R.H. (SSL:学生スタッフリーダー)
先日、私がICCの学生スタッフリーダーとして企画したイベント、“オンライン世界地理クイズ大会!クイズで楽しく交流しよう” が開催されました。実はこのイベントは去年の4月に新入生歓迎ウィークのイベントの一環として私が以前企画・開催したものの第2弾です。本来は今年も4月の新入生歓迎ウィークのイベントとして行う予定のものでしたが、新型コロナウイルスの影響で中止となり、代わりにオンラインで11月12日に開催することになりました。今回も前回の地理クイズ大会と同様、問題は私が作ったものです。
イベントの準備を始めるにあたり、私が一番不安だったことは、オンライン上で参加者がスムーズにクイズを行うにはどのようにすればよいのかということでした。前回のイベントでは参加者をテーブルごとにグループに分け、そのグループのメンバーが協力して問題を解いてもらい、グループとしての答えを発表してもらうという形式でした。得点の集計方法としては、一問正解したチームに、得点を示すマークを渡し、問題終了後にその数を数え、順位を決めるというものでした。
しかしながら、オンラインではこの運営方法はとれません。そこで私が考えだした方法が、Kahoot!というサイトを使って参加者に問題に答えていただき、得点はKahoot!によって自動集計され、すぐに結果がでるというものでした。Kahoot!は私がアメリカの高校にいたときによくイタリア語の先生が授業で使っていたもので、PIN 番号を入力して、クイズに参加し、正解だと思う回答を選択してもらうクイズ大会式の投票ができるサイトです。
今回のイベントでは私が司会をつとめ、パワーポイントをZoom上で画面共有しながら問題を読みあげ、その間、タイミングよくKahoot!を動かす係をもう一人のスタッフにやってもらいました。結果、皆さんに円滑にクイズに参加いただけたので、よかったです。
世界地理のクイズというと単に地形の名前や、国・首都の名前に絞った問題を想像されると思いますが、私は一貫してそのような単調な問題だけにはしないというコンセプトのもと、民族や国旗、地理などの面で、あまり知られていないことを学べるような問題を作ることにこだわりました。
また、このクイズを通して世界の多様性を伝えたいという思いもありました。民族・言語の分布は人為的な国境で分けられるものではありません。例えば、クイズに出したウラル系民族はキリスト教を主に信仰するヨーロッパのフィンランド人やハンガリー人から、シベリアの極寒の土地に住む、主にシャーマニズムを信仰するアジア系の顔をしたネネツ人など多種多様です。そういう観点からよく考えると日本語の「外国語」という言葉は、少し違和感のある言葉に思えます。世界の多くの国には方言ではない、系統の異なる少数言語が複数存在する場合もあり、厳密には、「外国の」言語、外国語とは括れないと考えています。また、方言とされていても、相互理解が不能な言語もあります。例えば日本にあるアイヌ語は日本語と系統を別にする孤立言語です。琉球語は沖縄方言とされ、琉球語を知らない人と当該言語を通じての相互理解は実際は難しいものと思います。英語とイタリア語ほどの差はあります。突き詰めて考えると何をもって方言とし、方言としないのか、何を言語とみなすのかということも明確な定義がなく、複雑な問題でもあります。
お伝えしたいことは、世界地理の問題一つをとっても、そこからさまざまな学び、発見などにつながることが多々あり、それが世界地理の大きな魅力であり、醍醐味だと私は思っております。
参加者の一人が後日、「ロシアにあのようにたくさんの民族がいて、たくさんの共和国があるということをクイズで初めて知った。とても驚いたし、興味を持った」と私におっしゃってくださり、クイズを作ったかいがあったと実感しました。
今回は私が学生スタッフとして担当する最後のイベントとなりました。このイベントを通して、少しでも世界地理、とくに世界のあまり知られていない民族や地域への興味を持っていただき、知らなかった世界に触れることの楽しさと世界の多様性を感じていただいたのなら幸いです。
改めまして、この度は参加してくださった皆さん、イベントにご協力してくださったスタッフの皆さん、私の卒業前の最後のイベントに関わってくださり、本当にありがとうございました。