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女性の体内環境は月経周期でどう変わるのか? ~酸化ストレスとヘプシジンの変動と関連性を検証~

女性の体内環境は月経周期でどう変わるのか? ~酸化ストレスとヘプシジンの変動と関連性を検証~
Posted
Wed, 27 May 2026

概要

本研究では、健康な若年女性の月経周期4時点で、酸化ストレス※1とヘプシジン※2を同時に調べました。その結果、酸化ストレスは月経期と卵胞期で高く、鉄欠乏※3があるとその傾向がより強くみられました。一方、ヘプシジンには明確な周期変動はみられませんでした。女性の鉄代謝理解に役立つ基礎的知見です。

これまでの研究で分かっていたこと(科学史的・歴史的な背景など) 

月経では定期的に鉄が失われます。体内の鉄の出入りを調節するヘプシジン※2は、鉄の貯蔵量や炎症の影響を受けることが知られています。また、月経時には子宮内膜で炎症反応が起こり、活性酸素が産生されるため、酸化ストレス※1も変化する可能性があります。しかし、月経周期の中で酸化ストレスとヘプシジンを同時に調べ、その関係まで検討した研究はほとんどありませんでした。 

今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと  

健康な若年女性12人を対象に、月経周期の4時点で採血しました。その結果、酸化ストレス※1は月経期と卵胞期で高く、黄体後期で低くなりました。特に鉄欠乏※3のある群では、月経期と卵胞期の酸化ストレスがより高い傾向を示しました。一方、ヘプシジン※2は周期全体で明確な変動を示しませんでした。酸化ストレスとヘプシジンの直接的な相関もみられませんでした。つまり、月経周期に伴って酸化ストレスは変わるが、その変化がそのままヘプシジンの血中変動に反映されるわけではないことが示されました。 

研究の波及効果や社会的影響 

月経に伴う体調変化は、学業、仕事、運動パフォーマンスに影響します。本研究は、月経周期のどの時期に酸化ストレス※1が高まりやすいかを示し、特に鉄欠乏※3のある女性では負担が大きくなる可能性を示しました。これは、女性アスリートのコンディショニング、鉄状態の確認、栄養・サプリメント介入の時期検討などに役立つ基礎資料になります。また、一般女性の疲労感や月経関連症状の理解にもつながる知見です。 

今後の課題 

対象者数が少なく、探索的な解析を含む点は課題です。また、排卵確認を含むより厳密な周期判定や、1日の中で複数回採血する縦断的評価が必要です。今後は、月経量の多い女性、女性アスリート、鉄欠乏リスクの高い集団を対象に、より実用的な健康管理法へ発展させる必要があります。抗酸化物質や鉄補給の最適なタイミングを検討する研究も重要です。 

研究者のコメント 

月経周期に伴う不調は仕方のないものと捉えられがちですが、その背景には鉄代謝や酸化ストレス※1の変化が関わっている可能性があります。本研究は、女性の身体で周期的に起こる生理現象を、生体指標から捉えようとしたものです。女性が自分の身体をより理解し、運動や日常生活を前向きに整えるための基礎知見として役立てたいと考えています。 

用語解説

※1 酸化ストレス 

体内で活性酸素が増えすぎ、細胞や組織に負担がかかっている状態です。 

※2 ヘプシジン 

主に肝臓でつくられるホルモンで、体内の鉄の吸収や利用を調節します。 

※3 鉄欠乏 

体内に蓄えられた鉄が不足している状態です。貧血の前段階を含みます。 

※4 d-ROMs 

血液中の酸化生成物を測定し、酸化ストレスの程度をみる指標です。 

論文情報(掲載された場合)

雑誌名:Frontiers in Endocrinology 

論文名:Fluctuations and interrelationship of oxidative stress and hepcidin during the menstrual cycle 

 執筆者名・所属機関名: 

吉田恵菜・早稲田大学スポーツ科学研究科 

林田はるみ・桐蔭横浜大学スポーツ科学部 

清水智美・桐蔭横浜大学 医用工学部 

Amanda J. Cox・Institute for Biomedicine and Glycomics, School of Pharmacy and Medical Sciences, Griffith University 

鈴木克彦・早稲田大学スポーツ科学学術院 

 Publishment Date(Local Time): 2025/10/22 

Publishment Date(Japan Time):2025/10/22 

(オンライン掲載の場合/For online publication) 

URL:https://www.frontiersin.org/journals/endocrinology/articles/10.3389/fendo.2025.1689305/full 

DOI: 10.3389/fendo.2025.1689305 

研究助成(外部資金による助成を受けた研究実施の場合)

 研究費名:科研費基盤研究C 

 研究課題名: 女性の健康障害に関与する鉄代謝と酸化ストレスに着目した最適な運動方法の提案 

 研究代表者名・所属機関名: 林田はるみ・桐蔭横浜大学スポーツ科学部 

 

鈴木 克彦

研究者詳細 – 鈴木 克彦