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経済的事情により、進学を諦めないために
受給者と職員が語る「紺碧の空奨学金」
Fri 30 Oct 26
受給者と職員が語る「紺碧の空奨学金」
Fri 30 Oct 26
早稲田大学では、児童養護施設やファミリーホームの出身者などが、経済的事情により大学進学を断念することがないよう、「紺碧の空奨学金」を設置しています。2026年度には対象に大学院進学を追加するなど、支援の拡充に努めてきました。
本記事では、奨学金を受給した在学生と卒業生に話を聞きました。奨学課職員とともに、「紺碧の空奨学金」の意義を考えます。
撮影場所=戸山キャンパス 37号館
紺碧の空奨学金、支援を拡充
「紺碧の空奨学金」は、児童養護施設やファミリーホームの入所者および出身者、養育里親家庭で育った里子に対し、早稲田大学への進学を後押しする奨学金です。本奨学金を担当する奨学課職員の小田課員は、その意義を次のように説明します。
小田「『紺碧の空奨学金』は、『経済的な事情により進学を諦めることがあってはならない』という趣旨のもとに設置されました。入学前に入学後の奨学金給付を約束する入学前予約採用型の奨学金です。採用候補者は、入学試験に合格し、本学へ入学することで、正式に奨学生となります。高校2年生から申請でき、早い段階で経済的な見通しを立てて受験勉強に専念できる点が特徴です。
大学進学にあたっては、入学金や授業料だけではなく、受験段階の入学検定料、入学後の住居費や生活費、パソコン、教材費、課外活動・交際費、施設を退所して一人暮らしを始めるための初期費用など、さまざまな費用が必要になります。特に、家庭から十分な経済的支援を受けることが難しい場合は、一つひとつの費用が進学や学生生活の選択肢を狭める要因になり得ます。『紺碧の空奨学金』では、入学検定料や学費等に加え、毎月の生活費を大学が支援することにより、そうした経済的な不安をできるだけ取り除き、自分の意思で進路を選べる環境を整えることを大切にしています。」
「紺碧の空奨学金」担当の職員(小田課員)
「紺碧の空奨学金」は、2017年度の入学者を対象に募集を開始(※)。2025年度に留学費用の補助を開始し、2026年度からは本学大学院へ進学した場合も支援を継続するなど、制度の拡充を図っています。
小田「在学中の学生を含め、これまでに13名を採用・支援し、そのうち6名が本学を卒業して社会で活躍しています。対象となる高校生は決して多くありません。しかし、一人ひとりの進学から学生生活までを長期にわたって支えられることが奨学金の特徴です。
また、『紺碧の空奨学金』には多くの皆さまのご寄付をいただいています。寄付によって支援をさらに充実させ、支援の輪を広げていくことも、私たちの使命です」
※ 養育里親家庭出身者向けの支援は2018年度入学者から開始
学業に魅力を感じ、将来を考え始めた大学生活
現在「紺碧の空奨学金」を受給している在学生の一人が、文学部3年の松本真奈さんです。幼少の頃に父親が亡くなり母子家庭で育った後、高校1年生の時に母親が亡くなったことで、里親となった親族の家庭で暮らすことになりました。
松本さん「中学の段階では母も元気だったため、大学進学を前提とした高校に通っていました。そのため母の死後も里親支援制度などを活用し、『多少生活が苦しくても大学に行きたい』と考えていました。同時期に相談員の方に紹介されたのが、各大学の奨学金情報です。社会的養護を必要とする者を対象とした奨学金が少ない中、『紺碧の空奨学金』は私に最適なものでした」
松本真奈さん
こうした経緯から、早稲田大学を第一志望に決めた松本さん。カリキュラムが多彩な文学部を希望し、入学試験に合格しました。
大学1年生当時の松本さん(早稲田大学のキャンパスにて)
松本さん「1年生の時は、研究テーマが明確に定まっていなかったので、まずは幅広い分野の科目を履修しました。第二外国語で選択したロシア語の授業で、刺激的な仲間に恵まれたことがきっかけとなり、2年生からは『ロシア語ロシア文学コース』で学んでいます。課外活動では未知の世界に足を踏み入れたいと、特撮サークルの『怪獣同盟』に所属。ヒーローショーなどの活動に励んでいます」
現在大学3年生の松本さんは、仲間とともに学業や課外活動に励む環境に、早稲田大学の魅力を感じていると語ります。
松本さん「ロシア語ロシア文学コースでは、同期や先輩、先生と接する機会が多いです。それぞれが独創性を持って学びや研究に打ち込んでおり、刺激を受ける毎日です。高校の定型的な学習と、大学の研究は異なります。最初はうまく勉強が進まないこともありましたが、少しずつ自分が成長していると感じるようになりました」
松本さんは現在、将来の進路についても試行錯誤しているようです。
松本さん「まだ明確な進路は決まっていないのですが、在学中に学芸員の資格を取得することを目指しています。資格を生かした仕事や、社会的養護への理解や支援を広げる活動など、将来やってみたいことを、少しずつ考えるようになりました」
早稲田での多様な出会いが、社会人の自分を支えている
「紺碧の空奨学金」を受給し、2019年に社会科学部を卒業した飯⽥芽⽣愛さんは、家庭内で虐待を受け、小学生の時に児童養護施設に入所しました。
飯田さん「幼い頃に実母が自死し、義父から虐待を受ける日々がつづく中で、小学校の先生と児童相談所の職員に保護されました。児童養護施設はやりたいことをできるだけ応援してくれる環境で、高校時代は全国大会に出場するようなバトン班で活動し、充実した日々を送っていました」
飯⽥芽⽣愛さん
飯田さんは高校時代、弁論大会にも出場。地元の長野県にプレゼンを行い、児童養護施設出身者に向けた奨学金制度の設置を県立大学で実現したこともありました。
飯田さん「これらの経験から『発信することで社会に変化を起こせるのでは』という思いを抱き、メディア業界で働く将来を描き始めました。一方、大学については『経済的余裕があれば進みたい』と考えざるをえないのが現実。各大学の奨学制度を調べる中で出会ったのが、『紺碧の空奨学金』です」
飯田さんが「紺碧の空奨学金」に申請したのは、高校2年生の時でした。採用候補者となったことで、受験勉強に集中できたといいます。
飯田さん「進学確定後に申請する他の奨学金と異なり、早期に経済的な見通しを立てられる『紺碧の空奨学金』は、大変ありがたかったです。私自身、この奨学金がなければ、大学進学は難しかったと思います。希望した社会科学部に進学でき、サークルはチアダンスチーム『MYNX』に所属。代表を務め、コロナ禍での集客やクラウドファンディングに挑戦するなど、大学生活を存分に楽しめました」
在学時、チアダンスチームで活動する飯田さん
卒業後はテレビ局に入社し、高校時代の夢を叶えた飯田さん。大学時代の経験は、現在の仕事にも役立てられていると語ります。
飯田さん「専門分野を極めようとしたり、全く異なるバックグラウンドを持っていたりと、多様な学生と出会えた日々は、かけがえのない財産です。私のことを特別扱いしない周囲の影響を受け、『もっと頑張りたい』と思う瞬間が増えた学生生活でした」
次世代の選択肢を狭めないため、支援の輪を広げたい
今回、3人には奨学金の意義について語り合ってもらいました。
~進学を“夢”ではなく“選択肢”にする~


~安心できる基盤が、挑戦と自立を支える~



~広がる選択肢、つながる支援の襷~



~紺碧の空奨学金を支えてくださる皆さまへ~


紺碧の空奨学金について語る3名
左から、奨学課の小田課員、松本さん、飯田さん







