Waseda Institute for Sport Sciences早稲田大学 スポーツ科学研究センター

その他

所沢地区 スポーツサイエンス研究会(2014年度)

第143回 12月15日(月)16:30より 所沢キャンパス 100号館210室

演題

知覚・認知の視点から運動制御をとらえる-移動行動を中心に-

演者

樋口貴広先生(首都大学東京)

内容

スポーツ動作や日常動作の制御の仕組みを考える時,解剖学・運動生理学・運動力学といった,運動の出力に関わる知識体系が不可欠であることは言うまでもない。本講演では,知覚や認知に関わる知識体系が,こうした知識体系と等しく重要であることを,歩行や走行といった移動行動に関する研究成果に基づき概説したい。身体運動それ自体は,中枢神経系の司令に基づく筋骨格系の振る舞いである。しかしだからといって,筋骨格系が中枢神経系に隷属的という関係ではない。歩行では,振り出した下肢が環境に作用することで,様々な感覚情報が生起する。中枢神経系は,この感覚情報を受容することで状況を把握し,事後の司令を微調整する。このように見れば,中枢神経系の司令を形作るのは,筋骨格系と環境との相互作用といっても過言でない側面がある。「身体と環境との相互作用」という巨視的な切り口でとらえることにより,歩行制御の真の実態が見えてくる部分もある。 私たちの研究室では,主として「移動行動の知覚運動制御」について実験を行うことにより,身体と環境との相互作用として運動を理解する試みを行ってきた。ラグビー選手やアメリカンフットボールの選手が密集を突破する場面のように,狭い隙間を巧みにすり抜ける行為に着目し,身体と環境の空間関係がどのように知覚され,行動が調整されるのかを検討してきた。本講演では主としてその成果を紹介する。このほか,人間の優れた知覚運動制御能力に関する新しい知見として,たった数回のバウンド音がもたらす聴覚情報だけでボールの軌道を予測して,ラケット正確に打ち返すというブラインドテニス選手に着目し,その優れた空間定位に関する検討をおこなった。本講演ではその成果についても紹介する。

第142回 11月25日(火)17:00より 所沢キャンパス 100号館 5F 第一会議室

演題

Eccentric exercise: Positive and Negative Aspects

演者

Professor Kazunori Nosaka(Edith Cowan University, Australia)

内容

In exercises such as downhill walking, going down stairs, downhill running, Nordic hamstrings exercise and back squat exercise with a heavy weight, leg muscles are stretched or lengthened during submaximal or maximal contractions, which is referred to as eccentric contractions. It has been well documented that unaccustomed exercise consisting of eccentric contractions induces muscle damage characterised by delayed onset muscle soreness and a prolonged decrease in muscle strength. Damage and inflammation of muscle fibres and connective tissue surrounding muscle fibres appear to be associated with these symptoms. When the same eccentric exercise is repeated, less muscle soreness and faster recovery of muscle strength are evident. This adaptation is referred to as the repeated bout effect. It has been shown that submaximal eccentric contractions or maximal isometric contractions at a long muscle length confer protective effect again muscle damage induced by maximal eccentric contractions that are performed within 2 weeks. This type of protective effect is considered as pre-conditioning effect. If eccentric exercise is performed regularly and repeatedly for several weeks, training effects such as increases in muscle strength and size are produced, and these effects of eccentric training have been shown to be greater that those after concentric training in which muscles are shortened. Additionally, eccentric training seems to be more effective than concentric training for improving insulin sensitivity, blood lipid profiles, blood pressure and life-related fitness in elderly individuals. It does not appear that muscle damage is responsible for these adaptations, but eccentric contractions themselves seem to provide potent stimulus for these. The presentation will cover these aspects of eccentric exercise, and discuss positive and negative aspects of eccentric exercise and eccentric exercise training.

