※本稿は2020年度に取材し、取材当時の情報を掲載しています。
1991年東京家政大学英語英文学科卒業。商社勤務を経て、家族に帯同して海外生活を送り、帰国後に日本語学校で教師を務める。仕事を続けながら2015年に当研究科に入学し、対話による実践授業への試みをテーマに修士論文を執筆。修了後の現在は、早稲田大学日本語教育研究センターで留学生に日本語を教えている。
日研に入学したのは日本語教師になって10年目のタイミングでした。その前年に日研の公開講座に1年間通い、講義の内容や先生の助言を通して、日本語教育学の理論と自身の実践とが結び付く手応えがありました。それまで長く現場で感じてきた、学生と教師の間にあるズレや違和感について、もっと真剣に研究してみたいと考え、修士課程入学を志望しました。
特に印象に残っている科目の一つが「日本語教育実践研究(9)」です。これは早稲田大学日本語教育研究センターで留学生を対象に開講されている日本語科目「クリティカル・リーディング」を実習の場とした実践研究科目で、院生自らが授業デザインや教材作成、授業実習を担います。この科目を通して、私の中にあった教師の役割に対する固定観念が覆されたと同時に、学習する側の視点や考えについても理解を深められたことで、修士論文のテーマである「対話による実践授業への試み」の研究へとつながりました。
日研での2年間は、自らと向き合い「自分はどんな日本語教育をしたいのか」を考え続けた時間でした。その過程を経て定まった教育観は、日本語教育に携わる上での揺るぎない芯となっています。今後も学習者の支援者として、個々の学生にとってベストな教育を共に考え実践していきたいと思います。また、留学生だけでなく、仕事や生活で日本語を必要とする人への日本語教育にも携わりたいと考えています。