脱炭素という世界潮流の中で揺れ動くロシア欧州グリーンディールから現在、COP26前後の動きと注目され始めた森林吸収とCCSという世界最大のポテンシャル、そしてウクライナ侵攻後の世界
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○講演概要
欧州グリーンディール,そして,コロナウイルスとその経済停滞が,EU加盟国を温暖化ガス削減政策の更なる推進に向け,1つにまとめ上げた。その流れは欧州から一大潮流となって世界に波及し,2021年10月のCOP26でピークを迎えた。この世界の脱炭素という動きに対するロシア政府および石油・天然ガス企業の認識は,天然ガスを中心とする化石燃料はいずれにしても現世界の莫大なエネルギー需要を満たすための移行期のエネルギー源として必要なはず,減少する欧州需要を中国やアジア諸国で市場代替していく,というものである。また,ロシアには脱炭素の潮流によって急に価値が生まれてきた2つの世界最大のポテンシャルもある。つまり,世界最大の面積を擁する森林による二酸化炭素(CO2)吸収と,CO2を地下に貯留する技術を活用できる地層ポテンシャル(CCS/二酸化炭素地下貯留)である。欧州が欧州復興基金の財源と想定し,2026年から本格導入を検討している炭素国境調整メカニズム(CBAM)に対抗するべく,ロシア政府は国内の排出権クレジット市場構築を急ピッチで進めている背景にも,この2つのポテンシャルを現金化していくという意図もある。また,新たな事象として,ロシアによるウクライナ侵攻に対して,欧米はこれまでにない規模の対露制裁を課すと共に,ロシアからのエネルギー依存脱却を急速に進めようとしている。本報告では,欧州発・世界を席巻する脱炭素の潮流の中で,いかにロシア政府が戦略を練っているか。ウクライナ侵攻によってロシア離れを加速する欧州の動きはロシアの戦略にどのような影響を与えるのか,分析・報告する。
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○講演者および略歴 |
原田 大輔(独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構 調査部 調査課長)1973年東京生まれ。1992~97年 東京外国語大学インド・パーキスターン語学科修了(1994~1995年インド・ウッタルプラデーシュ州アラーハーバード大学留学)。1997年~旧石油公団入団。2003~06年資源エネルギー庁長官官房国際課に出向(中国、インド、ASEAN諸国会合を担当)。2006年~2012年 JOGMECモスクワ事務所副所長(2010年~2012年グープキン記念国立石油ガス大学経済経営学修士課程修了)。2012年~現在、ロシアCIS諸国における上流開発プロジェクトマネジメント及び日露協力案件の醸成と情報分析に従事。
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○開催日時 |
8月2日(火曜日)10:40~12:10
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○開催場所 |
オンライン |
○参加申込先 |
参加をご希望の方は、<事前登録フォーム>からご登録ください(事前登録締切 8月1日) |
○対象 |
学生・教職員・研究グループメンバー・一般 |
○主催 |
早稲田大学先端社会科学研究所 |
○共催 |
早稲田大学環境経済・経営研究所 、早稲田大学高等研究所、早稲田大学スマート社会技術融合研究機構 |
○お問合せ先 |
先端社会科学研究所事務局([email protected]) |