University-Social Relations Liaison Section早稲田大学 教育連携課

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コロナ禍の地域貢献で成長した学生たち

現地に赴き、自治体関係者や地域住民の方々などの生の声に触れる機会を学生に提供してきた「地域連携ワークショップ」は、この夏、新型コロナウイルス感染症の影響により、全面オンラインという前例のない形式での実施となりました。
現地へ行かずして地域課題の解決策を提案することなどできるのか?--そんな不安や懸念を見事に吹き飛ばし、参加学生たちは従来の形式と遜色ない成果をあげました。地域連携ワークショップ(以下、WS)での活動状況や参加後の自分にどんな変化があったか、語ってもらいます。
※本記事は、教育連携課主催のFirst Step Workshopで実施された、WS参加学生によるトークセッションの内容を基に作成したものです。

参加学生紹介

石川県珠洲市のプログラムに参加
【左上】小原 悠月さん(社会科学部・1年)
【右下】大木 美穂さん(人間科学部・3年)
岩手県田野畑村のプログラムに参加
【右上】赤羽 美音さん(教育学部・2年)
大阪府堺市のプログラムに参加
【左下】蝦名 朝陽さん(社会科学部・3年)
※2020年度夏編のWSは、上記に加え静岡県南伊豆町を含む4地域で実施しました。

――WS参加前の学生生活の様子やWS参加を決めたキッカケはどのようなものでしたか?

小原:中高生の時、憧れの早稲田に入ったら「こんなこともして、あんなこともして・・・」といろんなことへの意気込みがあったものの、いざ入学してみるとディスカッションがある授業で積極的に発言できず、周囲との比較で萎縮してしまっている自分に気がつきました。特に、コロナ禍で大学へ行くことも制限され、「何も行動できない、周りからもっと良い刺激を期待していたのに得られない」、このことに物足りなさと焦りを感じていました。このまま学部の授業をただ受けているだけではダメだと思い、学部や学年が異なる早大生たちから刺激を得たいと思って、WSへの参加を決めました。

2つの地域のプログラムに参加した赤羽さん

赤羽:私は1年生のときに石川県のWS、2年生のときに岩手県田野畑村のWSに参加しました。1年生の頃はSNSでたくさんのフォロワーがいる人や、イラストで収入を得ている人がいて、「自分は何もできていないな」という思いが強かったです。石川県のWSで出会ったカッコイイ先輩たちに刺激を受け、その経験を活かしてもう一度チャレンジしてみようと、田野畑村のWSに参加することにしました。

蝦名:音楽系のサークルに入ったり、ひたすらアルバイトをしたりと、ある程度大学生らしい生活をしていて楽しかった半面、主体性を持って何かにチャレンジするという経験が足りていないと感じていました。なんとなく日々を過ごしていて、この先のビジョンについて不安を覚えながらも、何もできずに留まっていた感じです。特に、3年生になって就職活動の時期が近づいてきたときに、面接やエントリーシートで問われることが多い「チームで何かをする経験」がなく焦っていました。そんな3年生の夏に、「今しかない」という思いに駆られたことがWSに参加したキッカケです。

大木:サークルとアルバイトに励む日々、いわば普通の大学生活を送っていました。海外旅行が好きで長期休みの度に海外へ行っていたのですが、旅行先で自分の住む国や地域のことを詳細に話してくださる方々とよく出会いました。そのときに「私はちゃんと日本のことを知っているのか?」という疑問が生まれたんです。外国人の方に日本のことを聞かれても、何を言えばいいのか分からないことも多く、自分の「日本という国」に対する無知さを気づかされました。出身が東京ということもあり、地方に行く機会や地方の方と話す機会もなかったことから、まずは自分に馴染みのない地方をもっと知るべきだと思いました。

――WSでの活動で現地の方々にたくさんインタビューをしたと思いますが、印象に残っているお話やインタビュー対象者の方を挙げるとすれば?

赤羽:石川県のWSで商品開発に関わるテーマに取り組んだのですが、現地企業の方から商品開発は「売れる/売れない」「流行る/流行らない」ではなく、「その商品がどのように役立つのか」「どんな問題や困りごとを解決できるのか」ということを基準にしているというお話を聞きました。この考え方は、世の中はビジネスとお金が基本で動いていると考えていた当時の私の価値観を変えるキッカケになりました。本気で世の中を良くしようとしている大人の方の話を聞くのは初めての経験だったので、特に印象に残っています。

多彩なアイデア出しで活躍した蝦名さん

蝦名:私たちと同じように地域課題の解決に取り組んだ経験のある現地の大学院生の方にインタビューをした際に、インタビューのコツのようなものを教えてもらいました。解決策の提案に有益な話を相手から聞きだしたいのであれば、まずはその人の暮らしぶりや身の回りの話題にも触れて、内面的な部分も理解しないと本質的な回答は得られないし、実際に自分たちが提案した施設やモノを使う人のためにならないのではという指摘を受けました。ついつい、事前に用意したインタビュー項目に沿って質問することに注力してしまっていたので、同世代の人からハッとさせられましたね。

大木:私たちのチームでは、約25名の方にインタビューをさせていただきましたが、毎回、「珠洲を一言で言い表すと?」という質問を聞いていました。返ってくる答えはそれぞれに違っていて、現地に行くことができなかった私たちにとって珠洲をイメージする上で貴重な言葉でした。私が1番印象に残っているのは「珠洲は世界の中心」という言葉です。初めは「?」という気持ちでしたが、その方は自分の地元をとても誇りに思っていて、そこまで誇れる地元があるという点が私には魅力的でした。

小原:若い移住者の方が「珠洲にラーメン屋がないからつくった」という話をしてくださったのが印象に残っています。珠洲の方々はみなさん開拓精神あふれる方ばかりでした。私は19年間、東京という何か欲しいものは何でも手に入る環境で育ってきました。そんな私にとって、「ないからつくる」という発想は目から鱗でした。現状の「あるもの」の枠で考えるのではなく、「何がないのか、足りないのか」ということにフォーカスをあてて自分で作り上げる努力をする重要性を強く感じました。

――WSでは、他学部/他学年の学生同士で協働して提案を練っていったかと思います。一緒に課題に取り組んだメンバーからどんな影響を受けましたか?

