ア式蹴球部は、地域で開催される様々な障がい者サッカーの大会運営などを通じて、障がい者サッカーの方々との交流を定期的に行っています。7月12日(火)、電動車いすサッカー選手の吉沢祐輔選手をお招きし、「障がいとともに生きる~今日、つたえたいこと~」というタイトルで講演会を開催しました。電動車いすの乗車体験も行われ、ア式蹴球部男子の全部員75名が参加しました。
開催概要
講演タイトル『障がいと共に生きる~今日、つたえたいこと』
◆日時:7月12日(火)19:30~20:45
◆会場:早稲田大学東伏見キャンパス体育教室棟105
◆講師:吉沢祐輔氏(PwCあらた有限責任監査法人 職員/元 第1回ASIA PACIFIC OCEANIA ZONE 2013 Powerchair Football Championship TeamJapan キャプテン/電動車いすサッカークラブ レインボーソルジャー8番)
講演内容
『障がいと共に生きる~今日、つたえたいこと』
関東地域の大会でのボールボーイ、運営のサポートや普及交流イベントを通じたご縁から、吉沢氏をお招きしての講演が実現しました。吉沢さんと電動車いすサッカーとの出会いに関するお話に加え、電動車いすの乗車体験も兼ねた特別なセミナーでした。
現在、吉沢さんは、ご両親の介助負担の軽減とご自身の活動を積極的に行うため、実家を出てヘルパーさんの協力を得ながらアパート暮らしを始めています。サッカーを一生懸命に練習したおかげで、たくさんのことを乗り越えられるようになり、「精神的にも自立して、自分の世界をもっともっと広げることが目標です」と語っておられました。
吉沢さんは1歳の時に進行性筋ジストロフィーを患い、小学校6年生の時に車いす生活になりました。電動車いすサッカーは始めていましたが、車いすに乗っている自分をはずかしく、みっともなく思い、なかなか自分を認めることができませんでした。
大学1年生の時に、ある大会で大敗し、当時のキャプテンから「もっと自分を出しなさい」という指摘を受けました。その時、サッカーを通じたコミュニケーションの重要性を認識し、それ以降、少しずつ仲間たちの輪に積極的に加わっていけるようになりました。その後、大学在学中に日本選手権で初優勝し、日本代表としてワールドカップを2度経験し、2013年には、アジアオセアニアカップに日本代表キャプテンとして出場しました。決勝戦では、見事に決勝ゴールを決め、電動車いすサッカー史上初の国際大会優勝へ導きました。
しかし、2013年から徐々に呼吸機能の低下が始まり、人工呼吸器をつけないと疲れ、競技におけるパフォーマンスもかなり落ちるようになりました。当初は、人工呼吸器をつけて生活している自分をなかなか認められず、その結果、日本選手権敗退、日本代表候補からも落選するという挫折も味わいました。その後、その悔しさから、電動車いすの呼吸器台を設置して人工呼吸器を導入することを決断。その結果、スタミナも増え、競技力もパワーアップすることができ、日本選手権優勝、日本代表候補の復帰を果たすことができました。人工呼吸器をつけることに対してネガティブなイメージを持っていた自分が、ようやく、人工呼吸器をつけた自分を受容し、積極的に外出できるようになりました。
吉沢さんは最後に、ア式蹴球部員にぜひ伝えたいこととして、「障がいと共に生きる上で大切な要素が3つあります。(1)今の自分の状態がどうかを考える、(2)その上でできること、できないことは何かを考える、(3)できることを少しでも多く増やそうとする、それが充実した幸せな生活をおくる秘訣ですし、障がいのあるなしに関わらず言えることと思います。そのためにも私たちは声を出し、体を動かして、このような機会でお話しさせていただくことが重要だと考えています。障がいを持っていても、地域やヘルパーさん等の支えがあれば、できることはたくさんあります」と語りかけてくださいました。
ア式蹴球部は、9月24日(土)に開催される「第20回電動車いすサッカー関東大会」における大会運営支援を予定しています。
WAPボランティア・地域貢献活動プログラム
早稲田アスリートプログラムでは、体育各部部員は、早稲田大学体育各部の部員としての自覚を持って社会貢献活動に積極的に取り組みます。早稲田スポーツを支えてくれる人・地域への感謝の気持ちを持ってボランティア活動を行います。