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挑む、 支える、 伝える。大学スポーツの可能性

特集:大学×スポーツ、広がる地平。

  • #キャンパスナウ
  • #学生・校友の活躍

Mon 02 Nov 26

特集:大学×スポーツ、広がる地平。

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Mon 02 Nov 26

早稲田大学のスポーツ文化を構成する、 44の体育各部や、サークル、学生団体。その最前線で活動する学生5名が、大学スポーツの可能性を語り合いました。

 

写真提供=早稲田大学応援部/早稲田スポーツ新聞会

<学生座談会>
ホッケー部/菊地理沙子さん(スポーツ科学部3年)
野球部/香西一希さん(スポーツ科学部4年)
早稲田スポーツ新聞会/土橋俊介さん(商学部3年)
応援部/正木千春さん(政治経済学部4年)
VIVASEDA/吉田ののさん(文化構想学部3年)
※所属・学年は取材当時

後列左から、吉田ののさん、正木千春さん、土橋俊介さん 前列左から、菊地理沙子さん、香西一希さん<br />
撮影:東伏見キャンパス ホッケー場

後列左から、吉田ののさん、正木千春さん、土橋俊介さん 前列左から、菊地理沙子さん、香西一希さん
撮影:東伏見キャンパス ホッケー場

活動を通じて体感する大学スポーツの魅力

香西:
私は野球部で主将を務めており、守備位置は投手です。小学生の時にテレビで見た早慶戦に憧れ、早稲田大学を志望しました。主戦場である東京六大学野球連盟のリーグ戦などに向けて、仲間と切磋琢磨しながら競技力を高めていくことに、やりがいを感じます。

2026年春の早慶戦は、六大学野球では32年ぶりに行われた天覧試合でした。天皇陛下と愛子さまが観戦されている中、逆転サヨナラ勝ちを収めることができたことは、かけがえのない思い出となっています。

菊地:
ホッケー部に所属しています。ホッケーは競技人口が比較的少なく、部では入学後に競技を始める学生も多いです。対する強豪校は、スポーツ推薦で入学した選手が多く手強いのですが、そこでいかに打ち勝つかを日々模索しています。

正木:
二人のようなアスリートを、スタンドから支えるのが私たち応援部です。リーダー、吹奏楽団、チアリーダーズで構成される応援部は、44の体育各部の主要な試合に赴き、応援を行います。私は吹奏楽団のトランペットを担当し、第一応援歌『紺碧の空』など早稲田を代表する応援曲の数々を、誇りをもって演奏しています。

土橋:
私が所属する公認サークルの「早稲田スポーツ新聞会」は、体育各部に取材を行い、新聞やホームページ、SNSで情報を発信しています。高校までは野球に打ち込んでいたのですが、怪我が原因で大学ではプレーヤーとしての活動を断念。それでもスポーツを支えたいと、早稲田スポーツ新聞会に入りました。

吉田:
早稲田大学競技スポーツセンターの学生団体「VIVASEDA」で、スタッフを務めています。プロジェクトの軸は、大学スポーツの普及活動とオリンピック・パラリンピックに向けた活動です。体育各部の選手と一般学生が交流する「選手交流会」を企画するなど、誰もがスポーツを身近に感じてもらえるように努めています。

世代や国境を越えるスポーツ観戦の文化

土橋:
大学スポーツの各試合の中でも、最も注目が集まるのが「早慶戦」です。野球やラグビーの大試合では、会場で配布する早稲田スポーツ新聞が2万部を超えることもあります。系属校の初等部、さらには幼稚園児から、高齢の卒業生まで、世代を超えて人が集まり、肩を組んで応援する。そんな文化は、人をつなぐと思います。

正木:
コロナ禍の影響で観客数が減少した時期もありましたが、現在は元の水準に戻っています。応援部はより多くの方を呼び込むため、試合前の平日にキャンパスでのデモンストレーションやチケット販売の補佐を行っています。

吉田:
VIVASEDAでは、スポーツに馴染みのない一般学生にも魅力を伝えられるよう、選手交流会や早慶戦をはじめとした試合の観戦ツアーを開催しています。部員が試合の見どころを、応援部が応援の方法をレクチャーするものもあります。

留学生が参加することも増えてきました。彼らから見ると、吹奏楽団やチアリーディングをはじめ、日本の応援文化は特徴的に映るようで、「一体感を味わえるのが醍醐味」という声も聞きます。

