Waseda University History Museum早稲田大学 歴史館

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ビール箱資料

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Thu 08 May 25

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Thu 08 May 25

早稲田大学歴史館の収蔵庫に保管されていた木製の古いビール箱の中から資料が発見されました。箱の裏面には「昭和二十七年五月八日事件」と記載されており、中にはニュースフィルムや木片などが収められていました。

本Web記事のテキストおよび画像の引用にあたっては以下の情報を出典として付記してください。


確認の経緯

  • 2024年5月8日、確認時に撮影

  • 2025年2月25日、虫害対策後に撮影

2024年5月8日、早稲田大学歴史館のアーキビストは、収蔵庫に保管されたもんじょ箱の中に、木製の古いビール箱があることを確認しました。ビール箱の裏面には「昭和二十七年五月八日事件」と書かれており、中には紙片や木片、35ミリフィルムなどが雑多に入っていました。

1952年に起きた「昭和二十七年五月八日事件」について、『早稲田大学百年史』は一節を割いて詳述しています。以下は、『百年史』第五巻(第十編 新制早稲田大学の本舞台>第十六章 新制発足頃の学生運動>二 昭和二十七年「五月八日早大事件」)における『五月八日事件報告書』の引用です。

午前一時十分実力行使の命令が下されたと、後になつて認められるその時刻、学校側も学生達も、それを全く知らず、伊藤署長の本部長への電話連絡を懇請しその結果を待つていたのであつた。署長らが協議の室を去つて、その室内に警察側の人々の姿もなく、電話によつて妥結点を得ると信じ、期待していた学生達の群に、同二十分頃、突如武装警官隊襲撃のかん声が迫つたのである。……武装警官の群は窓ガラスを破損して気勢をあげ、逃げまどう学生を追つて校舎内四階にまで入り、二階図書室の如き鍵をかけてある扉はこれを打壊し、又、現場より数十米の通路上(例えば理工学部校舎前)でさえ学生を乱打して重傷を負わせ、しかもこの間、報道員その他学生服以外の人々までを殴打し負傷させたのである。後に、警察側の発表した警官負傷二十数名がこうした無秩序の暴挙のための同士打であつたか、血気にはやり自ら負傷したものであるかは明らかではないが、学生達の積極的抵抗は全くなかつたということができるのである。警察側の主張する山本巡査の救出が、実力行使の目的であつたとしたならば、この行動は許され難い程過激なものであつて、負傷した学生の大部分が頭部を強打されていることは、平素の訓練に於いて十分の周到さを欠いた結果とも思われる。 (一一〜一二頁)

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歴史館の前身箇所(大学史編集所・大学史資料センターなど)がいつ・どのような理由でこのビール箱を管理するようになったのかを示す資料は、現時点では見つかっていません。また箱裏に「昭和二十七年五月八日事件」と記載があるものの、「五月八日事件」と明確に関係すると考えられる資料は、資料番号04 「〔35ミリフィルム〕朝日ニュース第三五〇号収録 警官隊早大ニ突入」のみです。資料番号06 「〔木片〕」を含め、他の資料は「五月八日事件」との直接的な関係を示す傍証を欠いています。加えて資料番号07 「〔詫び状〕」は1966年に作成されたことが確実です。

これらを踏まえて、資料群名として「五月八日事件」を採らず、外見的な特徴から「ビール箱資料」と命名しました。

「ビール箱資料」には10点の資料が含まれています。「五月八日事件記録」と書かれたメモは「其の二」「其の六」「其の八」の3点のみで、他のメモは箱の中にはありません。