第141回 11月19日(水)16:30より 所沢キャンパス 100号館 5F 第一会議室

演題

発症後早期の心疾患患者における運動時骨格筋酸素動態と最高酸素摂取量

演者

高木俊先生 (早稲田大学スポーツ科学学術院助手)

内容

慢性心疾患患者(CHF)では,左室駆出率を代表とする心機能のポンプ機能が低下している。その一方で,運動中における活動筋への血流低下ミトコンドリアの密度および機能低下に由来する骨格筋エネルギー代謝異常も報告されている。CHFにおいては最高酸素摂取量(VO2peak) が生命予後の重要な決定因子であるが,CHFにおけるVO2peakの改善は,心機能の改善とは関連しない一方で,骨格筋のエネルギー代謝の改善と関連する。また,心疾患の罹患期間と関連することから心疾患発症後早期からのVO2peakの維持ないし改善のために末梢骨格筋のエネルギー代謝異常を改善することが重要である。しかしながら、発症後早期における心疾患患者における骨格筋機能については十分に検討がなされていない。我々は,近赤外分光法を用いて発症後早期の心疾患患者における運動時骨格筋の酸素動態と全身持久力との関連を検討してきた。本研究会では,発症後早期の心筋梗塞後患者における骨格筋酸素動態に関する知見を紹介する予定である。

第140回 10月29日(水)16:30より 所沢キャンパス 100号館 5F 第一会議室

演題

加齢に伴う骨格筋量低下(サルコペニア)評価の最前線―筋細胞膜の電気特性を利用した筋細胞量評価法―

演者

山田陽介先生 (独立行政法人国立健康・栄養研究所)

内容

ヒトの骨格筋量を非侵襲的に定量する方法は存在しないため、あらゆる評価法は間接法であり、それぞれ長所や短所が存在する。骨格筋量と身体機能低下や総死亡リスクとの関係を調べた研究をレビューするとCTやDXAなどの推定法で求めた筋量指標は、これらと中程度か弱い関連しか認められない。DXAではその原理に基づくと体肢除脂肪量を計測する装置であり、正式には骨格筋量を計測する方法ではなく、筋量変化評価の感度が低い。MRIで推定される骨格筋量は20代から70代で約26%の低下を示す。屍体解剖においても、20代と70代との間の筋断面積の低下率は26%であるが、筋線維数は41%減少しており、筋線維1本あたりの平均断面積は11%減少している。そのため、筋線維数×1本あたりの平均断面積によって求められる総筋線維断面積は48%の減少となる。したがって、老化に伴う骨格筋量の低下率と、骨格筋細胞量の低下率は異なり、細胞間隙の増大を正しく評価する必要がある。細胞間隙には結合組織、筋内細胞外脂肪、そして細胞外液が含まれる。MRIやCT、DXAなどの画像法では、この細胞間隙部分が評価できないのが問題であり、真の筋細胞量を過大評価してしまうことになる。つまり、サルコペニア評価には骨格筋量ではなく、骨格筋細胞量を推定する必要が示唆される。重水素標識クレアチン希釈法や生体電気インピーダンス分光(BIS)法といった新しい方法が開発されつつあり、今後の展開に期待ができる。

第139回 10月9日(木) 16:00より 所沢キャンパス 100号館 5F 第一会議室

演題

Too Much Sitting: Implications for Chronic Disease Prevention

演者

Prof. Neville Owen (Baker IDI Heart and Diabetes Institute, Australia)

内容

Exercise is highly beneficial for cardio-metabolic health and other chronic disease outcomes. However, The Lancet’s 2012 Physical Activity Series concluded that the wide-ranging potential health benefits of participation in moderate-to-vigorous physical activity (particularly reducing the risk of type II diabetes, cardiovascular disease and some cancers) remain largely unrealised. Furthermore, even among those who meet the current public health recommendations – for adults, 30 minutes of moderate-to-vigorous physical activity on most days each week; for children and youth, it is 60 minutes daily – there are likely to be deleterious health consequences of the 7 to 10 hours of sitting that they are exposed to each day. This talk will provide an overview of the evidence on too much sitting and health outcomes; describe new approaches and findings from objective measurement studies; consider implications of new evidence on the breaking up and patterning of sitting time; report findings from laboratory studies at Baker IDI that aim to understand mechanisms and dose response issues; review evidence on the likely environmental and other determinants of prolonged sitting time; and, highlight recent findings from real-world intervention trials examining the feasibility and potential benefits of reducing sitting time. Directions for future research and likely implications for chronic disease prevention will be discussed.

