりの変更を加えることだ。「革新的な能力や思考が重要だと考えているので、演習においても学生が自分のアイディアを取り入れつつアレンジを加えるように指示しています」。

演習後はそのレポートを提出させ、授業後にチェック。全員に短いコメントをつけ、次の授業でそれぞれの長所と短所を解説する時間を設けている。「他人のレポートを見て、何がよくて何が悪いか、改善すべき点をいっしょに考えることはとても有益です」。

学部を持たない大学院情報生産システム研究科の授業という事情もあり、履修している学生の出身学部はさまざまだ。全員が理解できるようにするために、一般的に分かりやすい事例の紹介から始めるよう工夫している。身近な話からネットワーク・セキュリティの重要性と問題点を認識させた後、そこに関連する基本的な技術や問題解決の方法を紹介する。「キャッシュレス決済やメールなど、学生が普段から関係する事例を取り上げ、基礎的な知識から深い知識へステップバイステップで進んでいくようにしました」。

また履修生の出身学部などを確認した上で、そのバックグラウンドに応じて学生を3つぐらいのグループに分けて把握し、あまり下地のない学生でも理解できるように、基本的なことをきちんと教えることを心がけているという。

キャリアプランの相談も含めて、学生との交流を密に図る

オンライン授業であっても集中力を持続させるため、頻繁に学生に質問をして答えさせるなど、授業中になるべく学生と交流を持つようにしている。質問事項はMoodleやメールなどでも受け付けた。「学生からの質問には、授業外でも時間があるときにはその場ですぐに返事をします。複雑な質問や忙しいときには後回しになりますが、それでもその日のうちには返信するようにしています」。

授業内での疑問点のみならず、将来を見据えた内容を話し合うこともある。「自分のキャリアプランを考えることを奨励し、目指すべきキャリアに役立つ就職活動を提案するなどのアドバイスもしています」。

2021年度に本学に赴任する以前は中国の大学で教えていた伍軍教授。北九州キャンパスということもあり、早稲田には留学生が多い点が大きな違いだと感じている。「留学生が多ければそれだけ学生の背景や能力、経験も異なります。国際的なプラットフォームを持つことは、技術に対してもグローバルなアプローチを持つことにつながります。ここでの学びを通してより国際的な視野を広げ、協調性を高めることで、早稲田と世界各国のトップ大学との連携教育の架け橋になれる授業を目指しています」。

新しい技術を学ぶモチベーションを持ち続けてほしい

現在早稲田で複数の授業を担当している中でも、この授業で扱うネットワーク・セキュリティは20年以上研究を続けてきた専門テーマでもある。「この分野については特に経験もありますし、より詳細な情報を持っています。関連業界や国際的な専門家とのコラボレーションも可能ですから、それを学生たちに共有できることはとても有意義だと感じています」。

日進月歩な世界だけに、常にアップデートは欠かせない。「授業の構成自体は学期のはじめに決めてありますが、実際に毎回使用するスライドや新しい技術の解説などはその都度付け加えています」。

授業全体のデザインや枠組みも、ブラッシュアップを重ねている。「たとえば、今非常にホットなトピックであるブロックチェーンについて、昨年は演習で技術を学び実践するようにしていましたが、今年はさらにプライバシーと関連させることも取り入れました。今後もひとつひとつ改善を重ねていきたいですね」。

将来的には、有名企業などから専門家を講義に招いて、業界が求めているものについて話してもらうことも考えている。「業界の現場をリアルに感じてもらえると期待しています。」

学生たちに伝えたいのは、「新しい技術を学ぶモチベーションを持ち続けて欲しい」ということだ。「過去の知識、現在の知識、そして最新の知識、それらを見分ける目を養い、興味を持ち、それを学ぶ意欲を持ち続けること。生涯を通じて世の中に貢献できるようになるためには、その点を忘れないでほしいですね。そして、この授業を通じて、ネットワーク・セキュリティの高度人材が育ってくれることを願っています」。

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