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From the Director
ごあいさつ
所長あいさつ
所長 早田 宰

早稲田大学先端社会科学研究所は、現代社会が直面する多様で複雑な課題に対し、社会科学を基軸としながら、自然科学・人文科学を含む多様な知をつなぐ「総合知」の創出と実践を目指して活動しています。
現在、生成AIをはじめとする技術の急速な進展は、私たちの学びや働き方、社会のあり方そのものを大きく変えつつあります。技術変革の波が押し寄せるなかで、多様な文化や歴史的背景をもつ社会が、その巨大な流れにのみ込まれることなく、いかに主体性を保ち、互いに共生していくのか。私たちは、こうした切実な問いに向き合わなければなりません。
同時に、環境・経済・社会の統合的な向上を目指す「地域循環共生圏」の構築は、持続可能な社会を考えるうえで極めて重要なアプローチです。そして、ポストSDGs 2030を見据えた未来において、その基盤となるのは、分断を乗り越え、多様な共生と人間の尊厳を支える「平和」にほかなりません。個別の最適解にとどまらず、地域から地球規模に至るまでのつながりを見据えた、重層的な社会デザインが求められています。
こうした営みの中核を担うのが、専門知の枠を越えて社会に開かれ、多様な主体によって共有され、更新されていく「公共知」の形成です。研究者、実務者、市民が対話を重ね、それぞれの知見を持ち寄り、問い直し、統合し、循環させながら、公正でレジリエントな社会のあり方を共同で構想していく。そのための場をつくることは、現代における学術機関の重要な責務であると考えています。
本研究所は、理論の探究と現場の実践を往還させながら、多様な知と人をつなぎ、未来をともに構想するための開かれたプラットフォームとして、その役割を果たしてまいります。皆様の温かいご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
副所長あいさつ
副所長 鄭 有希

生成AIをはじめとする技術の急速な進展は、企業の活動や人々の働き方、さらには社会のあり方を変えつつあります。仕事の内容や必要とされる能力が変わる中で、働く人々のキャリアをいかに支え、組織はいかに新しい技術と向き合うべきでしょうか。こうした問いには、技術の可能性や限界だけでなく、人々の行動、組織の制度、社会的な環境を視野に入れた検討が求められます。変化の影響は職業や世代、置かれた環境によって異なります。その実態を捉え、よりよい社会のあり方を考えることは、社会科学の重要な役割です。
私の専門分野である組織行動、人的資源管理、キャリア開発といった経営学の視点は、働く人々と組織の関係を理解する手がかりとなります。しかし、技術革新がもたらす変化は、経済、政治、文化、教育とも深く関わっており、一つの専門分野だけでは解明できません。各分野の知見を持ち寄り、異なる視点を交わすことで、個別の現象の背後にある社会全体の課題が見えてくると考えます。
先端社会科学研究所は、学際性、臨床性、国際性を掲げ、分野の境界を越え、社会の現実に向き合う研究を進めてきました。この理念を発展させるため、研究者が互いの問題意識や方法に学び、共同で新しい問いを立てる場を育てたいと考えています。また、研究成果を企業や地域社会をはじめとする多様な人々との対話につなげることも大切です。社会との接点から得られる問いを研究に生かし、その成果を再び社会に還元していく循環を築いていきたいと思います。
研究所に集う研究者や大学院生が、国内外の研究者と交流し、共同研究に参加できる機会を広げることも重要です。異なる背景を持つ人々との対話は、これまでの研究を問い直し、新たな発想を生み出します。早稲田大学の先端社会科学研究所が、社会の変化を捉える知見を生み出し、その成果を世界へ発信する研究拠点となることを目指してまいります。