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【開催報告】シラネ・ハルオ先生公開セミナー 「エコ・ソーシャル・イマジナリー—日本の妖怪と幽霊をめぐる新たなアプローチ」

【開催報告】シラネ・ハルオ先生公開セミナー 「エコ・ソーシャル・イマジナリー—日本の妖怪と幽霊をめぐる新たなアプローチ」

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WED 2026
Place
早稲田大学戸山キャンパス36号館382教室
Time
17:00~19:00
Posted
Sat, 25 Jul 2026

シラネ・ハルオ先生公開セミナー

エコ・ソーシャル・イマジナリー—日本の妖怪と幽霊をめぐる新たなアプローチ
The Eco-Social Imaginary: A New Approach to Ghosts and the Supernatural in Japan

 

シラネ・ハルオ氏(コロンビア大学教授)は、近年 eco-social imaginary(生態社会的な想像力)という概念を用いて、コミュニティの想像力、つまりコミュニティを物理的環境と結びつける独自の生き方や存在の創造方法について、文学や文化を通じた分析を深めている。

本講演では、冒頭で河野貴美子氏(文学学術院教授)がシラネ氏の数多くの著作を取り上げ、人文学の領域において常に新たな視点や方法を示し続ける学術的貢献、また本学への長年の協力についての紹介がなされた。講演に際して、シラネ氏は、まず日本の歴史を千年以上にわたって横断しながら、蛇・大蛇、狐、鬼、半人半鳥の天狗、そして幽霊という五つの重要な異形の存在がどのように変容してきかを論じた。古代神話、中世の伝説、芸能、民間伝承から現代のアニメに至るまでを視野に入れ、人間と人間ならざる存在、生と死、そして、変化に富み時に脅威となる自然環境との関係がどのように理解されてきたかに迫った。

 

シラネ氏は、人間、動物、鬼や妖怪、死者の霊、そしてカミを「相互に連続する一つの流動的なスペクトラムの上に存在しており、そこでは一方が他方へと変身しうる」と指摘し、日本のeco-social imaginaryにおいては、「変身は例外的な現象ではなく、むしろ、それが常態」と結論する。このように、鬼や妖怪、幽霊など、現代人の感覚ではイマジネーションの産物と見なされる存在と、我々人間とを連続するものとしてとらえる視点は、AI時代において大きく揺らいでいる「人とは何か」という問いが、歴史的には何度も繰り返されてきた、人間/人間ならざる存在のあわいへの問いであることを浮き彫りにする。

講演後は、山本聡美氏(文学学術院教授)及び海野圭介氏(教育・総合科学学術院教授)によるコメントが寄せられた。山本氏は「イエとマレビト」という観点から、2024年11月にシラネ氏とともに実施した宮崎県北部の里山・里海巡見の共同研究を紹介し、個人と社会を媒介する妖怪・幽霊が活き活きと存在できる条件としての「〈イエ〉が継承される条件、あるいは〈イエ〉に代わる現代的受け皿とは何か?」という問いを投げかけた。また海野氏は、『源氏物語』研究にはじまるシラネ氏の学究の軌跡を追い、eco-Humanities(環境人文学)、eco-social imaginaryといった方法論の今後の可能性について議論を展開した。

会場には50名ほどの参加者があり、文学、美術、芸能等多方面からの活発な質疑応答が行われた。

 

開催情報

  • 日時:2026年6月24日(水)17:00~19:00
  • 対面会場:36号館382教室

 

主催等情報

主催:早稲田大学総合人文科学研究センター 角田柳作記念国際日本学研究所、早稲田大学SGU国際日本学拠点、早稲田大学総合研究機構日本古典籍研究所