Center for Higher Education Studies早稲田大学 大学総合研究センター

オンデマンド授業でも、工夫次第で密にコミュニケーションを取り、クオリティの高い意見交換ができた

2020年度春学期ティーチングアワード受賞
対象科目:社会構築論系演習(共生社会論6)
受賞者:黒川 悠輔


「社会構築論系演習(共生社会論6)」は、文化構想学部の社会構築論系で学ぶ2年生以上を対象とした演習科目だ。

この科目を担当して2年目となる黒川悠輔先生は、学生同士、また学生と教員間でのコミュニケーションを

重視することで、教育的な効果の高い授業を展開している。2020年度春学期はコロナ禍でオンライン授業と

なったが、その中でも変わらずコミュニケーションを取ると同時に、研究発表では対面授業以上の成果を上げた。

 

コメントのやり取りを通じて、オンデマンド授業でも活発なコミュニケーションを実現

他の科目同様に、2020年度春学期はオンライン授業となった「社会構築論系演習(共生社会論6)」。もともと、この授業では学生同士、また学生と教員間でのコミュニケーションを重視していたが、黒川先生が選んだのは画面越しに学生と教員が顔を合わせて話ができるリアルタイム配信授業ではなかった。「急遽、オンライン授業になったこともあり、Wi-Fiが切れる、画面が止まるなどのトラブルが起きる可能性も考えられました。そこで、確実に全員が一定以上のクオリティの授業を受けられることを最優先に考えてオンデマンド授業を選びました」。

ただし、オンデマンド授業でも「授業参加者のコミュニケーション」はこれまで通り重視した。そのために活用したのが、Waseda Moodleのアンケート機能だ。「授業後には、毎回必ず授業に関する意見や感想を書き込んでもらうようにしました」。いくつかのコメントは、次の授業の冒頭で取り上げて感想や解説を加えるようにしたという。コメントを返したり学生の反応を見て授業内容を調整したりするため、授業の動画は毎回、授業後に次の分を収録することになった。若干手間はかかるが、「学生からよい反応が返ってくることのほうが大切なので、それほど負担は感じませんでしたね」。

さらに、授業とは関係のない雑談を書くことや、それに対して他の学生が返信することも勧めた。もちろん、授業に関する学生同士のコメントのやり取りも推奨した。「ヘルシーなおやつはないかという書き込みに、おすすめレシピを紹介した学生がいたり、授業に関連する話題や動画を紹介してくれた学生もいました。お互いの情報を共有することで、学びを深めることができたと思います」。顔は合わせなくても、こうしたやり取りを通じてお互いにコミュニケーションを取れるようになり、その結果、研究発表の際にも抵抗なく意見を言える関係が作れたという。

文書ファイルによる個人発表に切り替えたことで、従来以上の高い教育効果を得られた

授業の中で行う研究発表も、2020年度春学期は前年度とやり方を変えた。対面授業ではグループ発表だったが、個人での研究発表に切り替え、発表の方法もWordやPowerPointで作成したファイルをWaseda Moodleにアップロードしてそれを他の学生に読んでもらうことにした。「グループ発表は、どうしてもグループでの作業が必要になるためオンラインでは難しいというのが、個人発表に変えた理由です」。

クラス全員が全員分の発表を読んで感想や意見を書くのは負担が大きいため、3人ずつのグループを作り、グループ内で発表を読み合うスタイルにした。「自分以外の2人の発表をじっくり読んで、時間をかけてメッセージを書き込んで欲しいと伝えました。一方で、テーマの一覧表を作り、他グループでも関心がある研究発表については自由に読んでもらい感想や意見を書き込めるようにもしました」。

文書による個人発表と意見交換は、対面でのグループ発表以上に教育上の効果があったと黒川先生。「グループ発表では一部の人に任せてしまう学生もいましたが、個人発表では自分一人で準備する必要があり、それぞれが力をつけることができました。また、対面での発表はその場の勢いでなんとかなる場合もありますが、文書ではごまかしが効かない点もよかったと思います」。発表後の議論も、文字ベースだからこそ、学生たちは何度も読み直しじっくり検討した上で意見を書き込むことになり、クオリティの高い意見交換ができたという。

研究とは何か、どのように問いを立てればよいか――研究の基本を改めて丁寧に教えた

もう一つ、2020年度春学期で黒川先生が力を入れて取り組んだことがある。それは、授業の中で基本的な研究の考え方や進め方を改めて学んでもらうということだ。「前年度に初めてこの授業を受け持って、実は研究の基本をよく理解していない学生がかなりいることに気づきました。また、レポートの書き方や発表の際の参考資料の作り方などの『正解』がわからず、不安を感じている学生も多くいることがわかりました」。

そこで、2020年度は「研究とは何か?」という根本的なところを、段階を踏んで教えていったという。特に、単なる「調べ学習」で終わらせないために、何を研究するかという「問い」の立て方については時間をかけて学べるようにした。「まずは、練習用課題で『問い』を考えてもらい、併せて研究の基本や問いの立て方について解説する時間を設けました。次に、自分の研究テーマと問いを設定してもらって、それに対してこちらからフィードバック。さらに、フィードバックを受けて学生が修正して再提出、というように繰り返し学ぶことで、最終的に全員がしっかりとした問いを立てられるようになったと思います」。

最後まで、教員と学生が顔を合わせる機会はなかったが、学生のニーズに応え、コミュニケーションを密に取ることができた授業の満足度は非常に高かった。学生授業アンケートでは、「授業が有意義でしたか」と「十分な学びが得られましたか」が、6点満点中いずれも5.92点と高い評価となった。

黒川先生が「社会構築論系演習(共生社会論6)」を担当するのは2020年度春学期が最後となったが、さらなる授業の改善点についても聞いた。「今回は、相手の発表を文書で読み、自分の意見をじっくり考えてもらいましたが、対面でやり取りしてその場でディスカッションをする力も重要だと思っています。今後は、ディスカッションの方法を確実に学んでいくための授業プランも作りたいと考えています」。

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