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マーケティングを学ぶ形成外科医 美容医療プラットフォーム構築を目指す

「医学とビジネスに共通するのは、自分で答えをつくること」

大学院経営管理研究科 修士課程 2年 篠﨑 智公(しのざき・ともひろ)

戸山キャンパス 戸山の丘にて

普段は形成外科医としての顔を持ちながら、大学院経営管理研究科(早稲田大学ビジネススクール)の学生として経営学を学ぶ篠﨑智公さん。所属している川上研究室では「旅するエール〜Play for the Blue Ocean〜」プロジェクトを企画し、4歳以上の子どもたちをターゲットにしたクラシックコンサートのプロデュースにも取り組みました。将来的には医療系の卸売業をしている家業を継ぐことも視野に入れているという篠﨑さんに、職業に関することやビジネススクールを目指したきっかけ、学生生活、今後の目標などについて聞きました。

――形成外科医の仕事について具体的に教えてください。医者を目指したきっかけは何だったのでしょうか?

福岡徳洲会病院で働いていたとき、腹腔鏡のデモ機で練習をしている様子

形成外科では主に皮膚や筋肉などを扱い、外傷や先天的な異常、皮膚がんなどによる欠損を、患者自身の組織を使って再建する手術や、美容医療などを行っています。よく整形外科と間違えられるのですが、どちらかというと整形外科は骨、形成外科は体表面側がメインの治療をしています。医者を目指したきっかけは、小学校5年生の頃に医療系の卸売業を経営していた父から「経営者に向いていない」と言われたためです(笑)。それならばと専門性を持てるだけでなく家業にも関われると思い、まずは医者になろうと決意しました。

――医者をしながら、現在はビジネススクールで経営学を学んでいますが、なぜ早稲田への進学を決意したのでしょうか?

家業の経営に参画するためには、経営学をしっかり学ぶ必要があるということは感じていて、医者になってからのMBA取得はもともと視野に入れていたんです。早稲田のビジネススクールは他と比べてビジネス界で有名な先生が多く、授業もフレキシブルに対応されているので仕事との両立もできると思い、志望しました。実際に入ってみると、思った以上に学生同士の横のつながりが強いことを実感しています。今まで医療という狭い世界に生きてきたので、年齢も経歴も考え方もバラエティー豊かな学生達から、自分のいた世界とは異なる話をたくさん聞くことができ、毎日刺激的な生活を送っています。

写真左:ゼミ生との「旅するエール」のアイデア出しでの一幕
写真右:馬てい形教室(早稲田キャンパス11号館)での授業中の様子

――所属する川上研究室では「旅するエール〜Play for the Blue Ocean〜」のプロデュースに取り組まれたと聞きました。

川上智子教授(経営管理研究科)の研究室で毎年行われている「クラシカエール」というプロジェクトの1つとして実施しました。「クラシカエール」は「暮らし変える」という意味で、クラシック音楽を通じて多くの人々の暮らしをより豊かに変えたいという思いで活動しているプロジェクトです。

2021年度は、今までクラシックコンサートになじみのなかった層にリーチする目的で、「クラシックコンサート」と「海」というテーマを組み合わせて行いました。対象とした4歳以上の幼い子どもたちの興味関心をどのように引くかを考え、生のオーケストラの演奏とともに子どもたちが自ら撮った写真が大きなスクリーンに映し出されるといった参加型のコンサートを提案。AI(人工知能)が作曲した曲やプロジェクションマッピング、AR(拡張現実)、インタラクティブ映像(※)などの新しい技術も取り入れながら、子どもたちを飽きさせないように工夫しました。今回のプロジェクトの一環で行ったフォトコンテストで優勝した子がガッツポーズで喜んでくれた瞬間は特に印象に残っています。子どもたちの一生の思い出になるようなプロジェクトに仕上げられたことはとても良かったです。

(※)視聴者体験型の仕掛けが組み込まれている映像。

写真左:「旅するエール」で行った「旅するシーフード」フォトコンテストのグランプリ発表の瞬間
写真右:ゼミ生全員でコンサート終了後に集まって撮った集合写真。篠﨑さんは前列左から3人目(ミューザ川崎シンフォニーホールにて)

――現在の学生生活や仕事の様子について聞かせてください。

現在働いているクリニックで、ヒアルロン酸注射をしている様子

現在は専門職学位論文に取り組んでいます。今後は医者としても家業においても美容系が中心なので、美容そのものや美容系の医療に対して人々がどのようなニーズや要望を持っているのかについて、調査をしているところです。美容外科医としては、腕を維持するためにも週2回知り合いのクリニックで手術や美容の治療を行っています。また、家業ではアドバイザー的役割として関わり始め、医者でないと分かりづらい専門的な話やプロジェクトの判断などでサポートし、少しずつ関係を強めていくつもりです。

――医学やビジネスなど、さまざまな分野に挑戦されていますが、そのモチベーションはどこからくるのでしょうか?

小さい頃からの夢を1つずつ実現できているというのが大きな原動力だと思っています。途中で選択に悩むことは何度もあったのですが、結局は自分が本当に好きなことを選んできたので、あまり苦に感じていません。常に細かに人生設計を決めてゴールまでの道筋を描いていたので、今までその目標に向かって修正しながらも、好きなことに対してレールを敷いてきたイメージです。そのような形で医学とビジネスという分野を学んできて感じることは、どちらも結果に正解がないという部分が共通しているということです。自分で正解を作りに行くことに面白さを実感しています。

北里大学病院で働いていた後輩と一緒に撮った、退職時の記念写真

――今後の目標について教えてください。また、早稲田でビジネススクール進学を目指している学生に一言お願いします!

今後は次々と新しい事業を生み出していく「シリアル・イノベーター」を目指しています。例えば、美容医療の分野では規制が多く適切なプラットフォームが少ない現状があるので、患者さんも医療事業者側も満足するようなプラットフォームを作りたいです。また、家業では海外とのつながりもあるので、新たな事業として、さまざまな地域に拠点を置き、日本の医療を提供するサービスにも挑戦したいと考えています。ただ、こういったことが最終目標ではなく、自分の夢への第一歩として、まずはこのビジネススクールでベースを築いていければと思っています。

現在ビジネススクールを目指している方には、ぜひ自分の目標を実現するためのキャリアパスを、将来のなりたい自分から逆算してみて、進学することが本当に自分の人生に必要なものかどうかを考えてみると、いざ進学した際により有意義な学びが得られると思います。

第817回

取材・文・撮影:早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ
社会科学部 4年 勝部 千穂

【プロフィール】
福岡県出身。福岡大学医学部卒業。形成外科専門医。2021年4月早稲田大学大学院経営管理研究科に入学。面白かった授業は、入山章栄教授の「トップ起業家との対話」。趣味はおいしいもの巡り。美の秘訣(ひけつ)は「自分自身の外見に対して自信を持つこと」だと語る。

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日はほぼ毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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