身体活動は人間の本源的欲求である。「スポーツ」は爽快感・達成感・連帯感などの精神的充足や楽しさ・喜びをもたらし、人生を豊かに充実したものにする。また、スポーツは体力の向上ばかりでなく、生活習慣病の予防や精神的ストレスの発散など健康の維持・増進にも不可欠である。さらに、人間の極限の可能性を追求する競技スポーツは、人々に元気や勇気、夢や感動を与えることを通じて、活力に満ちた健全な社会の形成に貢献している。
早稲田大学では1987年の人間科学部設立に際し、その一学科としてスポーツ科学科を設置し、多くの人材を社会に送り出してきた。21世紀に入り、高齢化・少子化など社会構造変化が進み、また健康への意識が高まる中でスポーツ関連市場の規模が拡大してきた。そこでそれをビジネスとして適切にマネジメントできる人材が求められている。また、トップレベルの選手の育成から生涯スポーツのさまざまな場面まで、スポーツの指導にはスポーツそのものだけでなく、スポーツ外傷・障害の予防やコンディショニングなどの高い専門性をもった人材が必要である。このようなニーズの中、早稲田大学は2003年にスポーツ科学部を新たに発足させた。
スポーツ科学部はスポーツの専門的知識を持って社会の諸分野で活躍しうる人材を養成するばかりでなく、ビッグサイエンスであるスポーツ科学をより発展させ、世界最高水準の総合的スポーツ教育研究拠点として、国内外に貢献することを目指すものである。ここではスポーツというテーマを通して、生理学、生化学、栄養学、健康科学といった自然科学系の学問から社会学、歴史学、教育学などの人文・社会科学系の学問、さらにはスポーツビジネスに関する学問まで、幅広い学問領域を総合的・学際的に学べるのが特色である。また社会のボーダレス化に先んじる形で、スポーツ界のグローバル化は進展し、スポーツを通した国際交流は、今後ますます重要性を増していくと思われる。本学部ではスポーツを通したコミュニケーション、とくに外国語能力の研鑽に力を入れ、少人数制の英会話指導、米国での実践的教育プログラムなど、独自のカリキュラムに力を入れている。教員はそれぞれの分野で一流の研究者・指導者がそろい、また所沢キャンパスや東伏見キャンパス内には、最新の教育機器、実験設備およびさまざまなスポーツ施設を備えている。
以上のようにスポーツ科学部は、スポーツの価値を最大限に高め、スポーツを通じて人々の健康や幸せに貢献するための教育や研究に取り組む学部である。
「スポーツ」をキーワードとして社会、文化、歴史、生命、自然にかかわる広い教養を身につけ、スポーツはもとよりそれに留まらない社会の様々な領域で知識と経験を活かし、スポーツを通じて市民生活を豊かに充実したものとするための「社会的ニーズ」に的確に対応できる人材を養成する。さらに、学部教育により培った自らが考える力、指導力、コミュニケーション能力を備え、トップレベルの選手を育成できる人材が「スポーツニーズ」に応えるべく、日本ひいては世界のスポーツ界をリードしていく。
また、ビッグサイエンスに成長しつつあるスポーツ科学をより発展させ、世界最高水準のスポーツ教育研究拠点として国際的に貢献することを目指し、「アカデミックニーズ」に応えるための教育研究を展開する。
本学部は、スポーツ科学の学修を通じて、スポーツ界をはじめ各界のリーダーとなり世界に貢献しようとする高い志を持ち、多様な価値観を有する学生を育て、世界の平和と人類の幸福と安寧の実現に貢献することを目指す。急速に変化する時代の中で、困難な問題にも果敢に取り組み、解決に至る過程の中で、スポーツ科学の専門性と幅広い教養を生かすことができる力を修得し、人類の幸福の実現を目指す基礎作りを必須とする。さらに、多面的かつ独創的に思考しつつ、自ら課題を設定し、解決する方法を導き出すことに挑戦し、解決する術を体得してもらう。そのため、以下に掲げる項目を修得させる。所定の単位を修得した学生に学位を授与する。
①多様な考え方を受容し、それをもとに個人やチームで物事を俯瞰的に把握して、人々に伝えるためのアカデミックスキルズ(基礎的な学修スキルやコミュニケーションスキル)
