Waseda University Intercultural Communication Center (ICC)早稲田大学 ICC(異文化交流センター)

その他

参加者レポート:サヘル・ローズさんのトークセッションに参加して

 文学部1年
甲斐田愛理

 今年の1月12日に行われた「ICCトークセッション:出会いこそ生きる力〜女優サヘル・ローズ氏が語る異文化理解とは〜」に参加しました。このトークセッションで、言葉そして人との繋がりの大切さと、何よりも言葉の隅々から感じられたサヘルさんの人への優しさを持って接する態度に胸を打たれました。

サヘルさんはイランで生まれ、孤児院で育ち、8歳のとき養母と共に日本に移られました。様々な困難を乗り越えられてきたサヘルさんの言葉は、どれも胸に響き、疑いようのないものでした。とても素敵な言葉ばかりだったので、いくつか紹介させていただきたいと思います。

まず、いまコロナだからこそ「誰かの瞳に映ることで自分の存在・価値に気づき、一日一日を大切に噛み締めて過ごしてほしい」です。確かに最近の生活を振り返ると、一緒に過ごしている祖母の目よりも携帯に映った文字や映像を見ていることが多いと思います。でも、自分が辛い時、自分の価値を感じさせてくれる人は目の前にいる友人や家族なのだと思います。また、最近はTwitterなどで医療従事者の方への差別的な発言などが見られます。良くも悪くも私たち人間は「言葉に生かされている」からこそ 「言葉を発す時は考えてから発すること」が大事だと思います。 一方で、大人になるにつれて責任を感じて他の人に助けを求めづらくなる人が多いように感じます。でも、「生きているだけで、頑張っているのだから、疲れた時は疲れたと言っていい」のだと思います。人は誰でも得意・不得意があるし、お互いが得意分野を活かし合えるような関係、社会になればと思います。

また、サヘルさんは児童養護施設などの支援をしています。その中で「支援はお金だけじゃない。心を寄せるのもちゃんとした支援」だとし、さらに「私は多くの人を助けられるわけではないけれど、その助けた子がまた誰かを助けてくれれば」とおっしゃっていました。普通は、支援するということだけで満足してしまうのに、サヘルさんの未来を見据えた支援の形に感銘を受けました。

サヘルさんも人間関係で悩むことがあったようです。その際、当時サヘルさんの先生だった方が、「初めて会った人はみんな100点から減点していくのではなく0点から加点して」とおっしゃったそうです。私も人と過ごす際に期待をしすぎないことはうまく生活していく上で必要だと感じています。期待しすぎない方がかえって案外あっさりと人間関係がうまくいくような経験が何度かありました。

以上のように、どれも素敵な言葉ばかりで、セッション中にメモする手が止まりませんでした。特に支援の話は印象的でした。私はカンボジアやミャンマーを旅した時に、貧困で苦しんでいる人を何度も見てきました。見るたびに申し訳ない気持ちでいっぱいになり、いつからかあまり見ないようにしている自分がいました。でも、サヘルさんの心を寄せることだけで十分に支援になるのだという言葉を聞き、金銭的に何もしてあげられなくても、私にも思いやることで支援できるのだと目が覚めたような感覚でした。

そして、このセッションを受けて、真っ先に浮かんできた感想はサヘルさんのような素敵な女性になりたいという思いでした。サヘルさんのお話からは、本当に人に対し思いやりを持っていることがひしひしと伝わってきました。そのためには、まず自分のことを大事にすることが必要だと私は考えます。なぜなら、自分のことで頭がいっぱいになってしまうと、他の人を気遣う余裕も生まれないと思うからです。そして、自分を大切にするということは、自分の全てを受け止めることだと思います。例えば、私は高校生のときに、理想の自分像と現実の自分像との間で葛藤し、苦しんできました。ですが、コロナの期間に自分と向き合う機会が増え、自分について考えることが多くなりました。私は何が好きで、何が嫌いなのか、どういうことに怒って何に対して悲しくなるのか。このように、少しずつ自分を見つめて受け止めることで、心がすっと軽くなっていきました。そうすると、何気ない日々に喜びが見出せ、周りの人にもそれが伝わっていっているような感覚を覚えました。私はまだサヘルさんのように直接的に他の人を幸せにすることはできないけれど、自分を受け入れることで周りの人を受け入れて支えられる心のスペースを作っていきたいと思いました。

私は、今回のトークセッションで言葉の持つ強さ、ありのままの自分を大切にし、人を大切にするという大事な、でも日常生活で忘れがちなことを取り戻せたような気がします。このような貴重な話をしてくださったサヘル・ローズさん、そして企画と運営に携わったICCのメンバーの皆さんに感謝します。

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/inst/icc/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる