第2回実証政治学ワークショップ開催報告
『選挙権年齢の引き下げは若年層の政治関心を高めたか』
講演者:善教将大(関西学院大学 准教授)
秦正樹 (京都府立大学 准教授)
コーディネーター:高橋百合子 (政治経済学術院 准教授)
開催概要
開催日時: 2020年6月25日(木)17:00-18:30
会 場: Zoom Meeting
概 要: 6月25日開催の第2回実証政治学ワークショップでは、善教将大先生(関西学院大学)、秦正樹先生(京都府立大学)にご登壇いただき、選挙権年齢の引き下げが若年層の政治意識に与える影響を検証した最新の研究成果について報告いただいた。具体的に、LINEによる意識調査(17-21歳を対象)を実施して集めた代表性の高い標本を用いて、回帰不連続デザイン(RDD)により分析を行った結果、選挙権の付与は、文脈の違いを考慮しても中長期的な効果をもたらさない一方で、2019年参議院選挙では若年層の政治的関心の低下という短期的効果をもたらしたことが確認された。質疑応答では、この選挙制度改革の逆説的な効果について、性別による差はあるのか、2019年と2017年の投票率を比較すると18歳と19歳の低下率の差はあまりないのではないか、若年層の投票に対する政治意識と政治行動は異なるのか等、活発な議論が繰り広げられた。選挙権年齢が18歳へ引き下げられたことの効果については未解明な部分が多い中、精緻なデータ分析により制度改革が期待通りの結果をもたらすとは限らないことを説得的に論じた本報告から、日本の民主政治の行方を左右する選挙制度のあり方を考えるための重要な含意を得ることができた。