Center for Higher Education Studies早稲田大学 大学総合研究センター

News

ニュース

自身の経験を基に組み立てた丁寧な指導法が学生に好評。
将来アジアの星となる学生を育てたい

2019年度秋学期ティーチングアワード受賞
対象科目:Readings in Japanese Technology and Environment (Fall)

留学生と日本人学生が共に学ぶ日本近代のものづくり。

講義が英語で行われ、履修生の大半がアジア圏などからの留学生という特殊な科目だ。

教鞭を取る重松講師は、アメリカの高校、大学で学んだ後早稲田大学大学院で学んだという経歴を持つ。

その多様な環境で経験した学びの中から得たさまざまな知見を授業運営に生かしている。

特に学生に対する丁寧な対応は、学生からの高評価に繋がっている。

 

エッセイに手書きでフィードバックを行うといったきめ細かい指導が高評価を獲得

今回受賞対象となった「Readings in Japanese Technology and Environment(Fall)」は、「ソーシャルイノベーションプログラム(TAISI)」の英語で開講する科目であり、内容はソニーなどの日本企業と社会の「ものづくり」について扱う。2019年秋学期は履修生が27名であった。例年アジア圏などからの留学生が8割程度を占め、ここ数年の傾向として、日本人学生の割合も増えつつあるそうだ。

学生授業アンケート結果によると、6点満点中、全学平均値4.9に対し本科目の数値は5.8と非常に高い評価を得た。「教員は授業課題や学生の参加に関して効果的なフィードバックを行った」という点が特に評価された。授業は基本的には講義形式で、学生は予習をして授業に臨む。中間と期末にエッセイ提出の課題が2回出される。また、学生によるプレゼンテーションの機会を1~2回設けている。学生のエッセイには手書きで添削をしてフィードバックを返しているが、主にこれが学生からの高評価に繋がっているのではないかと重松講師は推察している。コメントは赤ペンで気になる箇所に手書きをしているそうだ。「平均すると1つのエッセイ指導に10分程度はかかります。気がつくと、紙の裏側にまでびっしりコメントを書いているときもありますけれど」。

プレゼンテーションでは、グループ分けの際に重松講師なりの工夫をしている。グループは3~4名で構成するが、あらかじめ学生たちの出身地を聞いておき、それによって意図的にグループ分けを行うこともある。例えば2回プレゼンテーションの機会がある場合は、1回目はさまざまな地域の学生を混ぜた多国籍のグループ、2回目はあえて同じ地域のグループを作るといったように。「学生間の異文化交流も大事ですが、尖った発表をしてほしいという思いがあります。学生のプレゼンは、似通った内容になってしまいがちなので」。

自分自身の学んだ日米の学び舎のよいところを集めて授業を構成

重松講師は早稲田大学で、この授業以外にもマンガやアニメをテーマとした「Readings in Culture and History」、環境をテーマとした「Readings in Japanese Technology and Environment (Spring)」という 3つの授業を担当している。これらを担当することになった際には「学生に興味を持ってもらえる授業をしよう」という強い思いがあった。重松講師は高校、大学をアメリカで過ごした後、早稲田大学社会科学研究科で学んだ。これらの経験で得た気づきが、現在教育に携わるうえで影響を与えているという。例えば、アメリカでは50分授業が週に2回あった。しかし、早稲田の大学院で最初に授業を受けた際には「いつ終わるのだろう」と思うほど1時限が長く感じたそう。その後教壇に立つことになったが「学生が集中できるのは1時間くらいまで。アメリカの大学の時間割の方が理にかなっている」と語る。そこで、講義に交えて、動画を見せたりグループごとにディスカッションをさせたりと、学生を飽きさせない工夫をしている。

早稲田大学大学院では日本近代史を学んだのだが、その際の指導教員であった島善髙教授に「テキストを丁寧にしっかりと読む」という基本姿勢を叩き込まれた。それは学問の基礎として心に刻み、現在も授業で輪読を取り入れたりしているのだそうだ。

さらに、重松講師が大切にしている点が2つある。1点目は「教室外に目を向ける」という点。この科目では、講義で取りあげた「ものづくり」遺産を見るため、上野の国立科学博物館などへ”Museum Visit”を実行した。「現物を見ることの大切さ、楽しさも指導教員の島先生に教わりました。大学院生時代、遠足のようにあちこちの史跡見学に連れて行ってくださったのです。アメリカではキャンパス外で教員から指導を受けたことはなく、これは学生と教員の距離が近い日本だからできることかもしれませんね」。東京という大都市で学ぶことのメリットを、留学生に最大限活用してもらいたいという気持ちもある。

2点目は「頭と手と足のバランス」。頭で考えるだけではなく、足を運び、手を動かした方が、授業づくりも面白く、学生への教育効果も上がると考えている。この科目を準備するにあたって、実際にトランジスタのキットを買って作ってみたことがあるそうだ。「自分は歴史研究者であって、工学は専門外ですが、それでもある程度は理解しないと、講義はできませんからね」。

優秀な学生を伸ばし、アジアの星になるような人材を育てたい

重松講師は、最近の学生の傾向として、情報の集め方や発表の仕方などに数年前までの学生とは違う傾向があるのではないかと感じているという。SNSや動画配信サービスと共に育っている世代ということなのか「発信とプレゼンテーションに慣れている」と思うそうだ。「学生はとても優秀です。もう10年くらいしたら、この英語プログラムの卒業生から、中国、韓国、台湾のリーダーになる人もきっと出ます。学生には、アジアの星になってほしいと願っています。もちろん一番星でなくても、星はたくさんあっていいのです」。

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/inst/ches/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる