Waseda Institute for Sport Sciences早稲田大学 スポーツ科学研究センター

その他

東伏見スポーツサイエンス研究会(2014年度)

第33回 1月30日(金)18:15より 早稲田大学79号館(STEP22)303号室

演題

“近現代イングランドにおけるプロ・フットボールのガバナンス—フットボール争議の分析を中心に—”

演者

藤井翔太先生(大阪大学助教)

内容

近代スポーツの母国とされるイングランドにおいて、フットボールは国民的スポーツとして特別な地位を築き上げてきた。特に、1880年代のプロ・フットボールの成立以降、現在のプレミアリーグが示しているように、イングランドを代表とする娯楽産業として発展してきたことは否定できないだろう。イングランドのプロ・フットボールに関しては、社会・経済的背景、クラブ運営の特徴、メディアやギャンブルなどの周辺産業などについて、1980年代以降多くの研究が蓄積されてきた。また、近年は競技統括団体であるFAやフットボール・リーグ(リーグ)の研究が出現するなど、あらゆる角度からプロ・フットボールの歴史に光が当てられている。
しかし、他の産業と異なるプロ・フットボールのガバナンスの特徴についてはまだ議論の余地が残っており、本報告では世紀転換期と戦後期の二度に渡って勃発したフットボール争議の分析を通じて考察したい。選手(選手組合)とクラブ(リーグ)の間で行われたフットボール争議の分析を通じて、現在のプロ・フットボールの世界でも大きな問題となっている契約・移籍・給与問題の歴史的起源をたどるとともに、フットボール界に独特の規則がいかに正当化されてきたのか(社会に受け入れられてきたのか)考察する。

 

第32回 1月26日(月)18:15より 早稲田大学79号館(STEP22)303号室

演題

“Researching and writing about the Olympic Games”

演者

VassilGirginov先生(Brunel University, Professor)

内容

In the first modern history of the Ancient Olympic Games, Gilbert West’s (1749) Dissertation on the OlympickGames, expressed concerns with the quality and sufficiency of evidence and analysis used in the study of society. He posed questions that are fundamental for the scientific inquiry as we know it today and wondered how it is possible to understand attitudes and events accurately when the material available for studying the ancient games was so often myth, fable and tradition. The aim of this lecture is to examine some conceptual and methodological issues concerned with studying the Olympic Games based on the author’s experience with the London 2012 Olympic & Paralympic Games. In particular, the presentation will examine the various forms of censorship that were either imposed on or self-exercised by members of the academic community and the Organisersof the Games, and their role in framing the London Games.

 

第31回 1月22日(木)18:15より 早稲田大学79号館(STEP22)303号室

演題

“「健康」語りに潜むポリティクスを考える”

演者

高尾将幸先生(東京理科大学助教)

内容

「健康」という言葉は、新聞や雑誌、そして広告からCMに至るまで、私たちの日常にあふれている。また、増大する社会保障費のなかで、医療費、なかでも慢性疾患の長期的な治療にかかるコストがやり玉に挙げられ、そうしたリスクに対処する様ざまな施策が「健康増進」の名のもとに打ち出されてきた(「生活習慣病」、「メタボ」、「健康寿命」等々)。
他方で、身近な幸せの維持や期待を「健康」ほど便利に言い表せる言葉もない。「家族の健康が何より大事」、「自分の好きなことをできるのが、本当の健康だ」――「幸福」では率直にすぎることも、「健康」と言っておけば他者と簡単に共有することができる(し、そのことを私たちは当てにしながら使っている)。
客観性が求められる科学や制度で用いられる一方、望ましい生に対する個人的な期待として漠然と口に出せる――よく考えてみると不思議な言葉だ。筆者はこうした「健康」をめぐる語りの性格を〝だらしなさ〟と呼んでいるが、実はその語り口には、ある歴史性が存在する。それとなく社会的な領域と私的な領域とを行き来できてしまうこの記号の質感は、いかにして獲得されてきたのか。また昨今の「健康」の政策化は、はたして私たちの暮らしと制度にどんな変化をもたらしつつあるのか。こうした問いに対して、本報告では出来事や言説の系譜を辿りながら迫ってみたい。

 

第30回 1月16日(金) 18:15より 早稲田大学79号館(STEP22)303号室

演題

“日本におけるプロレスの生成過程について―多様な文化的土壌に着目して―”

演者

塩見 俊一先生(立命館大学講師)

内容

日本におけるプロレス生成の過程については、これまで当時の国民的ヒーローとも評される「力道山」や、新メディアである「テレビ」および街頭テレビという状況を中心に検討されてきた。今回の発表では、これらに比べて注目されることの少なかった事例や社会的な背景を扱う。具体的には、アマチュアスポーツとしてのレスリングの諸展開、武道のスポーツ化とも関わる「プロ柔道」の状況や、格闘技興行である「柔拳」および女性によるプロレスのストリップとの関連などについて述べる。あわせて、明治期から散発的ながら開催されているプロレス的な興行、およびプロレスに関する報道などにも言及する。これらのことから、戦後初期日本におけるプロレス生成過程に関する理解を豊富化し、当該時期の日本社会の一側面に迫ってみたい。

 

第29回 12月19日(金) 18:15より 早稲田大学79号館(STEP22)303号室

演題

“エビデンスはいかにスポーツ事故を可視化させるのか”

演者

内田良先生(名古屋大学准教授)

内容

私の専門は教育社会学です。研究テーマは,広くいうと「子ども問題」や「家族問題」です。必ずしも,今回の演題である「スポーツ事故」に関心があったわけではありません。とあるきっかけ(詳しくは当日に明かします)から,気がつけばスポーツ科学の世界にどっぷりと浸かっている状況になりました。本報告では,まず私の研究の過程をたどるところから,今日のスポーツ(科学)を眺めてみたいと思います。スポーツ科学の部外者だからこそ,見えてくること,指摘できることがあるだろうと考えています。そのうえで,ここ数年私が取り組んでいる研究の成果を提示します。その成果とは,エビデンス(事故件数)を用いることで可視化されたものです。各種競技の事故状況,とくに重大事故が起きている柔道やラグビーの事故実態を明らかにします。

 

第28回 11月5日(水) 18:15より 早稲田大学79号館(STEP22)303号室

演題

“Sponsoring Mega-Sporting Events:A Comparative Longitudinal Analysis of Advertising Patterns and Brand Appeal of Sponsoring Firms”

演者

Harald Dolles先生(モルデ大学/ゴーセンバーグ大学教授)

内容

Apart from investigating the impact of mega-sporting events in Asia –what could be considered as a large field of research for itself –the question is obvious, whether sponsoring such kind of a mega-sporting event is a wise investment and/or effective international marketing strategy? Sponsorship is not only a vital and rapidly expanding revenue source for sport organizations –thus its share in financing the Olympic Games has risen dramatically, but also has become a core marketing activity that often complements advertising endeavours for many organizations. Sponsoring is thus a rapidly growing phenomenon in marketing, but it is linked with uncertainty and a lot of pitfalls. This research aims to describe and explain the advertising behaviour seen as an activation strategy performed by sponsoring firms of the Olympic Games. It provides insights into the strategic goals related to sponsorship. The longitudinal approach taken opens the possibility to explore the dynamics of the strategies of local brands as well as foreign brands, starting with the Olympic Games in Beijing. A means-objective framework of sponsoring developed for research consists of six factors: The exclusive association of a sponsoring firm with an event can be based on the product, the corporation or on the region, thus constituting the three “objectives”. Further co-branding, revenue streams and new customers are identified as the three “means” factors. Based on a qualitative content analysis of 739 advertisements, articles and press releases collected from newspapers, journals and official web pages eight dominant means-objectives combinations leading to different sponsor marketing strategies have been discovered. From the longitudinal data it can be concluded that the time gap between signing the contract and the dates of the event influences the strategy of the sponsoring corporations. It also can be observed that the advertising content in some cases changes over time and the sponsors’ craft different ´advertising strategies´in different periods. Differences are further discovered dependent on sponsorship category and the level of internationalization of the sponsoring firm.

 

第27回 6月6日(金) 18:15より 早稲田大学79号館(STEP22)303号室

演題

運動部活動の戦後と現在:なぜスポーツは学校教育に結び付けられるのか

演者

中澤篤史先生(一橋大学大学院社会学研究科専任講師)

内容

運動部活動とは、いったい何なのか。それは、どのような歴史的展開の中で成立してきたのか。そして、現在いかなる状況のなかにあるのか。なぜ、スポーツは学校教育に結び付けられるのか。海外でも、日本と同じように、運動部活動は活発に行われているのか。私は、こうした問いに10年余り取り組んできており、その成果をまとめて、『運動部活動の戦後と現在:なぜスポーツは学校教育に結びつけられるのか』(青弓社、2014年3月)として上梓した。本報告では、同書の内容を元にして、運動部活動についての研究発表を行う。同書は、体育学・教育学をベースに社会学・歴史学の方法論も用いながら、運動部活動を見つめ直したモノグラフである。実は、運動部活動は海外にはない日本独特の文化である。同書では、その内実を解明するために、戦後から現在までの運動部活動の歴史をたどり、フィールドワークから運動部活動を支える教師や保護者の声も聞き取り、そして自由に楽しむスポーツと強制をともなう学校教育の緊張関係を〈子どもの自主性〉という視点から分析して、日本の運動部活動の特異性を浮き彫りにしようとしたものである。

 

第26回 5月28日(水)18:15より  早稲田大学79号館(STEP22)303号室

演題

民間テニスクラブのマネジメントへ好影響を及ぼす「特殊なプログラム」に関する研究

演者

霜島広樹先生(早稲田大学スポーツ科学学術院助手)

内容

日本テニス協会の調査によると、民間テニスクラブは2010年において1271と数多く存在している。しかしながら、その数はテニス人口と共に長期的な減少傾向にあり、民間テニスクラブを効果的にマネジメントするための研究の蓄積が求められている。テニスクラブを始めとする民間スポーツクラブマネジメントの研究分野においては、既存の顧客の維持が最重要課題とされ、顧客の満足やサービス品質の向上を目指した研究がこれまでも盛んに行われてきた。しかし、最近そのような研究に対し、中核となるプログラム(テニスクラブにおいてはレッスンプログラム)とは異なる特殊なプログラムの展開が、顧客やスタッフに対して様々な影響を与えることが明らかにされるとともに、それらを戦略的なクラブマネジメントとして活用していく方策が検討されはじめている。本報告では、それらのプログラムの効果と活用可能性について、これまでの研究結果を基に検討していきたいと考える。

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