強烈なパンチ力が持ち味の日本スーパーライト級王者・藤田炎村選手（写真右）＝藤田選手提供
ボクシング部OB 8月8日、日本スーパーライト級初防衛戦
ボクシング部OBの日本スーパーライト級王者・藤田炎村選手（※）が8月8日、後楽園ホールで初の防衛戦に挑みます。6月に早稲田スポーツミュージアムを訪れて必勝を誓った藤田選手は大学1年のときからボクシングを始め、現在はリクルート正社員として働きながらボクシングを続けます。英語にも堪能で、早稲田大学国際学生寮「WISH」（2014年開設）一期生の国際派。大学時代からこれまでを振り返ってもらいました。
追記：藤田選手は８月８日、３ラウンドTKO勝ちで見事、初防衛に成功しました。
※）ふじた・ほむら 本名・藤田裕崇（やすたか）。2018年社会科学部卒。三迫ジム所属。
2023年4月、チャンピオンとなった藤田選手（藤田選手提供）
――会社員とプロボクサーはどのように両立しているのですか
会社にきちんと副業申請をして、プロボクシングを認めてもらっています。「プロボクサー」と書いたら、「これは何？」と聞かれましたけど（笑）。2018年の4月に入社して6月にプロテストを受けました。会社内で特別扱いはなく、皆さんを同じ条件で一社員として普通に6時～7時まで働いてから練習をしています。
ーー大学時代はどのような選手でしたか
やはり大学から始めたということもあって、先輩が卒業するまでレギュラーになることは叶わず、ずっと補欠として過ごしていました。公式戦に出る機会も少なく10試合ぐらいしかしていません。全日本大学選手権のような試合にエントリーすらできない選手でした。有志が集まるオープン戦のような試合が中心で、早慶戦もすごく成績が悪かった。プロになっていざ自分一人で勝負していくようになって、その悔しい思いが生きています。プロデビューしたときも全く無名で誰にも知られていませんでした。とにかく試合結果で注目していただかなければいけない。ここ最近、やっとその努力が実ってきた感じがしますが「ここでは負けてはいけない」と、歯を食いしばってやっています。根性だけで来たって感じですね。
ーープロを目指したのはいつごろからですか
ボクシングを始めた時からです。プロで絶対にやると思っていました。しかし、日本チャンピオンになるのは僕自身も無理だと思っていました。自分のできることを全部やったうえで、挑戦しようという気持ちでした。やらずに後悔するよりもやって後悔しようと。「何回負けたとしても、挑戦した」というところに価値を感じたかったんです。
チャンピオンベルトを携えて、早稲田スポーツミュージアムを訪問する藤田選手
――日本チャンピオンが見えてきたのは？
現在、社会人6年目なのですが、昨年あたりですね。僕はあまり目標を高く設定しません。昨年に入ったぐらいに、本気で日本一を取りに行こう、取りに取りにいけるなと、見えてきました。きっかけとなったのは試合よりも、ジムでのスパーリングです。所属しているジムには、現役の日本チャンピオンやアジアチャンピオンがいて、そういった選手との実戦練習を重ねていって、チャレンジできるんじゃないかっていう気持ちが生まれてきました。
――これから先はどのような絵を描いていますか
「スーパーライト級」という階級は聞こえはすごく軽そうですが、日本人としてはかなり重い階級です。世界的には激戦区ですが、基本的には防衛戦をクリアしていって、その次にアジアのベルト、もしチャンスがあれば世界ランキングに名を連ねている選手への挑戦を考えています。少しずつステップアップしていきたいです。
ーー後輩たちへ語りたいことは？
学生時代、就職するのか？それともプロボクサーの道に行くのか？ 僕は2択で迷っていました。しかし、僕の周りの学生たちはみんな夢を持っていながら、就活の時期が近づくにつれて夢の話はしなくなる。なんで「夢VS就職」みたいになっているんだと。もし僕がどちらも叶えることができたら、すごい勇気を誰かに与えられるんじゃないかと、当時思っていました。会社に入って、プロボクシングをやって、失敗してもいいからやってみようと思って、日本チャンピオンになることができました。ただし、それはすごくうれしいのですが、両立したことは何回も後悔しています。「やっぱりきついな」という思いもしましたが、ただ実際にこうしてチャンピオンベルトを持って、大学でご挨拶ができていることを考えると、すごい濃い卒業後の5年間だったなとは思います。
早稲田スポーツミュージアムに書かれている藤田選手のサイン
【試合結果】
日本スーパーライト級タイトルマッチ初防衛戦は3ラウンドTKO勝ちでした
僕はもっと強くなります
応援ありがとうございました pic.twitter.com/wQLbOl6DTQ— 藤田炎村(Homura Fujita) (@FUJITA63_5kg) August 9, 2023
