Center for Higher Education Studies早稲田大学 大学総合研究センター

学生に自己責任を自覚させ、
学ぶ意欲をもって努力するよう促す

2020年度秋学期ティーチングアワード総長賞受賞
対象科目:Introduction to Political Analysis 01
受賞者:ケラム マリサ


ケラム准教授が重視するのは、学びの管理責任を学生自身に持たせることと、

学んだ内容を身近な問題として考えさせることだ。

オンライン化となった今回の授業では、オンデマンド講義やZOOMでのグループワーク、

課題などが、互いにどうつながるかを理解させた。

全体の流れをつかんだ学生たちは各ステップの重要性を理解し、

ZOOMのワークショップにも楽しんで参加。教員学生共に高い満足度を得る結果となった。

オンデマンド講義とZOOMのライブセッションを組み合わせる

政治経済学部の英語学位プログラムとして設置されているこの科目は、政治学科目部門の現代政治領域における入門であり、1年生を対象とする4単位の必修科目だ。海外留学生がほとんどで、2020年度秋学期の履修生は133人だった。

2013年度から対面で続けてきたが、今回は週2回の授業のうち1回はオンデマンド講義、もう1回はZOOMのライブセッションで実施。一週間の流れは、あらかじめ「リーディングクイズ」(小テスト)に取り組んだ上でオンデマンド講義を視聴し、ZOOMでワークショップを含む授業に参加した後に課題を提出するという形になる。学期末にはオンラインでの試験も行った。

リーディングクイズでは、教科書からその週の講義に関連する部分をピックアップし、10問が出題される。10点満点で採点し最終成績にも反映した。これは予習的な位置づけとなっており、オンデマンド講義を視聴する前に解答させた。「今回使った教科書は授業で扱う内容とぴったり一致するものではなかったので、特に注目してほしい部分が分かるような問題を用意しました。学生には、まず教科書の目次で興味を持ったところに目を通し、その後問題を見て関連するところをもう一度読むようにと説明しました」。

オンデマンド講義は15~20分程度の動画を4本ほど用意した。春学期の他の授業でのオンデマンドは教員の顔も映したが、今回はZOOMセッションで顔を見せる機会があるため声のみの録音とした。「学生は順番通りに見るとは限らないので、各動画にイントロとまとめの部分を入れ、全体の流れが分かるように配慮しました」。

無理やり学ばせるのではなく、自ら学ぶ自覚を持たせる

動画視聴に関しては視聴履歴の点数化は行わなかったが、記録を見る限り概ねほとんどの学生が視聴していたようだった。「動画を見るかどうかは学生の側の問題と考えました。対面授業でも出席点はカウントしていないし、授業を真剣に聞いているかも監視していないので、オンラインになっても同じように学生の自己責任に任せようと考えたのです」。

自分の学びを自分自身の責任で管理させるのは、ケラマ准教授の理念でもある。「1年生対象なのでそこは強く意識して伝えました。科目登録をしたからには、用意された資料などをきちんと読んだり講義を聴いたりすることは大学生としての責任のひとつです。無理やり学ばされるのではなく、自ら学びたいという意欲を持つべきであると話しました」。

学習を自己管理できるよう、最初の講義では全体の授業の流れを説明する時間も設けた。「リーディングクイズやオンデマンド講義、ZOOMのワークショップなど全体の構成を図として提示して、順に進んでいかないとワークショップについていけないと理解させておきました」。

ノートテイクの指導にも力を入れた。講義の最初で取り上げてその重要性とコーネル大学式ノート術を説明。Moodleに資料もアップロードしておき、各自ネットなどでも調べてみるように促したり、実例を示したりもした。「私の講義が速すぎるとか情報が多すぎると言ってくる学生もいますが、ノートにすべてを書こうとするのではなく、自分の頭で考えながらポイントだけを書いていくことが大事だと教えました」。

学ぶ内容を実生活に応用する機会を与える

ZOOMセッションの回では、冒頭で簡単な質問にチャットで答えてもらう時間を設けた。「一方通行ではなく自分も参加している雰囲気を感じてもらいたいと考えました。みんなの地域では今の天気はどう?などと尋ねると、絵文字や一言アンサーで返してくれる感じですね」。

その後20分ぐらい短い講義を行ったうえで、4~6人ずつブレイクアウトルームに分かれ、与えられた課題について議論するグループワークを行った。その間教員は待機しており、グループ単位での質問があれは各ルームに入室して対応した。「グループワークの進行は学生に任せましたが、課題提出の必要性を理解していたので集中して参加していました。教員のいない場で自由に話せたのは、学生たちも発言しやすかったようです」。時間があるときは、最後にクラス全体でグループワークの内容を共有することもあった。

グループワークの活性化には、Moodle上に設けた自己紹介用のオンラインコミュニティも役立った。「自主的に写真も投稿するなど活発に参加してくれました。自分のSNSアカウントを公開して連絡を取り合う学生もいたようで楽しそうでしたね。各学生のホームタウンの話題などのほか、コロナ禍やオンライン教育についての意見を尋ねたりもしました。直接会えない状況でもお互いを知り合える機会となり、話しやすくなったと思います」。

今回のオンライン授業の経験を通して、従来もアクティビティは設けていたものの、教員が一方的に教える時間が長すぎたと気づいたという。「ZOOMセッションでは学生たちが身近に感じられるようなトピックを取り上げ、学んだ内容を自分たちの問題として考える機会を豊富に与えられたのが、とても良かったと思います。魅力的な授業にするために計画的に組み立てた努力が学生たちに認められて、うれしく思います。私自身もとても楽しかったので、それが学生たちにも伝わって楽しく参加してもらえたのかもしれませんね」。

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/inst/ches/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる