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野球選手における足趾機能不全の有症率の投球障害肩肘有無での比較:症例対象研究

概要

投球障害肩肘選手において、足部・足趾機能が高率に低下していることを我々はこれまでに明らかにしました。一方、投球障害肩肘のない選手との比較が今までありませんでした。本報告は、投球障害肩肘の有無と足部・足趾機能の関係を明らかにした初めての報告となります。

(1)これまでの研究で分かっていたこと

投球障害肩肘の原因として、今まで多くの研究は肩関節や肘関節、肩甲帯から体幹などに関連するものでした。近年になり、股関節など下肢に関する報告が散見されるようになりましたが、足部・足趾との関連についての報告はありませんでした。

(2)今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと

今回の研究で、投球障害肩肘の既往がある選手では、障害の既往がない選手と比較して有意に足部・足趾機能が低下していることが明らかとなりました。今回の研究の結果、足部・足趾機能が投球障害肩肘の発生に関与している可能性が示唆されました。

足部・足趾機能低下の評価方法として、「足趾じゃんけん」と「浮き趾」を用いました。投球障害肩肘との関係を見ると、障害を持つ選手では投球側の足趾じゃんけんができない傾向が強く、非投球側では有意に足趾じゃんけんができませんでした(下図)。

障害の既往がある選手では、投球側に有意に浮き趾を認め、非投球側では浮き趾を認める傾向が強い結果となりました(下図)。

(3)そのために新しく開発した手法

足部・足趾機能の評価方法として、足趾ジャンケンと浮き趾という手法があることを報告することができました。

足趾じゃんけんの図

浮き趾の図

(4)研究の波及効果や社会的影響

投球障害に足部・足趾機能が関与している可能性を示唆した初めての報告となることから、投球にも足部・足趾機能が重要であることを伝える研究になります。投球動作は、全身運動であることから肩肘のみならず足部・足趾機能にも着目する必要があることが明らかとなりました。

(5)今後の課題

足部・足趾機能が改善した場合に、投球障害肩肘が減るのか否かを明らかにする必要があります。また、足部・足趾機能が低下していると投球動作にどのような影響があるのかを明らかにする必要があります。

(6)研究者のコメント

本研究が、足部・足趾機能が投球障害肩肘と関係している可能性を明らかにした初めての報告になります。今まで着目されてこなかった投球動作における足部・足趾機能の重要性を明らかにできたとともに、今後も足部・足趾機能が投球動作にどのような影響を与えているか、今後より深掘りして投球動作における足部・足趾機能の重要性を明らかにしたいと思っております。

(7)論文情報

雑誌名:Scientific Reports
論文名:Prevalence of impaired foot function in baseball players with and without disabled throwing shoulder/elbow: a case-control study.
執筆者名(所属機関名):Hideaki Nagamoto (Graduate School of Sport Sciences, Waseda University)
掲載予定日時(現地時間):2024/5/2
掲載予定日時(日本時間):2024/5/2
掲載URL:https://www.nature.com/articles/s41598-024-60513-9
DOI:https://doi.org/10.1038/s41598-024-60513-9

 

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