②スポーツ科学に関する専門知識、およびその知識をもとに多様な視点から物事を把握し、論理的に考え、分析する力
③スポーツ科学を軸として様々な課題に対して自ら興味を持ち、解決する実践・応用力
卒業要件は該当する年度の学部要項よりご確認ください。(「卒業必要単位数・学科目配当年次・科目履修要領」の項目をご参照ください)
学部要項
スポーツ科学の専門性を獲得するとともに、ディプロマ・ポリシーに掲げた能力や素養を身につけるためにスポーツに関連する幅広い教養と学際視野に立って学修できるカリキュラムを構築する。早稲田大学の全学的な教育環境を活用して、幅広い教養と専門知識を、学生の目的や興味に応じて、広範かつ体系的に学修できるようにカリキュラムを編成し、各年次において以下の科目をスポーツ科学部から提供する。
①アカデミックスキルズを体得するスポーツ教養演習(1~2年次)
②基礎的な学修スキルやコミュニケーションスキルを身に付ける英語や情報処理に関する科目(1年次)
③スポーツ科学を体系的に学修するコース基礎科目(2年次)
④インタラクティブな授業や課題解決型学修などを通してスポーツ科学の専門性を高めるコース選択科目(2~3年次)
⑤学修した知識の応用と実践を通して、設定された問題を解決する実践型学修を中心に、文献資料やデータをもとに学生と教員とが対話・論議し、多様な価値観を理解・共有して生み出す過程を体得する演習科目(2~4年次)
⑥スポーツ科学の課題を主体的に、論理的に解決することを通して専門性や実践・応用力を高めるための卒業研究(4年次)
スポーツ科学部は、早稲田大学の教旨に基づき、大学をより豊かで充実した学問の場とし、スポーツ界はもとより多種多様な分野でグローバルリーダーとなり得る人材を輩出することを目指している。また、スポーツには「する」という関わり方だけではなく、「みる」、「ささえる」、「しる」など幅広い関わり方があるため、様々な立場でスポーツひいては社会の発展を成し遂げられる人材の育成を目指している。そのために、学際的な学問であるスポーツ科学を真摯に探究しようとする強い意欲に加えて、これまでの学習やスポーツ経験等を通じて培われた以下の能力や素養を、各種の入学試験形態に応じて総合的に評価し、多彩な個性を持つ学生を国内外から広く受け入れる。
■グローバルに活躍するための語学力
■スポーツ科学の探究を支える高い基礎学力と経験
■課題を定義し解決に導くための思考力や判断力、そして表現力
■スポーツ科学を活用して自らの成長のみならず、スポーツひいては社会の発展を成し遂げようという強い意志と利他の精神
スポーツ科学部では、ディプロマ・ポリシー 、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーに基づき、幅広いスポーツ科学を真摯に探求し、スポーツの価値の向上に貢献できる人材を養成することを目的に、学生の目的・興味に応じた適切な学修機会の提供に努めている。
その成果である学生の学修到達度を、スポーツ科学における「リテラシー」「専門性」「コミュニケーション力」「独創性」を軸として、入学前後・在学中・卒業時に、学部レベル・コースレベル・科目レベルで、評価・検証する。評価・検証の結果は、本学部の特色や現状の把握、カリキュラム改訂、学修支援の改善、外部評価対応のために利用する。
学修成果の評価項目
測定時期 | 学修成果 | 測定方法 |
1-4年次 | リテラシー
コミュニケーション力 |
直接評価:スポーツ教養演習、英語・コミュニケーション科目、基礎科目の修得単位数やGPA、休退学者率
間接評価:学生授業アンケート、学生生活・学修行動調査 |
1-4年次 | 専門性 | 直接評価:演習、スポーツ方法実習、コース指定科目の修得単位数やGPA、スポーツ活動状況(競技実績)
間接評価:学生授業アンケート |
卒業時 | 専門性
独創性 |
直接評価:卒業研究の評価、免許/資格取得者数・取得者率
間接評価:卒業生アンケート調査(大総研) |