資料群「ビール箱資料」資料一覧

ビール箱資料 01 「〔木箱〕アサヒビール/(箱裏)昭和二十七年五月八日事件」

  • 蓋。四つに破砕されている。右上に熨斗がついている。

  • ビール箱資料 01 「〔木箱〕アサヒビール/(箱裏)昭和二十七年五月八日事件」

    ビール箱資料 01 「〔木箱〕アサヒビール/(箱裏)昭和二十七年五月八日事件」

    箱内に02以下の資料が収蔵されていた。

  • ビール箱資料 01 「〔木箱〕アサヒビール/(箱裏)昭和二十七年五月八日事件」

    ビール箱資料 01 「〔木箱〕アサヒビール/(箱裏)昭和二十七年五月八日事件」

    箱裏。「昭和二十七年五月八日事件」とある。

  • ビール箱資料 01 「〔木箱〕アサヒビール/(箱裏)昭和二十七年五月八日事件」

    ビール箱資料 01 「〔木箱〕アサヒビール/(箱裏)昭和二十七年五月八日事件」

    側面。

ビール箱資料 02 「〔メモ〕五月八日事件記録(其の二)テープレコーダー」

表面。「テープレコーダー」はビール箱中には見当たらなかった。

表面。「テープレコーダー」はビール箱中には見当たらなかった。

  • 裏面。

  • 裏面を90°回転したもの。試験の答案用紙の断片だと思われる。

ビール箱資料 03 「〔メモ〕五月八日事件記録(其の六)ニュース一巻」

表面。「ニュース一巻」はビール箱資料04を指すものと見られる。

表面。「ニュース一巻」はビール箱資料04を指すものと見られる。

二重線で見せ消ちされた「新聞記事」ではないかと推定される資料が、今回の調査で別の未整理資料箱中から確認された。「大学史編集所」封筒に入っているが、大学史編集所への改組は1970年であることから、『早稲田大学百年史』編纂時にビール箱から取り出され封筒に入れられた、とも想像される。

二重線で見せ消ちされた「新聞記事」ではないかと推定される資料が、今回の調査で別の未整理資料箱中から確認された。「大学史編集所」封筒に入っているが、大学史編集所への改組は1970年であることから、『早稲田大学百年史』編纂時にビール箱から取り出され封筒に入れられた、とも想像される。

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ビール箱資料 04 「〔35ミリフィルム〕朝日ニュース第三五〇号収録 警官隊早大ニ突入」

映像および利用条件

  • 本資料の利用はYouTube上のみに限ります。他の媒体やサービスへの転載・頒布は禁止します。
  • 歴史館東伏見アーカイブズでの資料利用(閲覧・複写等)は行いません。
  • ビール箱資料 04 「〔35ミリフィルム〕朝日ニュース第三五〇号収録 警官隊早大ニ突入」の一コマ

  • 2012年度稲門シナリオ研究会寄贈早稲田祭関係資料 01 「〔16ミリフィルム〕1956年早稲田祭 早稲田大学早稲田祭委員会書記局財務部保管」の一コマ

  • 2012年度稲門シナリオ研究会寄贈早稲田祭関係資料 01 「〔16ミリフィルム〕1956年早稲田祭 早稲田大学早稲田祭委員会書記局財務部保管」の一コマ

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ビール箱資料 05 「〔メモ〕五月八日事件記録(其の八)警棒破片」

ビール箱資料 06 「〔木片〕」

資料番号05にいう「警棒破片」と推定されるが、断定できない。

資料番号05にいう「警棒破片」と推定されるが、断定できない。

反転した状態。

反転した状態。

ビール箱資料 07 「〔詫び状〕」

表。全文を下に掲載した。日付は「昭和四十一年七月」(1966年)とあり、ビール箱底面に書かれた「昭和二十七年五月八日事件」のものではない。

表。全文を下に掲載した。日付は「昭和四十一年七月」(1966年)とあり、ビール箱底面に書かれた「昭和二十七年五月八日事件」のものではない。

裏。

裏。

謹啓 盛夏のみぎりいよいよご清適のこととお慶び申し上げます。

さて、今般の早稲田大学の紛争におきましては、それが長期にわたりましただけに地元の各位に種々のご不便ご迷惑をおかけ致ました事を深くお詫び申し上げます。

幸に学園も学生自身の自覚によりまして一応平常の姿に立ち帰りましたが、大学の自治は如何にあるべきか等未解決の問題は今後に残されており、現在学園をあげてその正常な姿勢への確立に努力致しております。

地元各位におかれましても、何卒右の事情ご了承賜わりまして、今後とも宜しくご支援の程をお願い申し上げます。

略儀ながら重ねてお詫びをかねご挨拶を申し上げます。

敬具

   昭和四十一年七月

早 稲 田 大 学

地 元 各 位 殿

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ビール箱資料 08 「〔封筒〕東京都淀橋区戸塚町一丁目六四七番地 早稲田大学」

1947年(昭和22)3月15日、新宿区発足に伴って淀橋区は廃止された。

1947年(昭和22)3月15日、新宿区発足に伴って淀橋区は廃止された。

ビール箱資料 09 「日本経済新聞」

昭和27年11月24日付。

昭和27年11月24日付。

  • (一)面

  • (五)面・(二)面

  • (六)面

ビール箱資料 10 「〔梱包用ボール紙〕ミカド印 家庭湯沸 株式会社日東アルミニウム製造所」

▲中に「The NITTO ALUMINIUM」と白地で記載されたロゴは、1950年代に用いられていたデザインであると考えられる。

▲中に「The NITTO ALUMINIUM」と白地で記載されたロゴは、1950年代に用いられていたデザインであると考えられる。

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