12月14日・15日に早稲田大学小野記念講堂で行われた「ヴェニスの商人」に出演しました。
舞台出演にあたって自分に演劇経験が無かったことが大きな不安でした。また初めて受ける演技指導が、著名な文学座の西川信廣先生と聞き、とても緊張しながら初稽古に臨んだのを覚えています。結果的にその心配は杞憂に終わりました。私以外にも演劇未経験のメンバーがいたことや、何より演出の西川先生を初めとした文学座のスタッフの方、企画をして下さった文学部の冬木ひろみ先生、そして一緒の舞台に立った出演メンバーが一丸となって良い舞台にしようと努力を重ねることができたからです。
今回はリーディング形式だったので動作ではなく、台詞のみでお客さんに登場人物の感情を伝えなければいけませんでした。さらに坪内逍遙翻訳の台本だったため、どうしても文語的な言い回しが多く、私自身台詞の意味を理解するのに苦労しました。ただ、そのような状況だったからこそ台本を何度も読み込み、自分なりの解釈を加えることによって、少しずつですが確実に一歩ずつ役の置かれている立場や心情を理解していくことが出来たと思います。また相手との掛け合いや間の取り方一つとっても、相手の呼吸を感じ、合わせなければなりません。演劇は、決して一人では成り立たないものだと強く実感しました。だからこそ練習そして本番を含めて演者一丸となって演劇をし、多くの方の協力を得て舞台を作り上げていくことの楽しさも感じることができたのだと思います。
今回の出演を通して、舞台を作る達成感を感じました。私たち演者が本番に臨むわずかな時間の為に多くの人の協力があって初めて、舞台が成り立ちます。また私たち演者自身も本番の為に日々稽古を重ね、お互い切磋琢磨しあいます。演者、スタッフ、支えて下さる方々、誰一人欠けても今回の舞台の成功はあり得ませんでした。
初めて出演者募集の知らせを見たとき、勇気を出して一歩踏み出せたことでこのような貴重な経験が出来たことをとても幸運に思います。改めて舞台に関わった全ての方たちへ感謝を申し上げます。