早稲田大学国際情報通信研究センター(Global Information and Telecommunication Institute: GITI)は1997年から学内の常設研究機関として活動しており、これまでに多くの研究成果を挙げ、更に多くの海外大学、研究拠点との国際連携などを手掛けてきています。現在は学内の専任教員約20名に加えて客員教員、招聘研究員等を合わせると100名近い研究員が多くの分野での研究を推進しています。情報通信分野は電信電話から始まり、その後は銀行オンラインやPOSシステムなどの利用が長く続きましたが、個人用PCやインターネットの普及に伴い一般での情報通信利用が広まりました。更に携帯電話の飛躍的な利用拡大に伴い日常生活において必要不可欠な存在になっています。現在、新型コロナウイルスの影響により在宅勤務、遠隔会議、遠隔講義等の利用が一気に進み、情報通信の役割の重要度は益々上がっています。それに伴い利用場所、利用状況が多様な状況下での大容量、高品質通信が求められるようになり、今後はそれらの要求に耐えうるシステムの開発が求められています。
GITIは大学内に留まらず世界的な情報通信技術の研究開発拠点として活躍することを目標として設立されましたが、まだまだ道半ばであり我々の更なる努力が必要と感じております。また、分野的にも情報通信分野は今や全ての業種との連携が求められ、それは医療、交通、ロボット、流通、農林水産業、教育など多岐に渡っております。また、近年ではAIの台頭により高度な情報処理が要求され、従来では不可能であった分野への応用が広がっています。このような無限の可能性を秘めた研究開発分野に追従するために、新たに多様な研究分野の教員、研究員の方々にご参加頂き、シナジー効果を求めてこれからも研究開発を進める所存です。外部からの委託研究、共同研究はもとより、政府系プロジェクト、国際連携プロジェクトを高い次元で構築してまいりますので、皆様方におかれましてはご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
Apple創始者のSteve Jobsが2005年にStanford大学の卒業式のスピーチでWhole Earth Catalogの裏表紙に記載された”Stay hungry. Stay foolish.”という言葉を最後に引用しましたが、私自身も以前から同様なポリシーを持っており非常に感銘を受けました。高速処理等の観点では人類はAIに代表されるシステムには太刀打ちできなくなっていますが、私はいわゆる“知恵”はAIにはできない人類固有のものと考えており、新しい時代を切り開く革新的な“知恵”をhungry精神で創造し続け、時にはfoolishと言われる事にも恐れずにチャレンジしていく所存です。
2020年9月21日
早稲田大学
国際情報通信研究センター
所 長 嶋 本 薫