Research Institute for Letters, Arts and Sciences早稲田大学 総合人文科学研究センター

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センターについて

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センター所長挨拶

総合人文科学研究センター所長 山本 聡美

現代社会において、人文科学研究には深さと広さ、つまり専門性と領域横断性の両面が求められています。人類の営みそのものを分析対象とし、哲学・言語・歴史・文学・芸術・文化・心理・教育・社会など、私たちの祖先が地球上に残してきた文明の痕跡を通じ「人間とは何か、どうあるべきか」という大きな問いを共有しながら、現在の、また未来の社会を構想するための知の体系化を目指すのが、人文科学の役割です。その際、哲・史・文に代表される伝統的な研究・教育の枠組みや方法も重要な基礎であり続ける一方、現代社会が抱える諸課題を解決するために既存の枠組みを横断、更新し、新たな論の体系を創出する努力も不可欠です。

このような理念のもと、早稲田大学では、2007年度よりかつての第一文学部・第二文学部を再編して、領域横断的な観点を重視する文化構想学部(6論系)と古典的な学問領域に軸足を置く文学部(18コース)を設置し、さらに大学院文学研究科を人文科学専攻の一専攻に改編することで、現在に至る二学部一学科を擁する文学学術院の形が整いました。そして、これら二学部一学科で行われる研究・教育にさらなる連携を実現するプラットフォームとして、2012年4月に開設されたのが総合人文科学研究センター(Research Institute for Letters, Arts and Sciences,略称「人文研」またはRILAS)です。

人文研の構成メンバーは、文学学術院を本属とするすべての専任教員(任期付教員および助教を含む)と助手です。これに加えて、文学学術院以外の本学の専任教員、学外からの客員研究員や招聘研究員も多数加わり組織されています。総勢200名以上の研究者を有する、国際的にみても規模の大きな附置研究所です。

主たる研究活動を、上記構成メンバーによって組織されている16の研究部門(2022年9月現在)が母体となって行っています。研究部門はそれぞれ、人文科学の知を深め、あるいは融合する戦略的な課題を掲げ、シンポジウムや研究会、講演会、ワークショップなどの研究活動を精力的に実施しています。コロナ禍以降、オンラインでの活動機会が増えたことで海外を含む遠隔地からの参加が容易となり益々活況を呈しています。このメリットを生かしつつ、今後は対面の場をいかに再構築していくかが大きな課題です。また、年に一度「年次フォーラム」という形で比較的規模の大きな国際シンポジウムを主催し、今日的課題についての研究成果を広く発信、対話する場を設けています。

さらに、研究成果発信のための重要な媒体として、オンライン・ジャーナル『WASEDA RILAS JOURNAL』を刊行しています。2013年に創刊された当ジャーナルは、研究所員や研究員のみならず、大学院生(修了者を含む)の投稿による査読付論文のほか、研究部門のシンポジウムや研究会に関する特集、年次フォーラムの報告など、毎号とも充実した誌面を世界に向けて発信しています。

また、人文研における特筆すべき国際的な研究活動として、漢陽大学校、南開大学、国立台湾大学、清華大学、香港理工大学との協定にもとづく東アジア人文学フォーラムがあります。これは人文科学をめぐる東アジアの学術交流を推進する目的で、2009年より始められたものです。各校が持ち回りで年1回開催しており、人文研では2012年(第4回)、2017年(第9回)、2022年(第14回)のフォーラムを主催しています。さらに、スーパーグローバル大学創成支援事業早稲田大学国際日本学拠点による国際的な学術イベントの多くにも、人文研は共催機関として携わっています。

以上に加え、近年の人文研で力を入れているのが若手研究者の育成と研究支援です。特に大学院生の研究活動、アカデミック・キャリアの構築をサポートするために、研究費助成の他、英語論文執筆セミナーや日本学術振興会特別研究員応募チャレンジセミナーの開催などに取り組んでいます。また、人文研で主催する領域横断的で国際的なシンポジウムや研究会に、聴衆としてだけでなく報告者として積極的な参加を促すことで、大学院生各々の成長段階に応じた挑戦の場を設けています。

現下の世界は、近代以降整えられてきた諸制度や価値観の転換期にあると言えるでしょう。人類が過去に繰り返してきた対立と融和の歴史、そこで創造されてきた思想や文化をひもとき、私たちの現在と未来を構想するために、人文研も力を尽くしたいと考えています。2012年の開設以来10年の節目を迎えた人文研が、多くの研究者、そして社会に開かれた学術的対話の場として一層の役割の担っていけるよう、組織の公共性や透明性を見失うことなく運営に努めてまいります。

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