講演者
氏名:Carlos Schmidt-Padilla
所属:University of Pennsylvania
資格:Postdoctoral Fellow
略歴:こちらから参照いただけます。
開催概要
開催日時: 2023年9月28日(金)10:00~11:30
開催方法: 早稲田大学3号館909号室
講演報告
講演タイトル: Organized Crime and Development
講演概要:
University of PennsylvaniaのCarlos Schmidt-Padillaが論文“Organized Crime and Development”を発表し、犯罪組織による地域の支配が経済発展にどのように影響するかを、エルサルバドルのデータを用い分析する研究成果を報告した。アメリカの移民政策の外的な変化が起因となったエルサルバドル・ギャングの成立を利用し、またロサンゼルスの暴力集団に倣いエルサルバドル・ギャングが作成した道路ごとの境界制度に焦点を当て、空間的な回帰不連続デザインを用いて解析した。結果としてギャングが支配する地域に住む個人は、ギャングの領土の外側わずか50メートル先に住む個人に比べ、物質的な福祉、収入、教育が低いことがわかった。これらの不連続性は、ギャングの到来前には存在していなかった。結果の背後にある主要なメカニズムは、ギャングが通行税などで個人の移動を制限し、市内の他の部分への通勤を妨げることで、労働市場の選択肢に影響を与えることだった。これらは携帯電話利用データなどで裏付けられた。観測された経済発展の差は選択的な移住、恐喝や暴力の影響、学校や病院など公共財提供の違いによって決まるものでなく、実際に移住や暴力、公共サービスの程度はギャング支配地域と外との境界で大きな違いがなかった。この研究はギャング特有の暴力・恐怖に依存せず、純粋な「縄張り」化を原因とする興味深い結果となったため、政治学研究科・経済学研究科・及び学外の研究者が参加し活発な質疑応答が行われた。