第138回 9月30日(火) 16:00より 所沢キャンパス 100号館5F 第一会議室

演題1

運動パフォーマンスのバラツキを生み出す神経機構

演者

水口 暢章 先生(早稲田大学スポーツ科学学術院助手)

内容

人間が同じ運動を行おうとしても、毎回一定な動作を行うことはできず、バラツキが生じる。スポーツでは、このバラツキやミスが試合の結果を左右する。我々は、運動パフォーマンスのバラツキを生じさせる原因を明らかにするために、まず、パフォーマンスの良し悪しと関連する脳活動を調べた。よく訓練された系列指タッピング課題を対象に、課題遂行中の脳活動を機能的磁気共鳴画像法にて計測した。その結果、タッピングのパフォーマンスが悪い時に前頭-頭頂ネットワークの活動が高いことが示唆された。次に、因果関係を検証するために、前頭-頭頂ネットワークの活動を人工的に高める経頭蓋直流電気がタッピングのパフォーマンスを悪化させるかを調べた。その結果、前頭-頭頂ネットワークの活動を高めるとパフォーマンスが悪化することが確認された。したがって、前頭-頭頂ネットワークの過活動がよく訓練された運動パフォーマンスのバラツキを生み出す一因であることが示唆された。

演題2

複数肢協調運動における自由度の制約とその発現要因

演者

中川 剣人 先生(早稲田大学スポーツ科学学術院研究助手)

内容

ヒトは多肢、多関節を同時に協調させることで日常生活やスポーツでの多様な動作を実現している。歩行のような自動化された運動では意識することはないが、自動化されていない協調運動を行おうとすると、様々な「動作上の制約」が見られる。例えば、同時に同側の手関節と足関節を律動的に動かそうとすると、同方向に動かす場合は安定するが、逆方向に動かすときは動作が非常に不安定で、同方向に転移しやすい。このような現象は、複数肢協調運動の制御が一肢ずつの制御を単純に足し合わせたものではないことを示す。スポーツや楽器演奏等では、このような制約に打ち勝って、四肢を動かさねばならない場合が多い。複数肢協調運動の制御機構については、両手協調運動では比較的研究がなされているが、日常生活やスポーツ動作でも多く見られる上肢と下肢の協調運動の際に、どのような神経基盤が働いているのか、先行研究が少なく、不明な点が多い。本研究会では、主に上肢と下肢を用いた協調運動における、逆位相動作が不安定で同位相に転移しやすい現象(動作方向の制約)の発現要因について検討した実験のデータを中心に、これまでの研究成果を紹介する。

第137回 7月9日(水) 16:30より 所沢キャンパス 100号館210室

演題

高血圧における運動時神経性循環調節異常

演者

水野 正樹 先生 (The University of Texas Southwestern Medical Center, USA)

内容

高血圧は、世界中の成人の約3分の1が罹患していると推測されており(WHO)、治療と予防が重要な疾患である。高血圧の治療戦略は、薬物治療や食事療法に加えて、運動療法が有効であると考えられている。運動療法は一定の治療効果が期待できる一方、高血圧患者が運動を行う際には、健常人と比較して、過剰な循環応答が惹起されるという問題を孕んでいる。この過剰な応答は、運動実施の大きな障害となるだけでなく、運動時における致死性不整脈や脳卒中を引き起こす危険性を高める。安全に運動療法を遂行するためも、高血圧患者に観察される循環応答異常の発生機序を明らかにする必要がある。我々が運動を行う際には、自律神経を介した神経性の循環調節機構が重要な役割を担っている。とりわけ、骨格筋からの感覚情報は循環中枢を介して交感神経活動を亢進させる。この活動筋からの反射は、運動昇圧反射と呼ばれ、心拍出量を高めると伴に非活動部位への血流量を減らし、活動筋における酸素供給の増加に寄与する。そこで、本研究会では、高血圧モデル動物に観察される運動昇圧反射を介した過剰な交感神経応答とそのメカニズムについて概説する。

第136回 6月11日(水) 16:00より 所沢キャンパス 100号館5F 第一会議室

演題1

運動中の眼底血流の応答

演者

池村 司 先生 (早稲田大学スポーツ科学学術院助手)

