※本稿は2020年度に取材し、取材当時の情報を掲載しています。
「日本語教育実践研究(5)」では、日本語教育研究センターの留学生を対象とした初級授業(『「わたしのにほんご」プロジェクト』)で、「状況」のなかで言語とコミュニケーションをとらえることを目標とした授業実践を行います。この実践の期間中、他の履修者の皆さんと一緒に、学習者一人ひとりの「状況」やそこで用いる言語表現についてとことん考え続けました。その結果、自分がこれまでいかに実際の生活の中で用いられている「生きたことば」というものに向き合ってきていなかったか、という点に気付くことができました。例えば、「友達を食事に誘う」という行為一つとっても、時間帯や場所、相手との関係性、自分が今食べたいものがあるかどうか、によって選択する表現が全く異なるため、「初級で“誘う”といえば「~ませんか」」という自分の常識を再考する機会となりました。こうした機会を経て、学習者の複雑に絡んだ「状況」を考える視点を学ぶことができました。