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企画者レポート:銀座伊東屋の店舗イノベーション 文房具専門店からの変革

R.S. (学生スタッフリーダー)

2021年7月21日(水)に「銀座伊東屋の店舗イノベーションー文房具専門店からの変革」を開催しました。学生、教職員を含め、82名の参加者にお越しいただきました。株式会社伊東屋の松井幹雄氏をゲストスピーカーとしてお招きし、銀座にある伊東屋の「店舗イノベーション」をテーマにお話しいただきました。 

企画背景 

はじめは、世界の文房具をテーマにしたイベントの開催を考えており、伊東屋へ企画を提案しました。そのきっかけは、国や地域の文字文化によって好まれるインクの種類が異なったり、文房具の充実しているカテゴリーが異なるなど、 文房具をテーマに交流することで異文化について知ることができると思ったためです。提案後、実際に松井様とお話しする中で、伊東屋が現在力を入れられていることは、文房具専門店の枠組みを超えてエンターテイメントの空間に変わること、すなわち「店舗イノベーション」だと伺いました。 

私は大学の授業にて、イノベーションの過程では多様な関係者の異なる背景の理解が鍵になると学んだことがありました。そこで、長年のお客様や新たにターゲットとされるお客様との関係の中で、店舗変革の実現にあたり直面された困難やその先にある達成等に関しお話しいただくことで、異文化理解につながる学びも得られるのではないかと考えました。また、普段は学生同士がお互いの歴史・文化を知り合う異文化交流が中心ですが、今回のテーマにより、学生同士だけの視点ではないビジネスの現場における視点について学生が意識を向けるきっかけとなれば、新たな異文化に触れることにも繋がる思い、今回のトークセッションを企画しました。 

更に、新しいコンセプトによる店舗には、銀座のランドマークとして世界中の人々が憧れを抱き訪問しています。そのように、日本人のみならず世界中の人々を惹きつける空間をつくるにあたり、伊東屋が背景にどのような考えを持っているのか知ることができたら、様々な国・地域出身の学生にとって大変興味深いイベントになるのではないかと考えました。 

講演会の様子(開催報告) 

「文房具なら何でもある便利屋という従来の延長線上のままでは、ECサイト並みの品揃えを展開しようとすると店舗が9棟必要になってしまう」ということで、歴史と伝統のある伊東屋らしさを守りつつ、どの部分をどのように変えていくべきか、伊東屋全体で考えているとのことでした。その際に鍵になったのが、伊東屋らしさを定義することだったとのことです。この点は、店舗イノベーションの数々の取組みの原点となる部分であり、特に時間をかけてお話しいただきました。 

具体的には、 

Mission:クリエイティブな時をより美しく心地良くする 

・Value:大切にしたい価値観「新しいコトやモノの発見」、「ずっと使い続ける」、「人との関係を大切にする」 

Vision:毎日来ても心地良く笑顔になれて新たなインスピレーションが得られる店「「はっ!」とできる場所」、「心地良く過ごせる場所」、「気持ちを切り替えられる場所」 

というものでした。 

このような軸を持つことで、「便利なお店」だけではない価値をお客様に提供できると考え、「エンターテイメントを提供する場所」へとコンセプトを転換していくことになったようです。その変化を1フレーズで表すと、「買う店舗から過ごす店舗へ」ということでした。 

店舗イノベーションにはさまざまな取組みがありましたが、全てこの軸とつながることで、店舗全体としてまとまりを持って「過ごす店舗」へと変わっていくことができたと理解しました。 

私にとって特に印象的だった店舗イノベーションの取組みとしては、某世界的な映画賞発表の封筒の作成等を手掛ける、世界的な製紙会社グムンド社による展示会「Gmund colors」の開催です。全部で48色あり、どの色の組み合わせも美しく見えるカラーシステム(色の体系)を展示し、訪れた人々に色を楽しむ空間を提供しているようです。 

(image by 伊東屋 & Gmund)

また、ラッピングスタイリストによる多彩なギフト包装という取組みについての紹介もありました。どのような方に、どのような気持ちを伝えたいのか、贈り物にまつわるストーリーをスタイリストと相談し、オーダーメイドのラッピングを実現しているとのことです。 

(image by 伊東屋)

店舗開発にあたっては、総じて、効率や商品数よりも、訪れた人々にとっての面白さや美しさなど客観的に測ることができない価値に重点が置かれていると感じました。モノを買うために行く場所という、店舗に対するイメージが覆されました。これらの取り組みは、国内外からも注目されており、海外メディアからの取材や、韓国でのイベントに松井様が招かれ、ご講演される機会もあったとのお話もありました。 

イベントを終えて 

松井様のご講演後、参加者との活発な質疑応答があり、イベントは盛況のうちに終えることができました。 

参加者のアンケートより、「伊東屋さんのイノベーションの背景を知ることができ、とても興味深かった。次に伊東屋に行く際はこれまでとは違った視点で楽しむことができると思う。」や、「松井さんのお人柄やビジネスに対する姿勢にとても惹かれました。それこそが伊東屋の魅力ではないかと思います。人と繋がることを大事にされているのだと思います。」などの感想をいただきました。1回目の店舗改革のお客様の反応から、現在に至るまでの過程を包み隠さずお話しいただき、一貫してお客様や従業員など人がどう感じるかを考え抜かれていました。 

そのように人との繋がりを大切にされてきたことが店舗イノベーションの原動力なのではないかと感じました。 

様々な目的や思いを持ちご参加いただいた皆さまにとって、学びや気づきを得られた時間になりましたら、企画者としてとても嬉しく思います。 

あらためて、このような貴重な機会をご提供くださった松井様に感謝申し上げます。また、イベントに参加いただいた皆さま、そして、数カ月に渡り、準備や広報に協力いただいた全ICCスタッフに感謝申し上げます。 

(image by ICC)

 

 

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