内容

眼底循環は網膜動脈および脈絡膜血管から構成される血液循環のことを指す.眼底血流は光を受容する網膜へ栄養するため,その調節は視覚の獲得において重要な役割を担う.糖尿病性網膜症などの眼疾患により,眼底血流が慢性的に低下すると視覚機能に障害をきたすことが知られている.加えて我々は,健常者においても呼吸の操作によって眼底血流を増減させると,それに伴って視力が一過性に変化することを報告しており,これらのことから,眼底血流が視覚機能の維持に関与することが伺える.網膜の機能を正常に保つためには,約4mL/分の眼底血流が必要である.運動中は眼底血流を維持なければならない一方で,約18L/分もの血流を骨格筋に配分する必要がある.すなわち,両者において精緻な血流調節が求められる.ところが,運動時に眼底血流が上手く調節されているのか否かは明らかにされていない.そこで我々の研究グループは,様々な運動条件での一過性の運動中の眼底血流の応答を検討し,運動中,眼底血流は変化することを明らかにした.本研究会ではその研究成果を紹介する.

演題2

体幹エクササイズのトレーニング効果〜タイプ別の検討〜

演者

今井 厚 先生(早稲田大学スポーツ科学学術院助手)

内容

体幹トレーニングは,スポーツパフォーマンス向上や傷害予防,腰痛の治療や予防,転倒予防,姿勢矯正やスタイル保持などを目的としてスポーツ選手から一般人まで幅広く実施されている.体幹トレーニングとして多様なエクササイズが用いられているが,主に筋力向上を目的としたSit upやBack extensionなどの動的な腹筋・背筋運動(Conventional exercise:CE)と,体幹安定性の向上を目的とした姿勢保持トレーニングであるStabilization exercise(SE)に分類できる.体幹エクササイズ時の筋活動や脊柱への負荷などに関する研究は多く報告されており,両エクササイズの相違は明らかになりつつある.しかし,双方のトレーニング効果を比較した研究は極めて少なく,それぞれのトレーニング効果の特異性は明らかにされていない.トレーニング効果は特異性の原則に応じて現れることから,目的に合った適切なプログラムを設定するためには,SEとCEそれぞれの特異的なトレーニング効果について検討する必要がある.本研究会では,SEとCEのトレーニング効果を比較した介入研究について紹介する.

第135回 5月20日(火)16:30より 所沢キャンパス 100号館205室

演題

Muscle phosphatidylethanolamine synthesis maintains sarcoplasmic reticulum integrity to regulate contractile function and insulin sensitivity

演者

Dr. Katsuhiko Funai(East Carolina University)

内容

Skeletal muscle insulin resistance is an early and essential defect in the development of type 2 diabetes. Molecular mechanisms responsible for reduction in skeletal muscle insulin-stimulated glucose disposal remain elusive. Previously we implicated that alteration in phospholipid composition at the sarcoplasmic reticulum (SR) may contribute to this process. Here we show that choline/ethanolamine phosphotransferase-1 (CEPT1), a terminal enzyme in Kennedy pathway’s phosphatidylethanolamine (PE) synthesis, regulates muscle insulin sensitivity. In C2C12 cells, lentivirus-mediated knockdown of CEPT1 resulted in altered SR phospholipid compositions and calcium flux. In mice and in humans, muscle CEPT1 abundance was associated with obesity and inversely correlated with insulin sensitivity. Mice with skeletal muscle-specific knockout of CEPT1 exhibited improved insulin sensitivity measured by glucose and insulin tolerance tests, hyperinsulinemic euglycemic clamp and 2-deoxyglucose uptake in isolated muscles. In CEPT1 deleted muscles, altered SR phospholipid milieu reduced sarco/endoplasmic reticulum Ca2+ ATPase (SERCA)-dependent calcium uptake. This led to the activation of calcium signaling pathways, a known insulin sensitizer. However, dysregulated muscle SR calcium handling made these mice weak and exercise intolerant. Herein we propose that aberrant lipid flux in muscles can place metabolic stress on SR, an “SR stress”, that could compromise muscle contractile property through its action on membrane phospholipid composition. Diet-induced increase in skeletal muscle CEPT1 protects muscles from developing diet-induced SR stress. Paradoxically, this appears to come at the expense of promoting skeletal muscle insulin resistance.

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