Center for Higher Education Studies早稲田大学 大学総合研究センター

講義内容の見直しとMoodleのフォーラム活用で、
馴染みにくい「法制度」がテーマでも興味を引く授業になった

2020年度秋学期ティーチングアワード受賞
対象科目:情報通信関連法規
受賞者:武井 俊幸

 

2017年度に設置された「情報通信関連法規」は、理工系では珍しい法律関連の科目だ。

当初からこの科目を担当する武井俊幸先生は、学生が興味を持つ授業にするために、

2020年度秋学期から内容の見直しに取り組み、同時に学部4年生と大学院との

合併科目に変更した。さらに、Waseda Moodleのフォーラムを活用することで、

学生とのコミュニケーションを活性化。一連の取り組みは、学生アンケートの結果にも

顕著に表れ、高い評価を受けている。

開講3年目が転機に。大学院との合併科目に変更し、講義内容もイチから見直した

長年霞が関で情報通信行政に従事し、現在も実務家教員である武井先生。そのキャリアを買われ、2017年度秋学期から新設科目の「情報通信関連法規」を担当することになった。

科目を担当して、2年間は特に問題もなく過ぎたという。しかし、3年目となる2019年度秋学期は学部の時間割の都合で、同じ時間に他の科目を履修する人が多かったことなどから、履修者が前年までの約半分に減少。さらに、履修者のモチベーションも低く、遅刻や欠席が多かったそうだ。「授業開始時に一人も来ていない日もあって、意気消沈しました。ただ、このままではいけないと授業の改善策を練りました」。

改善のポイントは主に2点。まず、履修対象者を学部4年生だけではなく、大学院生と学部生の「先取り履修者」(大学院の単位を学部生で取得できる制度の利用者)まで広げてもらった。「情報通信ビジネスの法制度を勉強してみたいという学生は限られるので、大学院との合併科目にすることで幅広い学生に学んでもらおうと考えました」。

もう1点は、一方的に知識を伝えることが多かった授業の進め方と講義資料を一から見直したことだ。そもそも、情報通信の法制度は刑法や民法などに比べて頻繁に改正されるため、既存の教科書はすぐに古くなってしまう。一方で、総務省や業界の最新情報は、そのままでは学生に難しすぎて、学生に面白さが伝わらないという問題があった。そこで、「学生にとって身近なスマホ等の事例からスタートするなど、学生の視点を重視して資料を再構成しました」。

2つの改善の奏功に加え、フォーラム活用で学生とのコミュニケーションが活性化

武井先生が取り組んだ授業の改善は、2点ともよい結果をもたらした。2020年度秋学期は、大学院生や「先取り履修」の学生も含めて、前年の倍以上となる35人が履修した。その中には、情報通信関連の法律に問題意識を持つ学生もいたという。また、身近な話で興味を持ってもらい、そこから法律に結びつけるという講義の構成も好評だった。「例えば、『携帯電話不正利用防止法』なら、最初に『なぜスマホの契約時には免許証などで本人確認をする必要があるのか?』という問いかけをして、そこから規制の必要性や法律上の義務について話すようにしました」。

一方、2020年度秋学期はコロナ禍でオンライン授業になったが、オンラインならではの工夫も授業にプラスに働いたという。1つめの工夫は、出席カードの代わりにWaseda Moodleに授業の感想を書き込んでもらったことだ。「出席か欠席かだけでなく授業をきちんと聞いているかどうかを知りたかったので、簡単な報告をしてもらいました」。小テストを行う方法もあるが、「採点の手間もありますし、それよりは学生の自由な感想や意見を聞きたいと考えました」。

結果的には、これが非常によかったと武井先生。学生が毎回の授業をどう受け止めたかがよくわかり、次の授業で何を補足すべきなのかも見えたという。「個々の学生が何を考えているかも、以前よりわかるようになりました。手軽なスタイルで自由に記述して貰ったので、学生の生活や経験に関連した感想や疑問も多く、顔は見えなくとも、学生のイメージを想像できました。オンラインになって学生との距離が縮まった気がします」。

また、Waseda Moodle内に、学生が自由に質問を書き込み、武井先生が回答する「質問フォーラム」を開設。質問と回答を全員で共有できるようにした。「以前も、Course [email protected]を使って学生からの質問には答えていましたが、学生との個別のやり取りにとどまっていました」。フォーラム開設当初はあまり多くなかったという質問も、徐々に増えていったそうだ。「情報通信に関しては間違った理解やデマも多かったので、質問が少ない間は私のほうから授業の補足説明やそうした間違った情報の訂正などを積極的に書き込みました」。そのうち、授業の終了と同時に質問がアップされるなど活況を呈するようになり、学生とのコミュニケーションが活発化した。

「他の科目もオンライン授業なので、孤独を感じていた学生もいたようです。毎回の回答が楽しみだったという感想も寄せられていました。また、2020年度はスマホの料金引き下げや5Gなどのニュースが多かったので、関心を持った学生が多かったのも盛り上がった一因かもしれません」。

対面授業に戻っても、授業の感想の書き込みやフォーラムの活用は続けていきたい

さまざまな取り組みによって、「情報関連通信法規」の2020年度秋学期の授業は、学生による授業アンケートの8項目すべてで高く評価された。「私は実務家教員で教育のプロではありませんが、Waseda Moodleを活用することで学生をきめ細かくフォローできたのがよかったのではないかと思っています」。フォーラムの質問への回答や補足説明の作成には時間もかかり大変だったというが、その反面、得るものも多かったと振り返る。

今後については、「オンライン授業は1年やっただけですから、まだ工夫の余地があると考えています。試行錯誤をしながら、まずは着実にこの方法を進めていきたいですね」。もちろん、この先対面授業に戻る可能性は十分にあるが、その場合も、オンラインのよいところ、例えばWaseda Moodleへの授業の感想の書き込み、質問フォーラムなどは続けていきたいと考えている。

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