Waseda University Junior High School早稲田大学 高等学院 中学部

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芸術鑑賞教室 活動報告
~演劇「きみはいくさに征(い)ったけれど」を鑑賞して~

演劇「きみはいくさに征(い)ったけれど」を鑑賞して

今年度の芸術鑑賞教室は、6月14日(金)に行われました。今回は「ルネこだいら」にて、演劇「きみはいくさに征(い)ったけれど」を鑑賞し、希望者が座談会に参加しました。

◆演劇を鑑賞して

冒頭のシーンで主人公の宮斗はマンションの屋上から飛び降りようとするが失敗し、そこで第2次世界大戦中に23歳で死亡したナゾの人物、浩三が現れる。浩三は、生きている意味が分からないと言う宮斗に対して「歓喜して生きよ。」と言った。このセリフは一見、陽気で気さくな性格である浩三がとっさに言ったもののように思えるが、この一言はとても奥が深いと思う。なぜなら、多くの問題を抱えている現代社会において歓喜して生きていくこと自体がまず難しいことだからだ。
限られたわずかな時間である人生を、苦しい戦時下においても歓喜して生きた浩三は、自分が兵士になり戦争に行く直前まで恋をして人生を謳歌していたと宮斗に話していた。自分の意志が表現しづらい時代に、自分なりの人生を歩んだ浩三の生き方は、現代の消極的な日本人の生き方とは対照的だと感じた。
また、宮斗の「もつれていた糸がようやくほどけたと思ったら、切れてしまう糸もある。」というセリフも印象に残った。宮斗は、伊勢に来るまでは様々な悩みを抱えていたが、伊勢では近所のにぎやかな家族に支えられて、前向きに生きていこうと思えるようになった。心の糸がほどけたのだ。しかし、突然祖母が亡くなり、祖母との糸は切れてしまった。それでも祖母は、死ぬ前に宮斗と会えて、できるかぎりのことを話し、悔いなく亡くなったのかもしれないと感じた。
私は、伊勢という都会から離れた場所で人々の素の優しさに触れて、宮斗の心のもつれた糸がほぐれたのだと思った。人と人との関わりをより多く持つことができれば、宮斗のように苦しむ人も減り、「歓喜して」生きていく人も増えるのではないだろうか。
(3年・遠藤)

◆座談会を終えて

「きみはいくさに征ったけれど」を見た後、私は座談会に出席して、出演者の一人である島野仲代さんにいろいろな質問をさせてもらいました。島野さんは主人公である宮斗のおばあさん役を演じられていて、劇中ではとても臨場感のある演技をされていました。私が一番驚いたのは、島野さんの方言でした。劇中で使われていた方言は練習されたもので、私生活では全く方言を使わないだけでなく、今まで数々の方言を練習されてきたそうです。
私が島野さんとお話をさせてもらって学んだことは、「劇は役者と観客で作り上げる」ということです。役者には演技力が求められる一方、観客にもある程度の知識、そして想像力が求められます。実際、劇ではイスがマンションのフェンスから新幹線のイスまで、たくさんの役割を果たしていて、その場面に合わせて観客の側が想像しないと内容が理解できなかったと思います。
このように役者と観客が力を合わせて作り上げていくのが劇だと島野さんはおっしゃっていました。私はこの言葉を聞いて、演劇というものに興味を持ちました。とても面白く、貴重な経験になったと思います。
(3年・荻原)

 

 

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