チームのリーダーをやり遂げた大木さん

大木:珠洲への理解が深まるにつれて、チーム内で意見が二分されたことがありました。分からない!と投げだしてしまうのは簡単ですが、チームのメンバーは全員が真剣に取り組んでいましたし、そもそも意見の対立が起こるということが全員の本気度を示す証拠であると感じました。また、私は物事を俯瞰してしまう癖があったのですが、話し合いのなかでメンバーが発する「自分がこの状況だったら・・・」という言葉から、自分事として物事を捉えることの大切さを学びました。自分事として課題の本質を探り出せるように意識してから、より“濃い”答えが導き出せるようになったと思います。

赤羽:私は同じチームの後輩にあたる1年生からたくさんの刺激を受けました。私自身、データや資料をまとめていく作業に苦手意識を持っていて、その学生と打合せをしていると自分が欲しいと思っている情報を先回りして資料にまとめてくれていたり、データの効果的な見せ方を教えてもらったりと、学年では後輩ですが自分にはないスキルをたくさん持っていたんです。逆に、私はアイデア出しが得意なので、お互いの得意な分野を上手く融合させて提案につなげることができたと思います。

小原:チームでの議論が行き詰まったときに「そもそも、この考え方は~では?」と議論の前提としていた部分の根底を覆すような発言をしてくれるメンバーがいました。いろいろな考えを持ったメンバーが集まるほど、みんなが納得する合意形成が困難になるので、つい妥協的に議論が進んでしまいがちです。しかし、自分たちが当たり前だと考えていることが、本当にすべての人にとって当たり前なのかと、根本を追求していく姿勢の大切さに気づきました。今後の大学生活でも大事にしていきたいです。

蝦名:さまざまなバックグラウンドを持ったメンバーに恵まれて、効果的なプレゼンの方法、自分たちの立てた仮説の検証方法、ターゲットの分析方法など、提案に直結するものから些細なことまで学ばせてもらう機会が多くありました。自分はついつい大枠で物事を考えがちなので、自分の足りない部分を補ってもらえていた感じです。また、毎回の打合せもただ無為に進めるのではなく、打合せの最初にその日の課題とゴールを明示してくれたメンバーもいて、インターンシップのグループワークでも活かされています。

――WS参加前後の自分を比較したときに感じる自分の変化はどのようなものですか?

蝦名:元々あまり協調性がなく一匹狼な性格でしたが、誰かと会話することや議論を重ねて課題解決に取り組むことが意外と好きだということに気づきました。また、チームのメンバーから自分の強みはアイデア性であることを気づかせてもらえるなど、自分が知らなかった自分を発見することができたのは大きいです。それが今後いろいろな活動をしていくにあたっての自信にもつながってくると思います。

チームメイトから多くの刺激を受けた小原さん

小原:上級生の方と議論することに最初は少し腰が引けていましたが、「自分でもやれるじゃん」と徐々に自信を持てるようになりました。向上心が高いメンバーに囲まれてもやり通せたという自信をもって、もっとたくさんの早大生たちから刺激を受けたいと思っています。また、インタビュー力、言い換えれば相手の心の内にあるものをいかに引き出すか、という技術が身についたと思います。学部の授業でも取材をする機会があるので、そうした場面でも活かされていると感じます。

大木:まず、来年に迫った卒業論文のテーマとして、地域活性化という選択肢が増えたことは大きな変化です。WS参加前までは漠然としていましたが、卒論のテーマは自分の実体験に基づくものにしたいと思っており、こうした体験ができたからこそテーマを決める軸が定めることができました。もう一つ挙げるとすれば、都内から珠洲に移住した方がご自身の興味や関心に従順に生きている姿を見て、「意味があるかないかではなく、自分がやりたいかどうか」を大切にしていこうと思えるようになりました。

赤羽:私は「疑う力」と「言語化する力」が身についたと思います。疑う力というとよくない響きですが、石川県のWSで現地に行ってみて自分の考えやイメージが180度変わるような経験をしたことで、書籍やインターネットで調べた情報はたとえ出典元がしっかりしていたとしても現地の状況とは違う面があることを知り、クリティカルシンキングを意識するようになりました。言語化する力が身についたのは、オンラインでミーティングを重ねる必要があった田野畑村のWSです。チーム内の空気づくりもオフラインに比べて難しく、いかに自分のアイデアをメンバーに伝えていくか試行錯誤する中で磨かれました。

トークセッションの前には各地域での取り組みやプログラム内容を共有しあいました

各自治体のみなさま、そしてオンラインでのインタビューに対応してくださった地域のみなさまのお力添えにより、学生たちにとって多くの気づきや今後につながる経験ができる場を創出することができました。来春(2021年2~3月)、この夏と同様に全面オンラインでのWSを4地域で実施予定です。一人でも多くの早大生に、自分とは異なる他者の価値観や考えに触れる機会を提供してまいります。

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