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「統計モジュール」の活用で、 統計の学びを効率よく効果的に

ICT活用の一環として誕生した「統計モジュール」

本学は創立150周年にあたる2032年に向け、アジアのリーディングユニバーシティとして世界に貢献していくための教育・研究体制を充実させるべく、「Waseda Vision150」を策定した。

その核心戦略の一つ「教育と学修内容の公開」にひもづく「ICTを活用した新たな教育手法の開発ならびに普及」の一環として、大学総合研究センターでは「統計教材モジュール展開プロジェクト」を設置。2018年4月より、グローバルエデュケーションセンター(GEC)が開講している「統計リテラシー」のオンデマンドコンテンツを、自学自習や研究・教育活動の補助に活用できるよう、科目の履修者以外にも「統計モジュール」として公開した。

前提知識に差のある学生に教えるジレンマ、その解消に向けて

この統計モジュールの開発、コンセプトの立案に協力したのが、社会科学総合学術院・須子統太准教授だ。自身の授業やゼミでも統計を扱っていることもあって、以前から「統計学を効果的に自学自習できるツールの必要性」を現場で実感していた。

社会科学部のカリキュラムでは、統計学の授業は必修ではない。したがって、統計についてほとんど知識のない学生もいれば、経済系の授業をとる過程でしっかりと勉強している学生もいる。前提知識に差がある学生たちを相手に、統計学を応用する授業をしようとすると、なかなか思うようにいかないことが多かった。
統計をやってきていない学生のために、講義の1~2回目は、基礎的な統計学のレクチャーに充てる。しかし、身につけてほしい統計のノウハウを数回の授業に詰め込むと、どうしても足早になってしまい、内容に追いつけない人も多かった。他方、すでに勉強してきた学生にとっては、もう何度も聞いてきた内容なので、無為な時間になってしまう。「こうしたジレンマに悩まされている先生の声は、社学だけでなく、文学部や理工学部からも多く聞こえていた」と言う須子准教授は、この課題を解決し得る統計モジュールの開発協力の要請に快く応じた。

須子准教授が統計モジュール全体の設計コンセプトを考えていく上で、最も留意した点として挙げたのは、各項目のコンテンツの独立性を保つことだ。

ひとつの項目を勉強する上で、“ほかの項目を学んでいないと理解できない”といった構造になっていると、その項目でスポットで勉強したい学生にとっては大きなストレスとなる。「Wikipediaのようなイメージで、各項目についてそこだけ見れば概要がつかめるように」と意識して、各項目がなるべくほかのコンテンツを引用しない設計になるよう働きかけた。

モジュール導入で実習ベースの“反転学習”を実現

現在、須子准教授は自身の担当講義「経営科学」とゼミで、統計モジュールを導入している。講義では初回のガイダンス時に、授業を受ける上で必要な統計モジュールの項目を提示して自学習を促し、受講生の事前知識のレベル調整に活用した。この施策のおかげで、授業途中で内容についていけずに脱落する学生の数も減り、人によっては不要な基礎レクチャーを省略できるようになったことで、教える側/教わる側の両者のモチベーションが終始高く保たれた。

ゼミでの導入の効果も大きい。社学のゼミは2年次から始まる。従来は2年次の1年間を、基礎的な統計理論の学習のための座学に充てており、生の企業のデータを用いた本格的な分析実習は3年次から行なっていた。しかし、今年度からは統計モジュールを活用して、2年次から完全な“反転授業”を実施。基礎の理論や分析方法の学習は統計モジュールで自習させ、授業内では実在の企業データを渡して実践的な演習に取り組ませた。「演習によって理論などの知識の定着力も上がり、例年と比較して学生の分析力もメキメキとついています」と、須子准教授も確かの手応えを感じている。

統計モジュールには、「基礎の統計学の教科書一冊分以上の内容を網羅している」と語る須子准教授。コンテンツの独立性が担保されているおかげで、それぞれが必要な部分だけをピックアップして学べることができるので、入門用の教材としての汎用性は極めて高い。また、各コンテンツには座学パートだけでなく、エクセルなどを使用させる“手を動かす課題”が必ず設けられている。インプットからアウトプットまでを一連の流れで消化できるので、教科書での自学習よりも確実な知識の定着が望めるだろう。

公開から半年以上が経った今、統計モジュールは81名の教職員からの利用申請を受け、実際に475名の学生が利用している。今後もモジュール内のコンテンツは随時追加されていく予定で、さらに活用シーンは広がっていくだろう。

全学部のシラバスを見ると、それぞれの学部に、統計に関わる授業がある。ある一定の統計の知識を基礎として、それを応用していくような領域の授業を受け持つ先生方は、きっと須子准教授と同じような課題意識を持っているだろう。「統計モジュールを用いれば、本来教えたい内容を、効率よく教えられるような授業設計ができる。ぜひ、統計学に関わる多くの先生に活用してほしいです」。

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