『ミュージカルにおけるリプライズの機能-諸作品に共通の作曲法に関する一考察』丸山瑶子
開催報告:2025年度6月研究例会(第229回オペラ研究会)
- 日 時:2025年6月14日(土)16:30-18:00
- 場 所:早稲田大学西早稲田キャンパス54号館204教室 およびZoom配信
- 発表者:丸山瑶子(東京藝術大学 専門研究員、慶應義塾大学他 非常勤講師)
- 司会者:井上登喜子
- 言 語:日本語
- 主 催:早稲田大学総合研究機構 オペラ/音楽劇研究所
コメント:25名の参加があった。(会場6名、オンライン19名)
発表要旨
これまでミュージカルの楽曲分析研究において、音楽素材のリプライズは作曲法の一つとして注目されている。発表者もこれまで、短い旋律単位であれ、フレーズないし楽曲単位であれ、リプライズが劇の進行や台詞には現れない劇内容を表現する機能を果たしていることをLes Misérablesを中心に分析してきた。
しかし、しばしば指摘されるように、ミュージカルの楽曲分析研究そのものがあまり目立たない現状では、まだ各作品におけるリプライズの用途や、ミュージカル・ジャンル全般に共有される様式的特徴、およびその歴史的傾向は十分に明らかにされていないように思われる。
本発表では、はじめに既存研究に基づき、リプライズの多数の機能から一部を例示したのち、いくつかの作品に共通して見られるリプライズの用例に焦点を当てる。すなわち特に、登場人物の名前を歌うナンバーないし旋律のリプライズである。発表者は当該の用例を示し、物語内容と照らし合わせて考えられうるリプライズの働きを論じる。その上で、「名前」を歌うリプライズに関して、今後の研究で明らかにすべき諸問題を挙げる。
発表者プロフィール
慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程修了、ウィーン大学より博士号取得(Doktorin der Philosophie)。日本ベートーヴェン・クライス理事、慶應義塾大学ほか非常勤講師。主たる研究分野はベートーヴェンと同時代の作曲家との様式上の関連性、18世紀末~19世紀初頭の室内楽書法および編曲。直近ではミュージカルの楽曲研究や楽譜校訂にも従事。翻訳に『ベートーヴェン ピアノ・ソナタ集』全3巻(音楽之友社)、『つくられた天才』(春秋社)、執筆協力に『名曲の曲名』(茂木大輔著、音楽之友社)がある。
問合せ先
早稲田大学総合研究機構オペラ/音楽劇研究所:https://prj-opera-mt.w.waseda.jp/
e-mail address: operaken-uketsuke[at]list.waseda.jp ([at] = @)
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