
WBO世界ライトフライ級の新王者となった岩田選手(共同通信)
ボクシングのWBO世界ライトフライ級王座決定戦が10月13日、東京・有明アリーナで行われ、早稲田大学ボクシング部出身の岩田翔吉選手(同級1位・帝拳、2018年スポーツ科学部卒業)が、ハイロ・ノリエガ選手(同級2位・スペイン)を3回TKOで破って王座を獲得し、早大出身者として初の世界チャンピオンになりました。

攻める岩田選手。トランクスには早稲田スポーツのシンボルであるロゴをつけ、早稲田を背負って戦った(共同通信)
2022年11月に判定負けして以来、2年ぶりとなった世界挑戦。岩田選手は「自分が得意だった動きやパンチ、それ以外をできるようにしたいと、2年間しっかり駆け引きや組み立てを強化してきました」と自信を持ってリングに上がりました。運動量の多い相手選手にプレスをかけて動きを封じ、1ラウンド目から力強いジャブが顔面にヒット。3ラウンド目、巧妙に仕掛けて相手を前のめりに崩していった岩田選手は右アッパーで一度目のダウンを奪うと、そのまま一気に攻め立てて左フックで二度目のダウン。左右の強打が炸裂し、レフェリーが試合を止める圧勝劇でした。

強烈なパンチでダウンを奪う岩田選手(共同通信)
高山将孝さん(ボクシング部出身)、三谷大和さん(同)、佐々木基樹さん、岩田選手と、過去4名の早大出身ボクサーが世界タイトルに挑み、7度目の挑戦で成し遂げられた偉業。試合後の記者会見で、早大出身者初のボクシング世界チャンピオンとなったことについて質問された岩田選手は「早稲田大学はボクシングがすごく強いわけではないので、だからこそチャンピオンになりたかった。今まで世界チャンピオンがいないことは知っていたので、絶対に自分が取って歴史に名を刻みたいという気持ちでした」と答えました。
今後についてはライトフライ級で防衛戦や統一戦を行っていきたいとし、「自分はこれからもっと強くなれると思っています。軽量級ですけど、迫力があってパワフルな、一発で相手を倒せるようなチャンピオンになっていきたいと思います」と目指す世界王者像を示しました。
A HUGE KNOCKOUT FROM SHOKICHI IWATA! 😱#InoueTsutsumi | Live Now pic.twitter.com/mK0QEMsT9D
— Sky Sports Boxing (@SkySportsBoxing) October 13, 2024
子供の頃からの夢を叶えることができた。
沢山の応援ありがとうございました🏆 pic.twitter.com/7vLn7VMOY0— 岩田翔吉 𝑺𝑯𝑶𝑲𝑰𝑪𝑯𝑰 𝑰𝑾𝑨𝑻𝑨 🇯🇵🗼 (@iwatashokichi) October 14, 2024
岩田翔吉が見せた「継続することの大切さ」
早稲田大学ボクシング部・岩崎仁監督

世界戦後、チャンピオンとなった岩田選手を囲む早稲田大学ボクシング部員(ボクシング部提供)
2024年10月13日、岩田翔吉選手のWBO世界ライトフライ級タイトル獲得、誠におめでとうございます。彼が世界の頂点に立つ姿を見届けられたことを、早稲田大学ボクシング部の監督として心から誇りに思います。岩田選手の努力と情熱が、ついに世界に認められた瞬間を共に祝うことができ、大変感激しています。また、2029年に創部100周年を迎えるボクシング部にとって、岩田選手が達成した世界タイトル獲得は、まさに長年の悲願を叶えるものでした。彼が示した道は、これからのボクシング部にとって大きな希望となり、さらなる挑戦の原動力になると信じています。
2016年に私がボクシング部コーチとなった時、3年生だった岩田翔吉に出会いました。当時の印象は、「ギラギラ」していて「尖っている」若者そのものでした。彼は「早稲田大学出身初のプロボクシング世界チャンピオンになります」と、目を輝かせて語ってくれました。その姿はまさに「勉強もできて都会的でイケてるけど、実はボクシングも強い」という、きらびやかな魅力を持っていました。
彼がボクシング部にいた時期、団体戦でチームとして勝てず、個人戦でも思うような結果を出せなかった時期が続きました。それでも、彼はプロのジムに出稽古に行き、トップクラスの選手たちと切磋琢磨し続けました。その姿勢からは、ボクシングの厳しさを知りながらも、モチベーションを持ち続ける精神力の強さを感じ、彼をとても誇りに思います。
人間万事塞翁が馬。どんな道も、未来への糧となることを、彼が証明してくれました。現役ボクシング部員に伝えたいのは、何よりも「継続することの大切さ」です。岩田翔吉も、早稲田大学での4年間を懸命に積み重ね、その経験を糧にして世界の舞台で結果を出しました。彼のように、大学での努力がいつか大きな成果に繋がることを信じてほしいと思います。早稲田大学の4年間は、眩しくも儚い瞬間の積み重ねであり、二度と戻れない時間です。だからこそ、今を、岩田翔吉が見せてくれたように全力で走り抜いてほしい。その姿を見届けるのが私の役目だと感じています。