わが社会科学部が創立30周年を迎えた。平成3年4月は創立25周年であった。その前の月、私は定年で、大学を去った。その時記念事業の1つとして以前から依頼されていた『早稲田大学社会科学部小史』 (平成4年3月刊)の最後に、私はつぎのように記した。
やがて来るべき21世紀の幕開けは、そのままわが社会科学部の新たな幕開けとなるであろう。その創設に参加した多くの人々は、やがて散じて姿を消していくであろう。しかしその当初における理想とその困苦の歴史は、新たに集まりくる若き人材によって受けつがれ、他はわが学部が早稲田大学の一翼を担う。有力学部としてはばたく日を麹望して、この稿を終る。と。そして今、その日が近づきつつあることを実感する。