正木:
世代や国籍を超えて集まった大観衆の中で、応援をまとめ上げるのが私たちの力の見せどころです。応援席の一体感が生まれる時には、やりがいを感じます。

香西:
投球する瞬間、マウンドにも熱気は届きます。見知らぬ人同士が肩を組み、勝利に涙する姿を見ると、努力をして良かったと感じます。学業だけではなく、スポーツを通じて「早稲田大学に入って良かった」と感じてもらうのが、早慶戦のような大試合なのかもしれません。

【早慶戦】本学が慶應義塾大学と競う「早慶戦」は、競技の真剣勝負はもちろん、応援部を中心に一体となり盛り上がる応援合戦も大きな魅力。毎年、両校の観客が熱気あふれる観戦を楽しむ、伝統の対校戦となっている(写真提供:左 応援部、右 早稲田スポーツ新聞会)

【早慶戦】本学が慶應義塾大学と競う「早慶戦」は、競技の真剣勝負はもちろん、応援部を中心に一体となり盛り上がる応援合戦も大きな魅力。毎年、両校の観客が熱気あふれる観戦を楽しむ、伝統の対校戦となっている(写真提供:左 応援部、右 早稲田スポーツ新聞会)

菊地:
マイナースポーツの競技者にとっても、観客の多い早慶戦は楽しみです。同時に、競技の魅力を多くの方に知ってもらう貴重な機会にもなっています。

土橋:
マイナースポーツの魅力を伝えるのも、私たち記者の役目。本学でも、優秀な競技成績を収めたにもかかわらず広く認知されない競技もあるのが事実で、多くの人々に関心を持ってもらうのが課題です。メジャーな競技をきっかけに、大学スポーツに興味を抱いてもらい、他の競技にも足を運んでもらうのが理想ですね。

吉田:
競技ルールなどの知識が乏しい学生もいますが、交流会で選手の人柄を知ることが、興味を持つきっかけになれば。また、サークルや学生団体は、何年生からでも活動できるので、ぜひ多くの学生に参加してもらいたいです。

香西:
早稲田スポーツ新聞会やVIVASEDAのほかにも、「早慶戦支援会」など、体育各部は多くの団体に支えられています。課外活動を通じ、スポーツの輪が広がってほしいですね。

競技を超えるスポーツの多様な価値

菊地:
体育各部の部員が日頃取り組んでいるのは、競技力の向上だけにとどまりません。行動規範である「早稲田アスリート宣言」 に基づき、文武両道や社会貢献にも努めています。

香西:
私は現在、スポーツ科学部での学びの集大成となる卒業論文を執筆中です。打撃速度と除脂肪体重の相関関係を調べており、部員の協力を得てデータを収集しています。

学問と競技の好循環が生まれるのも、大学スポーツの価値の一つ。研究成果が自分や後輩たち、早稲田スポーツ全体の競技力向上につながればうれしいですし、将来指導者としてキャリアを歩み始めた際に、知見が役立つと期待しています。

正木:
応援部は、試合以外にも大学関連イベントなどでパフォーマンスを行っています。地方のイベントでは、訪問を楽しみに待ち望んでくださる校友の皆さまや地域の方々に迎えられ、私たちの演奏を楽しんでくださる様子に喜びを感じます。

土橋:
地域連携の話題では、多くの体育各部が参加する「早稲田スポーツフェスタ in 東伏見」も外せません。練習場が集まる東伏見キャンパスで年に1度、地域や応援者の皆さまへの感謝を込めて交流するイベントです。体育各部が子どもたちにスポーツ体験を提供するほか、早稲田スポーツ新聞会も写真展示を行っています。

正木:
例えば、応援部は閉会式でのパフォーマンスのほか、チアリーディングの体験ブースを出展しています。他の体育各部は、子ども向けの用具を使って各競技の基本的な技術を指導するブースが多いです。スポーツの社会的な普及に貢献できることにも、意義を感じます。

【早稲田スポーツフェスタ in 東伏見】毎年9月に東伏見キャンパスで開催され、4,000人超の方が来場する地域交流スポーツイベント。体育各部の学生が中心となり、スポーツ体験教室をはじめとした数多くの参加プログラムが用意される

【早稲田スポーツフェスタ in 東伏見】毎年9月に東伏見キャンパスで開催され、4,000人超の方が来場する地域交流スポーツイベント。体育各部の学生が中心となり、スポーツ体験教室をはじめとした数多くの参加プログラムが用意される

土橋:
また、私たちは毎年秋に開催される「早稲田文化芸術週間」で、早稲田キャンパス周辺の商店街と連携した展示も行っています。お店の方々も早稲田スポーツが好きで、快く引き受けてくれます。スポーツが、飲食店と学生のつながりや地域の活性化につながっていることは嬉しいです。

吉田:
人のつながりは、オリンピック・パラリンピックでも感じます。VIVASEDAが運営を補佐した「パリ 2024オリンピック・パラリンピック報告会」は、パリ2024五輪の出場選手を大学に招致するイベント。パラ競泳で金メダルを獲得した卒業生の鈴木孝幸選手の話を聞き、「もっとパラスポーツのことを知りたい」という感想を述べてくれた参加者もいました。

【パリ2024オリンピック・パラリンピック報告会】パリ2024五輪・パラリンピック代表選手6名が大会を振り返った報告会。フェンシング代表の加納虹輝選手、松山恭助選手、競泳の松本信歩選手、鈴木孝幸選手、卓球の岩渕幸洋選手、車いすバスケットボールの石川優衣選手がキャンパスを訪れた(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)

【パリ2024オリンピック・パラリンピック報告会】パリ2024五輪・パラリンピック代表選手6名が大会を振り返った報告会。フェンシング代表の加納虹輝選手、松山恭助選手、競泳の松本信歩選手、鈴木孝幸選手、卓球の岩渕幸洋選手、車いすバスケットボールの石川優衣選手がキャンパスを訪れた(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)

菊地:
ホッケー部女子部では、スポーツを通した長期療養児の自立支援活動に取り組んでいます。2026年7月には、長期療養を続けている小学生の女の子を1人、部員として迎えました。チームの一員として練習をしたり、一緒に食事をしたりしながら、チームメートとして時間を共有しています。

土橋:
入部式の会見は、私たちも参加しました。取り組み自体を知らない子どもやアスリートも多いので、活動を伝えていくのも大切ですね。

菊地:
もともと私は、部活動と並行して認定NPO法人「Being ALIVE Japan」 の活動に参加し、スポーツを通じた長期療養児の自立支援という理念に共感しました。まずは学内で活動を広めようと、早稲田スポーツフェスタ in 東伏見で長期療養児向けの企画を実施。その後、早稲田大学競技スポーツセンターとBeing ALIVEJapanが事業提携に至り、ホッケー部として本格的にプロジェクトを始動しました。

病気と闘っている子どもと接すると、自分が置かれている状況を見つめ直すことが多いです。日々練習に打ち込めている環境、周囲への感謝が芽生え、努力や向上心にもつながります。こうした関係性が、他の部、社会全体に広がっていってほしいです。

人や社会とのつながりが学生である自分を成長させる

吉田:
VIVASEDAのイベントを企画・運営し、自分や参加者、協力してくれる体育各部、それぞれの希望を実現することに注力してきた中で、多角的な視点を養い、成長することができました。卒業後もスポーツに携わり、その魅力を広く伝えていく活動をしたいです。

土橋:
取材をし記事をつくる活動では、さまざまな関係者と実際に会い、継続してつながりを持つ姿勢が求められます。体育各部や卒業生、大学職員の皆さんの力がなければ、サークルの活動は実現しません。社会の幅広い方々と接した経験を、卒業後も役立てていきたいです。

菊地:
外部の団体であるNPOの活動を、学内に導入するために、部や大学職員の方々にビジョンを伝え、他者を巻き込みながら実現していくプロセスは、貴重な経験となりました。学業、スポーツ、社会貢献活動を両立するのは大変ですが、仲間との出会いや周囲のサポートに感謝しながら、かけがえのない時間を過ごすことができています。

正木:
応援部の活動を通じ、集団をまとめる力が身につきました。人と関わり、準備を徹底し、本番に臨み、場を最大限盛り上げる。そのプロセスでは、相手の気持ちに踏み込み、理解を深めるコミュニケーションも必要です。そのため、私は部の信頼と伝統を損なうことのないよう、それにふさわしい人間で在りたいと心がけてきました。将来は金融機関に勤める予定です。金融機関も応援部も、他者のために力を尽くして成長を支える仕事。4年間で身につけた力を社会に役立てていきたいです。

香西:
競技生活を通じて、たくさんの人に支えられて大学スポーツが成り立っていることを、実感してきました。応援してもらえる存在であり続けられるように、今まで努力を重ねられたのだと思います。スポーツを広め、活動を応援してくれる学生団体、つながりを持った幅広い皆さまと共に闘うのが、大学スポーツです。多くの方々と一丸となり、今後も盛り上げていきたいと思います。

撮影:東伏見キャンパス ホッケー場

撮影:東伏見キャンパス ホッケー場